
ベイルート:レバノンでは過去1週間に少なくとも4人が自殺で命を落とした。
レバノン国民は現在の経済・社会状況を耐え難く思っている。元国内治安部隊准士官のディアブ・アウディ氏がレバノンの銀行内で凍結された預金を引き出せずに心臓発作を起こし死亡するという事件も起こった。
レバノンは壊滅的な経済危機の只中にある。国連によると、同国の人口の80%以上が貧困に陥っている。
ベイルートを拠点とする調査コンサルタント会社「インフォメーション・インターナショナル」が最近発表した調査によると、記録されている自殺者数は2022年に減少した後に大幅に増加している。
2013年から2022年の年間平均自殺者数は143人。2019年が172人で最多となっている。
予備的な調査によると、この1週間の自殺者数は経済・生活条件の悪さのせいで増加している。
5日に死亡した状態で発見されたモハメド・イブラヒムさんは、地元ワルダニエで銃を使って自殺したと伝えられている。
シドン司法宮殿で裁判官の相互資金を扱う仕事をしていた彼は、財務検察官であるアリ・イブラヒム判事の甥だった。
その前日には、レバノン南部のザラリアに住むフセイン・アル・アベド・ムロウエさん(40)が、自宅を取り囲む果樹園のうちの一つにおいて死亡しているのが発見された。
彼の知人らの話から、彼が「常に経済的・金銭的問題を抱えており、特定の分野で働いていなかった」ことが明らかになった。
ジャルジョウアー在住のモウサ・アル・シャミさんも自殺で亡くなった。彼は友人に向けて遺した録音メッセージ(ソーシャルメディアにシェアされた)の中で子供たちの世話を頼んでいた。
アル・シャミさんは、経済的な負担や困難な状況に耐えられなくなったこと、子供を養うことができなくなったことを言い遺していた。
2月下旬には山岳レバノン県のダラヤ地区で、30代の若い男性が妻と4歳の子供を絞殺した後に自殺する事件が起こった。彼は借金を返済できなかったと伝えられている。
メンタルヘルス支援の管理に取り組んでいる非政府組織「エンブレイス・レバノン」は、自殺を心理学的・社会的・生物学的・文化的・環境的要因が関わるプロセスとして定義したうえで、危機、災害、暴力、虐待、慢性痛、疾患、喪失、孤立感といった経験が相まって起こる行動であるとしている。
同組織は、差別に苦しむ社会的弱者の集団において自殺率が高いこと、また自殺の最大のリスク要因は過去の自殺未遂歴であることを指摘している。
2022年に中央統計局と国際労働機関が実施した調査によると、国の通貨が崩壊し、国際社会から求められている改革を国が実行できていない結果、退職手当やその他の社会保険から収入を得ている世帯の割合は28%から10%に減少している。
また、収入源を失えば(1ヶ月間さえも)生活できなくなる世帯の割合は85%に上るという。
一般労働組合のベチャラ・アル・アスマル代表は6日、ナジーブ・ミカティ暫定首相と面会した。
アル・アスマル代表はその後、次のように述べた。「国は収入を求めているが、それは国民の90%を犠牲にするものであるべきではない」
「この困難な時期には税金・諸費用が下がらなければならないが、現実には国は税金・諸費用を上げ、中央銀行のサイラファ・プラットフォームの為替レートを1ドル7万レバノンポンドに引き上げた。その結果、被雇用者は平均で収入の価値の56%を失った」
「これらの決定は全て、適切な検討を経ずに実施された」
同代表は続けた。「軍や民間の退職者は皆貧しくなっている。公共部門における賃金は未だに以前の公式為替レートである1ドル1500レバノンポンドで支払われている」
「業者がドルで価格を付けることを国が許可してから、商品価格設定が極めて異常な状態になっている。ラマダンが近づけば市場に混乱が生じる可能性がある」