
ミュンヘン:2月17日、イスラエルはイランの核兵器開発を阻止するために「あらゆる可能な手段」を検討中だと表明し、イラン政府による高性能兵器の拡散を止めるためのさらなる努力を国際社会に求めた。
2015年にイランと世界の主要国の間で結ばれた核合意の復活に向けた交渉は、昨年9月以来暗礁に乗り上げている。
西側諸国は、すべての当事者で合意間近となった後でイランが法外な要求を持ち出してきたと非難したが、打開策の見えないまま、イランは核計画を推し進めてきた。
国連の核監視機関は今月、イランがフォルドウの施設で兵器レベルに近い60%までウラン濃縮を行うことのできる先進機器2台の相互接続に関して、報告なしに変更を行ったと非難した。
「イランが核兵器を手にするのを阻止すると言うとき、あらゆる可能な手段を検討しなければなりません。繰り返しますが、あらゆる手段をです」とイスラエルのヨアフ・ガラント防衛相はミュンヘン安保会議の際に行われた、UAEとバーレーンの高官も出席した会合の席で述べた。
ガラント氏は、今年10月までの期限で先進的軍事システムの輸出入を禁じたミサイルおよび関連技術への規制を含む禁輸措置にもかかわらず、イランは中東地域外へも高性能兵器の拡散を進めていると指摘した。
「イランは現在、50か国と無人航空機と精密兵器などの高性能兵器取引について話し合いを持っています」とガラント氏は述べて、戦闘用ドローンや精密誘導兵器に言及しつつベラルーシやベネズエラといった国名を挙げた。
「国際社会は、効力を失いつつある禁輸措置に代わる策を考え出さねばなりません。抑止力と結果を伴う策をです」とガラント氏は述べた。
イスラエルも核兵器を所有しているとの見方が一般的だが、イスラエル政府はこれを肯定も否定もしていない。
2015年の核合意は、ウラン濃縮計画に制限を設けてイランの核兵器開発を困難にする見返りに国際的な制裁を解除するというものだった。イランは、核エネルギーの開発は平和的利用が目的だと主張している。
イラン政府による抗議デモの弾圧とウクライナ戦争でのロシアへのドローン売却によっても、西側諸国との緊張は高まっている。欧米諸国は、イランはドローン供与によって国連安保理決議に違反していると批判している。
アメリカとEUはドローン供与をめぐってイランに多くの制裁を課した。EUはウクライナ攻撃に用いられているドローンの生産に対して、イラン革命防衛隊とつながりのある人々を処罰する方針を固めた。
その間、ここ数週間沈静化していたと思われた抗議デモは再びイラン全土を揺るがしており、体制転覆を叫んで行進する人々の様子とされる動画が17日、インターネット上に現れた。
テヘランを含む多くの都市で、先月処刑された2人のデモ参加者の死後40日目を記念して16日夕方に始まった行進は夜まで続いた。モハメド・メヒディ・カラミ氏とモハメド・ホセイニ氏に対する絞首刑は1月8日に執行された。他2名も昨年12月に処刑されている。
イラン全土に広がった抗議デモは、昨年9月に22歳のクルド系イラン人女性マフサ・アミニ氏がヒジャブ着用の規則(女性は頭部と身体を完全に覆うよう要求される)を守らなかったとして勾留された後に亡くなった事件をきっかけとしている。
17日に現れた動画では、キャラジ、イスファハーン、ガズヴィーン、ラシュト、アラーク、マシュハド、サナンダジュ、ゴルヴェー、フーゼスタン州イゼーの各都市およびテヘランの複数の地域でデモが行われている。
北東部のシーア派主体の都市マシュハドで撮影されたとされる動画では、デモ参加者たちが「殉教者の兄弟よ、必ず血の贖いはする」と叫んでいる。別の動画では、17日に南東部スィスターン・バルーチェスターン州(少数派バローチ族が多く暮らす)の州都ザーヘダーンで行われた大規模デモの様子が捉えられている。
司法当局によると、裁判所は少女をレイプした容疑者である警察署長を解任し、投獄した。この事件は人々の怒りに火を注ぎ、その後9月30日にザーヘダーンで行われた抗議デモでは、弾圧により少なくとも66人が犠牲となった。
ここ数週間、イランの騒乱は収束の兆しを見せていたものの、市民の抵抗は続いていた。
反体制の叫びは夜毎にテヘランや他の都市にこだましている。若者たちは夜間にイスラム共和国をけなす落書きをスプレーで描いたり、幹線道路で政府の主張を示す掲示板や看板を燃やしたりしている。当局の警告を無視して、スカーフを外した女性たちが通りや商店街、店舗、レストランを闊歩している。
ロイター