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イスラエルによるヨルダン川西岸地区急襲でパレスチナ人少なくとも6人死亡

イスラエル軍による急襲で煙が立ち上る中、鳥が飛んでいる。2023年3月7日、ヨルダン川西岸地区のジェニン・パレスチナ難民キャンプ。(AFP)
イスラエル軍による急襲で煙が立ち上る中、鳥が飛んでいる。2023年3月7日、ヨルダン川西岸地区のジェニン・パレスチナ難民キャンプ。(AFP)
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08 Mar 2023 07:03:18 GMT9
08 Mar 2023 07:03:18 GMT9
  • イスラエル軍は、先週ヨルダン川西岸地区北部の町ハワラでイスラエル人の兄弟2人の殺害に関与した容疑者らを逮捕するためにジェニンに入った
  • パレスチナ保健省によると、6人が銃撃され死亡し、少なくとも10人が負傷した。

エルサレム:イスラエル軍は7日、占領下のヨルダン川西岸地区の都市ジェニンを急襲した。その結果発生した銃撃戦でパレスチナ人少なくとも6人が死亡し、10人が負傷した。パレスチナ保健当局が伝えた。

イスラエル軍関係者らが、事件がまだ収束していないという理由で匿名を条件に語ったところによると、同軍は先週ヨルダン川西岸地区北部の町ハワラでイスラエル人の兄弟2人の殺害に関与した容疑者らを逮捕するためにジェニンに入った。同じ理由で近くにある紛争多発都市ナブルスでも急襲を実施したという。ナブルス住民が伝えるところでは、同軍は少なくとも2人を逮捕してから撤収した。

ジェニン難民キャンプを拠点に緩やかに組織された武装組織「ジェニン旅団」は、キャンプ内のある家屋を包囲したイスラエル兵に向かって同組織の戦闘員が銃撃や爆発装置投擲を行ったことを明らかにした。また、容疑者らが投降を拒んだためイスラエル軍がその家屋に向けミサイルを発射したと同組織が報告した後に家屋から黒煙が立ち上る様子が映像に映っていると述べた。

パレスチナ保健省によると、モハメド・ガザウィ氏(26)を含む6人が銃撃され死亡し、10人が負傷した。同氏以外の5人の死者についての詳細は今のところ明らかにされていない。

ジェニン旅団はテレグラムに、同組織の戦闘員がイスラエルのドローン2機を撃墜したとして、若者たちが荒々しく歓声を上げながら黒焦げになったドローンを持ち上げて自撮りする様子を撮影した動画を投稿した。イスラエル軍は、この報告については認識しているとしながらも、その場でのコメントは避けた。

7日の急襲は、イスラエル軍がヨルダン川西岸地区北部で実施し多くの犠牲者を出している一連の逮捕作戦の最新のものだ。占領下の同地区では暴力事件や死者の数が近年最悪のレベルにまで増加している。過去1年間にイスラエル軍による急襲が連日のように行われる中で、人口密度の高いジェニン難民キャンプが過激派活動の拠点として浮上している。

AP通信の集計によると、今年に入って60人以上のパレスチナ人がイスラエル軍による銃撃で死亡しており、その約半数が武装勢力の戦闘員である。一方、同期間のパレスチナ人のイスラエル人に対する攻撃による死者は14人で、1人を除き全て民間人だ。

先月にはナブルス旧市街において、最近結成された過激派組織「獅子の巣」を標的としたイスラエル軍による急襲が異例の昼間に実施されたことで、数時間にわたる銃撃戦が発生し、パレスチナ人10人が死亡した。複数のパレスチナ武装組織は、犠牲者のうち6人が戦闘員だと述べた。それ以外は居合わせた人々とみられる。

7日、ジェニン急襲の前、極右であるイスラエルのイタマル・ベングビール国家安全保障相がヨルダン川西岸地区の都市ヘブロンでお祭り騒ぎをするユダヤ人らに加わり、強硬派入植者コミュニティの住民らと共に踊ってプーリームの祝日を祝った。

