
ドバイ:イランは23日、ウランを84%まで濃縮したという国際査察団による告発について、初めて直接的に認めた。これによりイスラム共和国はこれまで以上に核兵器製造可能なレベルの原材料に近づくことになる。
イラクがこれを認めたことは、イランの神権政治の最高峰にリンクされたニュースウェブサイトにより伝えられたが、これが2015 年の核合意により封じ込められていたイラン政府の核計画に改めて対処するよう西側諸国に圧力をかける形となっている。この核合意については2018年にアメリカが一方的に離脱している。その後中東全体で数年間に及ぶ攻撃が続いた。
最近首相の座を取り戻したイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、すでにイランに対し、イスラエルが以前イラクとシリアで核計画関連施設を爆撃したときと同様の軍事行動を取ると脅しをかけている。
それらの攻撃で戦争が勃発することはなかったが、しかしながらイランは弾道ミサイルやドローン、その他の兵器を保有しており、イランとその同盟国はすでにこの地域でそれらを使用している。
23日にイランがウラン高濃度濃縮を認めたという報道は、最高指導者アヤトラ・アリー・ハメネイ氏が監督するイランの国家安全保障最高評議会にリンクする同国のヌール・ニュースのウェブサイトによるものだ。
ヌール·ニュースは、全国的に発生している抗議活動のなかで「大規模かつ組織的な人権侵害に加担し、偽情報を拡散する活動を続けてイラン政権の市民に対する抑圧と迫害を正当化してきた」として、カナダから個別に制裁を受けている。
イランは最大 84%の濃縮を行ったというIAEAの査察官による告発を直接認めずに数日の間曖昧なコメントをしていたが、その後ヌール·ニュースによりイランがこれを認めたというコメントが発せられた。
ブルームバーグは当初19日に、検査官が最大84%に濃縮されたウラン粒子を検出したとの報道をしていた。ウィーンに拠点を置く国連機関 IAEA は、この報道を否定しておらず、「IAEA は最近実施した検証活動の結果についてイランと話し合っている」とだけ述べていた。
23日のコメントの中で、ヌール・ニュースはIAEAに対して「西側諸国の誘惑の餌食にならないよう」促し、イランの核計画については「完全に平和的なもの」であると宣言した。
「イランの濃縮施設で 84% の濃縮ウラン粒子を検出したという IAEA の驚くべき報告は、査察官の誤りだったか、または総会前夜にイランに反対する政治的雰囲気作りのための意図的な行動だったことが間もなく明らかになるだろう」。ヌール・ニュースはツイッター上でこう述べた。総会は、IAEA を監督する国々が参加して3月6日からウィーンで開催される。
IAEA は23日、ヌール・ニュースの発表についてコメントを求められたが、即答はしなかった。
84%のウラン濃縮が行われたとされる場所はすぐには明らかにならなかったが、IAEAは、イランのFordo地下施設で高度な IR-6 遠心分離機2機のカスケードが「イランが昨年11月にIAEAに対して宣言した操業モードとは大幅に異なる形で相互接続されている」ことを検知したと発表した。イランはFordoで最大60%のウラン濃縮を行っていたことが知られている。このレベルではイラン政府は民間利用を行っていないと、すでに核不拡散の専門家たちは述べている。
イランはナタンズ核施設でもウラン濃縮を行なっている。
兵器転用可能なウランは 最大90%まで濃縮される。
IAEA事務局長は、現在イランはその気になれば核爆弾を「数発」製造するのに十分なウランを保有していると警告したが、実際に兵器を製造し、それを小型化してミサイルに搭載するにはさらに数ヶ月かかる可能性が高い。
中東全体にじわじわと広がったイラン・イスラエル間の影の戦争を背景に、イランの核プログラムをめぐる新たな緊張も発生している。長い間イランに対する軍事行動を提唱してきたネタニヤフ首相は、今週行った講演で再びこれに言及した。
「ならず者国家が核兵器を手に入れるのをどうやって阻止するのか」。ネタニヤフ首相は修辞的な言葉で問いかけた。「サダム・フセインのイラクというひとつの例があったが、これは我が国の軍隊によって阻止された。また核兵器開発を試みたシリアという二つ目の例もあったが、それも我が国の軍事行動によって阻止された」
首相はこう付け加えた。「 待てば待つほど対応は困難になる。すでに私たちはとても長い間待っている」
AP