ロンドン: イスラエルのメディアの報道によると、ホワイトハウスは記者会見で、渦中にあるパレスチナの町を「消し去る」よう求めたイスラエルのベザレル・スモトリッチ財務大臣について、来週訪米する際にバイデン政権の高官と会談することはないと発表した。
ホワイトハウスは金曜の記者会見で、大臣就任後初めてワシントンを訪問するイスラエルのスモトリッチ財務大臣について、イエレン財務長官ら政府高官と会談することはない、と発表した。
スモトリッチ氏は、水曜日に開かれた記者会見で、問題のコメントを述べた。
占領下のヨルダン川西岸地区で、パレスチナ人による殺傷事件やイスラエル人入植者による暴力事件が相次いぐ中のことだった。
ハワラのパレスチナ人集落で週末に起きた入植者による暴動について問われた際に、スモトリッチ氏は「ハワラは消し去るべきだと私は思う」と発言した。暴動については火曜日にイスラエル軍将軍が「ポグロム」と表現している。
暴動は、パレスチナ人武装勢力と思われる人物がイスラエル人の兄弟2人を射殺したことに端を発している。
その数日前には、イスラエル軍がヨルダン川西岸地区で約20年ぶりの大規模な襲撃を行い、パレスチナ北部の都市ナブルスでパレスチナ人から11人の死者を出している。
スモトリッチ氏は、3月12日から14日までワシントンで開催されるイスラエル・ボンズ(Israel Bonds)の年次会議で講演する予定だ。
スモトリッチ氏のコメントは国際的な非難を浴び、中でもフォルカー・テュルク国連人権高等弁務官は「暴力と敵意を扇動する不可解な発言」と非難した。
米国務省は発言を暴力扇動とし、ベンヤミン・ネタニヤフ首相に公的に否定するよう求めた。
ネッド・プライス報道官は2日、記者団に「コメントは無責任で、到底受け入れがたいものであり、嫌悪感を抱かせるものだった」と述べた。
また、「我々がパレスチナ側の暴力扇動を非難するように、今回の、暴力扇動に相当する挑発的な発言についても同様に非難する」と述べた。
米国内のおよそ120人のユダヤ人有力者は金曜日、スモトリッチ氏の訪問に対してボイコットを呼びかける共同声明を発表した。
イスラエルのメディアが報じたところによると、声明はスモトリッチ氏について「我々のコミュニティ内でプラットフォームを与えるべきではない」としている。
「声明への署名者のリストから、スモトリッチ氏との関係を断ち切ろうとする考えが、ユダヤ人コミュニティの中で主流に近づきつつあり、その範囲は大臣への入国ビザ発給を拒否をこれまでに呼びかけてきた進歩的なユダヤ人のグループをはるかに超えていることを示した」と『ザ・タイムズ・オブ・イスラエル』は報じた。
フランス、ドイツ、日本、英国を含む19か国の代表が土曜日にハワラを訪れ、「入植者による凶悪な暴力行為を最も強い言葉で非難する」という共同声明を発表した。
「危害を意図してのことではない」
反発の高まりを受け、スモトリッチ氏は声明を発表し、メディアによる誤解があったとした。集落の抹消を求める発言を撤回することはなかった。
スモトリッチ氏は土曜日、地元テレビ局の取材に対し、「言葉が間違っていた可能性はある」と述べた
「ハワラを一掃すべきと発言したのは、罪のない人々への危害を意図してのことではない」と、同氏は土曜日にツイートした。「人は時に、意図したメッセージとは裏腹に辛辣な表現を使ってしまうものだ。それは誰にでもあることだ」
(ロイター、AFP)