自らが指揮する様々な部隊の制服の要素を組み合わせた衣装を着たベングビール大臣は、ヘブロンのイスラエル人入植地で行われたイベントで、参加者や兵士らと共に歌い踊り、自撮りをした。ベンヤミン・ネタニヤフ首相の新政権に参加している超国家主義政治家である同大臣は、隣接する入植地に住んでいる。

これは、ベングビール大臣をはじめとするイスラエル新政権内の同調者らによって鼓舞された超国家主義入植者らがヨルダン川西岸地区で行った最新の示威行為だ。その前夜には、先週暴徒化した入植者らが車や家屋に放火する事件が発生した町で、入植者らがパレスチナ人1人を負傷させた。

イスラム教徒、キリスト教徒、ユダヤ教徒が聖地と見なす「族長たちの墓(マクペラの洞穴)」があるヘブロンは紛争が多発する都市だ。20万人以上のパレスチナ人が住む同市の中心にある要塞化された飛び地に、数百人の強硬派入植者が軍による保護のもとで暮らしている。

7日の祝祭は厳重な警備のもとで行われ、人々は入植地からイスラエル支配下の繁華街へと練り歩いた。この繁華街では長年、パレスチナ人が退去や店の閉鎖を余儀なくされている。

ネタニヤフ政権内で小さな超国家主義派閥を率いるベングビール大臣は、ヘブロンでは長年よく知られた顔だ。政権入りする以前には数十回逮捕されており、扇動およびユダヤ人テロ組織支援の罪で有罪判決を受けたこともある。

同大臣は最近まで居室にバールーフ・ゴールドシュテイン氏の写真を飾っていた。この人物は過激なユダヤ人入植者で、1994年に「族長たちの墓」(イスラム教徒にはイブラヒミ・モスクとして知られる)で礼拝中だったパレスチナ人29人を殺害した。この銃撃事件はその年のプーリームに発生した。

7日にはボディーガードに囲まれていたベングビール大臣は今や、入植者運動を主導するメンバーを含むイスラエル政府の著名人だ。同大臣は子供を抱きながら群衆と握手し、自分の衣装の意味を説明し、「治安部隊員の皆、愛してるよ」と言った。

この祝祭は、ヨルダン川西岸地区におけるイスラエル人とパレスチナ人の間の緊張が高まっているタイミングで行われた。

医療関係者によると、紛争多発都市ハワラで6日遅く、入植者らがパレスチナ人1人を負傷させた。この町では2月26日、イスラエル人の兄弟2人がパレスチナ人の男によって射殺された後、それに対する報復として入植者らが暴徒化し建物や車に放火するという、入植者による襲撃としては過去数十年で最悪の事件が発生した。

6日遅く、入植者の集団がバンに乗って大音量で音楽を流しながらハワラのメイン通りにやって来た。パレスチナ当局は、これは挑発行為だったとしている。6日夜は、仮装とお祭り騒ぎで祝われることの多いプーリームの始まりにあたる。

ヨルダン川西岸地区北部のイスラエル人入植地を監視しているパレスチナ当局者のガッサン・ダグラス氏によると、数人の入植者がスーパーマーケットを襲撃した。救急医療隊によると、1人が頭部を負傷して治療を受けた。

スーパーマーケットの近くの防犯カメラに残されていた映像を見ると、入植者らが店に投石し、パレスチナ人らが石を投げ返しているように見える。店の外では、黒い服を着たイスラエル人らが投石したり、人が乗っている車の窓ガラスを叩いたりしている。

一般人が撮影した動画を見ると、ハワラのメイン通りで入植者らが兵士らと共に踊っているように見える。側面が「ハッピー・プーリーム」という言葉で飾られたバンも映っている。イスラエル軍は、兵士らの行為は「期待される行動に沿わない」ものであり、現在調査を行っていると述べた。

イスラエルは1967年の中東戦争でヨルダン川西岸地区をガザ地区、東エルサレムと共に占領した。パレスチナ人はこれらの土地を将来の国家の領土として求めている。占領が始まって数十年で、50万人以上のユダヤ人入植者が数十の入植地に移住してきた。国際社会はこれらの入植地は違法であり和平への障害であると見なしている。

AP

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