• エジプトのアフリカ問題担当外務副大臣は、この批判は大エチオピア・ルネッサンス・ダムの貯水による下流への影響に関する法的責任を回避するための策略だと述べた
• エチオピアが2020年に段階的にダムへの貯水を開始したことで、下流に位置し、ナイル川の水の分配量が減ることを恐れるエジプトおよびスーダンとの緊張が高まった

ゴブラン・モハメド

カイロ：エジプト政府はナイル川の水をめぐる議論を政治問題化させているというエチオピアによる批判をめぐって、エジプトがエチオピアを非難し、この批判は大エチオピア・ルネッサンス・ダムの影響に関する法的責任を回避するためのものだとした。

このダムは2011年から建設が進められており、エチオピアが2020年に段階的にダムへの貯水を開始したことで、下流に位置し、ダムによるナイル川の水の分配量の減少を恐れるエジプトおよびスーダンとの緊張が高まった。両国はエチオピアに、ダムの貯水および運用に関する法的拘束力のある合意を交わすことを求めている。

エジプトのアフリカ問題担当外務副大臣であるハムディ・ロザ氏は12日に、ダムプロジェクトがエジプトの水の安全保障に及ぼす影響に関するエジプト政府の懸念は本物であり、文書化された科学的研究に基づくものだと述べた。

また、エジプトはこの問題を政治問題化させているという、エチオピアが繰り返しており、最近エチオピアの外交問題担当国務大臣によって再び発せられた主張について、法的責任を回避しようとするものであり、国際法と善隣の原則を無視するものだとして一蹴した。

外務省からの声明の中で、ロザ氏は次のように述べている。「エチオピアの政府高官らが、時間を稼ぎ、合意なしにダムの貯水を継続するための新たな企てとして、アフリカ連合の仲介のもとでの交渉再開への意向と願望を表明し続けているのは残念なことだ」

「結果が出ることなく10年にわたって交渉が続いたことが、エチオピアのかたくなな姿勢の証左である」

ロザ氏は加えて、最近のエチオピア政府高官らによる、下流の国の権利を無視してダムへの貯水を継続する完全な自由に関する発言は、交渉ではどうにもならないこの問題への一方的なやり方をさらに明らかにするものだと述べた。

エチオピア外務省のメレス・アレム報道官は、ダムの建設および運用は、スーダンやエジプトにいかなる悪影響ももたらさないとして、エチオピアはこのプロジェクトへの懸念に対するアフリカとしての解決策を見つけるため取り組み続けると述べた。

エチオピアのメディアの報道によると、同国の外交問題担当国務大臣であるミスガヌ・アルガ氏は、エチオピア政府の姿勢はアフリカ連合の仲介のもとで3国間の交渉を継続する必要性に沿ったものだと語っている。

アルガ氏はアフリカ連合委員会委員長のムーサ・ファキ氏との会談で、「ナイルの水とダムの問題を政治問題化しようとするエジプトの企ては、誰の利益にもならない」と語った。また、アフリカ連合が「現地の実情に基づいた交渉の継続において積極的役割を果たす」ことへの期待を表明した。

エジプトは淡水供給の90%以上をナイル川から得ており、ダムによる水量減少が自国の経済を壊滅させるかもしれないと恐れている。スーダンはダムの安全性と、自国のダムおよび発電所への水流に対する影響について懸念している。エチオピアは、このプロジェクトは自国の経済発展と発電に不可欠なものだとしている。結果として、ダムの建設、貯水、運用をめぐっての長期に及ぶ激しい議論はいまだ解決に至っていない。

先月、サーメハ・シュクリ外相は、ダムの運用にかかわるエチオピアの動きに関し、エジプトの懸念を再度表明した。「世界で最も乾燥した国として比類ない水不足に苦しむ」エジプトに多大な危険をもたらす可能性があると、同氏は述べている。

アラブ外相理事会第159回会議の始めに話した同氏は、次のように述べた。「優先度の高い極めて重要な問題について取り上げないわけにはいかない。エジプトの国家安全保障に重大な影響をもたらす問題である。それはすなわち、共有の流域に対するエチオピアの一方的なやり方の危険であり、中でも大エチオピア・ルネッサンス・ダムは、最近の最も顕著な表れだ」

シュクリ氏は、エチオピアが下流の隣国2国と拘束力のある法的合意に至る前にダム貯水のプロセスを継続していることを再び非難した。