
モハメッド・ナジブ
ラマッラー:パレスチナ外務省は2月22日にナブルスでイスラエル政府および軍が行った「凶悪な殺戮」に対する国際社会の反応が鈍いとして、強い不満を表明した。
23日、パレスチナではナブルスでの攻撃でイスラエル軍に殺害された11人の死を悼むための大規模なストライキが行われた。
パレスチナ外務省は事件に対する海外の反応を「臆病で気弱な反応と声明……いつもと同じお決まりの定型文」と形容した。
パレスチナのリヤード・アル・マーリキー外務・移民庁長官はパレスチナ自治政府から各国に派遣されている大使たちに対し、それぞれの国および国連の外務省、意思決定機関、世論に速やかに訴えてイスラエル政府に広範な国際的圧力をかけ、違法で一方的な施策を止めさせよとの指示を出した。
パレスチナ外務省は、各大使は効果的な国際社会の反応を引き出し、イスラエルがパレスチナ人に対して行っている包括的攻撃を止めさせる方策を要求しなければならないと述べた。
23日のストライキでは、店舗や学校、銀行が閉鎖され、ヨルダン川西岸地区の都市の大通りは閑散として人も車も見当たらなかった。
パレスチナ軍が呼びかけたストライキは東エルサレムとガザ地区にも広がった。
パレスチナ軍はナブルスでの殺戮を強い言葉で糾弾し、デモ行進とヨルダン川西岸地区でのイスラエル軍への抵抗を呼びかけた。
イスラエル軍と警察は警戒レベルを引き上げ、ヨルダン川西岸地区とエルサレムでイスラエルを標的とした報復攻撃に備えた。
同時に、パレスチナ自治政府は国際刑事裁判所にイスラエルを訴えるという決意を新たにしている。
パレスチナ自治政府のイブラヒム・メルヘム広報担当大臣はアラブニュースに対し、イスラエルが何をしても罰せられないと考えて行動する限り、次の殺人は避けられないと話した。
大臣はアメリカと国連が即時に介入して、イスラエルがパレスチナ人を対象に行っている殺戮を止めなければならないと訴えた。
パレスチナの著名な政治アナリスト、ガッサン・アル・ハティブ氏はアラブニュースの取材に対し、アメリカの圧力と仲介によって国連安保理へのイスラエルに対抗する草案の提出を見送った後だけに、パレスチナ人の死傷者数と、これらの作戦のタイミングはパレスチナ自治政府の顔に泥を塗るものだと指摘した。
ナブルスでのイスラエル軍の作戦により、パレスチナ住民から見たパレスチナ自治政府の地位と信頼性は低下したとアル・ハティブ氏は説明する。
「ヨルダン川西岸地区で軍事作戦を行うにあたっては、イスラエルはパレスチナ自治政府の存在など歯牙にもかけていないことがはっきりしたのです」とアル・ハティブ氏はアラブニュースに語った。
アル・ハティブ氏はベンヤミン・ネタニヤフ首相の連立内閣は自分たちが勝利を収められるような戦場を新たに作り出すことで、内政上の危機から国外の問題へと人々の目をそらそうとしていると批判する。
氏によれば、ネタニヤフ首相にとってはパレスチナ人を殺害し、パレスチナ自治政府に恥をかかせて弱体化させることこそ、そのための最善の策だった。
パレスチナ人でイスラエル情勢の専門家、エスマト・マンスール氏はアラブニュースに対し、アメリカによる仲介努力とそれによって成立した了解事項にもかかわらず、イスラエル政府は次から次へとパレスチナ自治政府に侮辱を加えているのだと語った。
「ネタニヤフ氏が発しているメッセージは明確なものです。その意味するところは、どのような了解があろうとも、イスラエル軍はいつどこでも好きなように振る舞い、自由に作戦を行えるのだということ、そして了解事項を守らなければならないのはパレスチナ側だけで、イスラエルではないということなのです」とマンスール氏は説明した。
さらにマンスール氏はアラブニュースに、ヨルダン川西岸地区の状況は複雑化していると話した。
氏によれば、ナブルスでの22日の出来事以来、パレスチナ自治政府の作戦能力はほとんど無に等しいものになってしまった。
また、イスラエル軍はナブルスでの作戦でパレスチナ住民に多数の犠牲者が出ることも承知していたという。
「ですが、死傷者が出るのがパレスチナの側だけなら、イスラエル軍は通常で想定の範囲内の影響だと見なします」
ハマスのハゼム・カッセム報道官は次のように述べた。「ガザ地区における勇敢な抵抗は今後も続き、盾として人々を守るだろう」
カッセム報道官は、ハマスはイスラエルがパレスチナの人々に対して行っている犯罪行為を詳細に至るまで監視しており、忍耐も限界に近いとも述べた。
イスラム聖戦のタリク・セルミ報道官は次のように述べた。「パレスチナの人民には自身と自分の土地を守り、占領者による攻撃とテロに立ち向かう権利がある」
セルミ氏は、占領者による攻撃が止まなければ、怒りが爆発して暴力の連鎖が起きると警告した。
パレスチナ自治政府関係者によると、イスラエルの急襲により500人近くが負傷した。
「我々のチームは、ナブルスへの占領軍の侵入によって出た負傷者488人の手当をしました。内103人は実弾による負傷で、ナーブルスの病院に搬送されました」とパレスチナ赤十字が明らかにした。
それ以外の負傷者には、催涙ガスを吸入した人や、榴散弾で怪我を負った人々も含まれる。
パレスチナ保健省も上記の負傷者数を確認した。
イスラエル国防軍によると、ナブルスの急襲は3人の武装派組織メンバーを狙ったものだが、パレスチナ当局者によれば少なくともパレスチナ人11人が犠牲になった。