
カイロ:エジプト外相は、大エチオピア・ルネサンスダム(GERD)に関するエチオピアの一方的な慣行に改めて懸念を示し、「世界で最も乾いた国として異例の水不足に苦しむ」エジプトに大きな危険をもたらす可能性があると指摘した。
エジプトは希少な淡水の90%以上をナイル川から得ており、同ダムが自国の経済を荒廃させることを懸念している。一方でエチオピアは、同ダムの建設が自国の経済発展と発電の鍵になると主張している。
スーダンは同ダムの安全性に懸念を抱いており、自国のダムや給水所での水流を制限している。
そのため、ダムの貯水と運営をめぐる3国間の激しい争いは、いまだ解決されていない。
サーミフ・シュクリー外相は、エジプトが議長国を務めたアラブ外相評議会第159回会合の開会式で、水曜日に発言した。
「エジプトの国家安全保障に致命的な結果をもたらす極めて重要な優先度の高い問題、すなわち、共通河川流域におけるエチオピアの一方的な慣行の危険性についてしっかりと触れなければならない。その中でもGERDは最も顕著な現状の課題である」と述べた。
シュクリー外相は、エチオピアが下流の2カ国と拘束力のある法的合意に達することなく、ダムの建設と貯水の作業を続けていることを強調した。
また、エジプトが「アラブの兄弟諸国に協力を仰ぎ、エチオピアに一方的で非協力的なやり方を放棄させ」、さらに「下流国の人々の生活を損なうことなくエチオピアの経済利益を完全に達成できることを証明した、交渉の場で提案されたいずれかの妥協案を採択するために必要な政治的意志」を示させると強調した。
評議会の議長であるシュクリー外相は、GERDをアラブ連盟の常任議題とすることを決定したと発表した。
シュクリー外相は、アラブ連盟のアフマド・アブルゲイト事務総長とともに記者会見に臨み、この決定が 「下流2カ国の権利を守る」というコミットメントを確認したものだと述べた。
さらに、「エジプトは何年も前からアラブ連盟にGERDの問題を提起してきた」と続けた。
「協議会で提起され、4年前にそれに関するアラブ側の見解が出されたが、エジプトとスーダンの水利権を支持するアラブの決定があることは重要だ」
「これは、エジプトとスーダンの人々、つまり1億4千万人以上のアラブ人に関わることであり、他のアラブ兄弟諸国にも影響を与えるものである」
今回のアラブ連盟の決定により、「GERDの問題はアラブの国家安全保障に関わるため、エチオピアに柔軟性を示すよう働きかけることができている」とシュクリー外相は述べた。
さらにシュクリー外相は「特にエチオピアとアラブ諸国との間には二国間関係と利害関係があり、これらの関係がこの問題によって影響を受ける可能性があるため、エチオピアはこの問題に関してアラブ22カ国との共通のビジョンがあることに留意しなければならない」と付け加えた。
シュクリー外相は、一方的なやり方に固執すれば、ダムの影響を受ける国々の間にさらなる緊張と否定的な相互作用をもたらすことに繋がると述べた。
また、エジプトはアラブ連盟や地域グループ間の共同行動や関係の強化に取り組んでいると付け加えた。
さらにシュクリー外相は、6月にアラブ外相と欧州外相の会合を開催することが決定したと述べた。