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サウジアラビアは平和を望む…それでも、自国は守る

サウジアラビアのファイサル・ビン・ファルハン外務大臣。サウジアラビアのリヤドで、2021年3月22日に撮影。(ロイター)
サウジアラビアのファイサル・ビン・ファルハン外務大臣。サウジアラビアのリヤドで、2021年3月22日に撮影。(ロイター)
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23 Mar 2021 09:03:13 GMT9

サウジアラビアがイエメン危機終結に向けたイニシアチブを発表した。同イニシアティブは包括的な政治的合意であり、サヌア国際空港を特定の目的地行きの便に対し再開することや、危機の終結を目指しイニシアティブを受け入れるよう、正統政府とフーシ派の双方に呼びかけることなどが内容として含まれている。

これらの動きは、イエメンおよび地域全体の治安と安定に対するサウジアラビアの関心の延長である。同イニシアティブに伴い、平和および危機終結に向け真剣かつ実用的な支援が提供されるようになるほか、兄弟同様であるイエメンの人々には、人道的惨状に対する緩和がもたらされることになる。

危機の終結および包括的な政治的解決を目指したこのサウジアラビアのイニシアティブには、国連が監視する包括的な停戦、およびストックホルム合意に基づくイエメン中央銀行(ホデイダ)への税・関税収入の預託が含まれている。サヌア国際空港は再開され、中東便および国際便の直行便が何便か就航されるようになる。

危機の政治的解決に向け、イエメンの当事者間で協議が開始されることになる。同協議は、国連の仲介のもとに、安全保障理事会決議2216、湾岸協力会議イニシアティブおよびその実施義務、そして最終的には包括的なイエメン国民対話の成果に基づいて行われることになる。

このイニシアティブは、フーシ派がこれを承認し、イニシアティブが国連の監督・管理下で実施されることをフーシ派が受け入れることが条件となっている。フーシ派は現在、複数の戦線で敗北を喫している。マリブ戦線においても、アラブ連合軍が安全保障理事会決議2216、国連憲章第7章、第52条に基づいて防衛的軍事作戦を実施した結果、敗北に直面しているところだ。

これはよく知られていることだが、サウジアラビアは、正当政府として国際的に承認されたイエメン政府を支持し、フーシ派の攻撃をものともせず、同正当政府とともに、その権利が守られ領土や安定が回復されるよう取り組んでいる。

そんななか、フーシ派は、イランの支援を受け、サウジアラビアに対する攻撃を行ってきた。何百発というミサイルや無人機を使用し、空港や石油施設、そして民間人や住宅地を狙い撃ちにしてきたのである。

サウジアラビアは、これらの攻撃に対処せざるを得なかった。政治的解決を呼びかけ、国連や米国・欧州の特使らと協力していたにもかかわらず、である。実際、サウジアラビアはフーシ派と対話のチャンネルを開こうと試みてきたし、2016年にも、政治的解決を呼びかけていた。

今回のイニシアチブは、フーシ派にとって、イエメンでの流血を終わらせ、イエメン国民の困窮の元である人道的・経済的問題に取り組み、平和の実現に向けたパートナーとなれる良い機会なのだ。尊敬に値するイエメン国民の利益や祖国の主権・独立に対する権利を支持する機会を得たのである。そしてこれらのイエメン国民の利益や権利は、イラン政権のイエメンおよび中東に対する野望よりも優先されなければならない。

サウジアラビアは、イランの支援を受けたフーシ派民兵による民用物や重要施設を標的とした組織的な攻撃に対し、王国には自国の領土や国民、住民を守る権利が全面的にあると断言している。

こうした攻撃は、サウジアラビアの国力のみならず、世界経済およびその供給にとって中核となる要素、そして世界のエネルギー安全保障および国際水路を標的としている。サウジアラビアはさらに、イランが地域やイエメンに干渉することを徹底的に拒否するとも断言している。こうした干渉に加え、イランがフーシ派民兵を支援していることが、イエメン危機を長引かせる主な原因となっているのである。フーシ派民兵を支援しているのは、密輸されたミサイルや武器であり、イランによる民兵訓練や専門家の派遣なのだ。これらの行為はすべて、関連する国連安全保障理事会の決議に、明らかに違反した行為だ。

サウジアラビアはまた、イエメンの人々とその正当政府を引き続き支援するとも断言している。サウジアラビアは、イエメン国民の苦しみを和らげるという人道的役割に引き続きコミットしていく。また、イエメンの平和、治安、安定に向けたあらゆる取り組みを支援し、イエメン国民の生活を発展、向上させるための新たな段階に移行する。

サウジアラビアは、平和や政治的解決に対しても永続的に取り組んでいる。

ハムダン・アル・シェフリ博士

同時に、サウジアラビアは、平和や政治的解決に対しても永続的に取り組んでいる。また、自国の治安や安定を脅かすようないかなる侵略行為に対しても防衛・対処が行えるよう、国防力を常時維持していく。

サウジアラビアは現在、ギリシャやパキスタンをはじめとする数多くの軍事分野で練習や大規模演習を行っており、UAEでは地上部隊による大規模演習も行っている。こうした合同演習や大規模演習を通して、サウジアラビアは、あらゆる侵略行為に対処し、自国の領土、領海、領空を断固として守ると宣誓しているのである。

  • ハムダン・アル・シェフリ博士は、政治アナリストであり、国際関係学者である。ツイッター:@drhamsher7
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