
モハメッド・ナジブ
ラマッラー:パレスチナ自治政府は、イスラエルによるユダヤ人入植地拡大計画を糾弾し、今後の入植活動を停止するように求める内容で論争の的となっていた国連安全保障理事会の決議を、米国が回避することに成功したことを受け、批判を浴びた。
パレスチナの野党は、世界を舞台にイスラエルの占領地問題について同国を追い詰める機会を損失したとして、自治政府とマフムード・アッバース大統領を非難した。
エルサレムの著名なファタハ運動指導者であるアーメド・グネイム氏は、アラブニュースに次のように話した。「残念ながら、我々は過去の過ちから学習しませんでしたし、それでもまだ我々は米国との約束を信じています」
イスラエルがヨルダン川西岸地区の9か所の入植地を合法化する声明を発表し、入植地の拡大計画と既存の入植地で10,000軒もの住宅を新たに建設する計画を承認してから、パレスチナの人々はユダヤ人入植地の問題を強く非難する決議の採択に向けて投票を呼びかけてきた。
パレスチナの人々は自治政府が米国からの圧力に屈し、入植地の問題について安全保障理事会で投票するよう呼びかける要求を取り下げたと考えているため、怒りと不満を抱いている。
一部の解説者は、アッバース大統領が米国による「偽りの約束と引き換えの政治的なペテン」の犠牲になったとして、彼を非難している。
彼らはパレスチナの大統領がイスラエルを世界的に追い込む好機を逸したと信じて疑わない。
イスラエルと米国当局は、ヨルダン川西岸地区における入植地の問題をめぐって、米国からの圧力と調停を受け、パレスチナ自治政府が安全保障理事会で投票するように呼びかける取り組みをやめることに同意したと話した。
以前に国連におけるパレスチナ解放機構の代表者も務めたナセル・アル・キドワ氏は、アラブニュースに次のように話した。「この一歩がパレスチナの外交手腕を弱めることになるでしょう。
次の機会に我々に味方して投票してくれる国を見つけられなくなります。我が国の政治的な戦略が明快さに欠いており、個々のパレスチナの外交活動が混乱状態にあるからです」
イスラエル政府は今後ヨルダン川西岸地区の新しい入植地の承認を控えると述べていたが、承認前に建材が届いた何千という住宅は建設される可能性が高そうだったアル・キドワ氏は言う。
外交官とオブザーバーによれば米国は、敏感な過越とラマダンの時期を前に、たとえ拒否権の行使で終わる結果になろうとも、国連での対立がイスラエルとパレスチナのさらなる問題の深刻化を引き起こすことを懸念していた。
しかしパレスチナ当局は、イスラエルの入植問題を非難する安全保障理事会での大統領の陳述を米国が支持するかもしれないと述べた。
パレスチナ人の政治運動家であるアミール・ハムダン氏はアラブニュースに次のように語った。「パレスチナ当局がしたことは、イスラエルがいつもパレスチナとたくさんの約束を交わしても何もしないことをおぼえておきながら、パレスチナの経済的な利益と引き換えに政治的な利益を安く売り出すようなものです」
彼は当局にパレスチナ人の代表として、事前の相談もなしにこの問題について決断する権利があったのか疑問を投げかけた。
彼は次のようにも付け加えた。「パレスチナの人々が目指す目標は、経済的な便宜と引き換えに投げ出される安売りの対象になったのでしょうか」
グネイム氏は米国が「パレスチナ当局に錯覚だけを売りつけ、イスラエルにパレスチナ人に対する攻撃的な政策を隠蔽する隠れ蓑を与えた」と主張する。
ガザ地区の広報を担当したハマス政治局のバシム・ナイム氏は、パレスチナ自治政府の指導者たちが、また米国からの圧力に屈して同じ「錯覚を売り込む」軽薄なゲームに興じたと声明で述べた。
声明は次のように書かれている。「あの指導者たちを隔離し、自由を求める我らが仲間の念願を達成する革命を導くパレスチナの政治制度を再建する国の戦略に愛国者たちが同意する時が来た」