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米上院議員ら、イラク戦争のための軍事力行使承認決議の廃止へ最初の一歩

米国在郷軍人会の代表を交えて、2011年9月11日の同時多発テロ後に成立した軍事力行使承認決議について報道陣に語るトッド・ヤング米上院議員と民主党のティム・ケイン上院議員(右)。2023年3月16日。ワシントン。
米国在郷軍人会の代表を交えて、2011年9月11日の同時多発テロ後に成立した軍事力行使承認決議について報道陣に語るトッド・ヤング米上院議員と民主党のティム・ケイン上院議員(右)。2023年3月16日。ワシントン。
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17 Mar 2023 09:03:32 GMT9
17 Mar 2023 09:03:32 GMT9
  • サダム・フセインを倒したイラク戦争から20年、米でイラク戦争のための軍事力行使承認決議の廃止に向けた超党派の動きが始まった
  • イラク戦争では5,000人近くの米兵が死亡した。イラク側の死亡者数は数十万人に及ぶと推定されている

ワシントン:米上院は、木曜日、イラクでの軍事行動を無制限に承認する2つの決議の廃止に向けて、イラク戦争から20周年の節目に、最初の一歩を踏み出した。

2003年3月のイラク侵攻を承認した2002年の決議と、イラクの指導者だったサダム・フセインの部隊をクウェートから駆逐するための米国主導の湾岸戦争を承認した1991年の決議を廃止する法案を、米上院は68対27で可決した。19人の共和党議員が民主党議員と共に法案を支持した。

米軍の攻撃や展開に対する議会の権限を取り戻そうとする両党の議員らが戦争承認は既に不必要となり放置が続けば悪用され得ると主張する中、この超党派の取組が為された。

ジョー・バイデン大統領もこの動きを後押しし、ホワイトハウスは木曜日にこの法案を支持する声明を発表した。

「これらの承認を廃止したからといって米軍の現在の作戦に影響が出るわけではありません。これらの承認の廃止は、イラクのパートナーたちとの強固で包括的な関係への米政府の責任への支えとなります」と、ホワイトハウスは述べた。

共和党が多数を占める下院のリーダーがこの法案を採決にかけるか否かは不明である。2年前に多数派だった民主党が採決を行った際には、49人の共和党下院議員がこの法案を支持したが、現在の下院議長であるケビン・マッカーシー氏は当時は反対していた。

共和党上院議員もこの法案に関しては一枚岩にはなっていない。19人の共和党上院議員が賛成票を投じた一方で、反対する議員らは承認廃止は米国の敵の目に米国の弱さと映りかねないと主張している。

ドナルド・トランプ大統領時の米政権が、イランのガーセム・ソレイマニ将軍を殺害した2020年の米無人攻撃機による攻撃の法的正当化の一部として、2002年のイラク戦争決議を引き合いに出したことを反対派は指摘している。

2020年10月、ブッシュ大統領にイラク侵攻のための広範な権限を与える採決が行われた。

この年の中間選挙のちょうど一ヶ月前である。米国全土で軍事攻撃が正当化し得るか否かの議論が繰り広げられる中、この採決は多くの議員にとって決定的な瞬間となった。

米国は、当時、2001年9月11日の同時多発テロを行ったアルカイダを匿ったアフガニスタンで既に戦争中だったが、それにはイラクは何ら関与していなかった。

当時上院で決議案に反対票を投じたイリノイ州選出の民主党のディック・ダービン上院議員は、木曜日の投票前に議場で、「他の議員たちも同感だと確信していますが、振り返って見るとこれまでで行った中で最重要の投票です」と述べた。

「この軍事力行使の承認の廃止は米国が無抵抗主義の国家になったことを意味するわけではありません」と、ダービン上院議員は言った。「それは、米国が立憲的な国家であり私たちの建国の父たちが根拠としたことが尊重されるのだということを意味しています」

ブッシュ政権は、サダム・フセインの大量破壊兵器に関する虚偽情報を拡散し、議員たちや国民を煽り、イラク侵攻への支持を取り付けた。

2003年3月の最初のイラク侵攻後、米国の地上展開部隊は核や化学兵器のプログラムに関する疑惑は無根拠であることに気づいた。

しかし、米国がイラクの治安部隊を解体したことにより、宗派間の残酷な争闘やイスラム過激派グループの暴力的な政治運動が誘発されてしまった。

自動車爆弾や暗殺、拷問、誘拐が、その後何年もの間、イラクの日常生活の一部となってしまったのだった。

イラク戦争では5,000人近くの米兵が死亡した。イラク側の死亡者数は数十万人に及ぶと推定されている。

ホワイトハウスは、バイデン大統領が議会と協力し、既存の承認決議を「現代のテロリストの脅威から米国人を保護するための綿密で具体的な枠組み」に置き換える方向であると、方針表明で述べた。

議会が「承認廃止の効果と世界中の米軍や米国政府職員、米国の国益が直面している脅威について明確かつ十全な理解をしている」ことを確信したいというバイデン大統領の意向を同方針表明は伝えている。

チャック・シューマー上院院内総務は、採決の数時間前に、イラク紛争はこれまで「あまりにも多大な苦しみ」の原因となっており今回の承認廃止が超党派での取組となっていることを嬉しく思うと述べた。

「米国人は中東での終わりのない戦争に疲れています」と、シューマー上院院内総務は語った。

ワシントン、2023年3月16日 フランス通信:米軍がサダム・フセインを権力の座から引き摺り下すためにイラクに侵攻してからほぼ20年、米上院は、木曜日、当時のブッシュ大統領に戦争開始を許可した決議を撤回する方向に踏み出した。

戦争が公式に終結してから10年以上を経て行われた手続き上の採決において、当時のブッシュ大統領に米軍をイラクに派遣する権限を与えた2002年の軍事力行使承認決議(AUMF)の取り消しを両党の上院議員たちが強く支持した。

同法案は、サダム・フセインの部隊のクウェート侵攻後に当時のジョージ・H・W・ブッシュ大統領(イラク戦争時のブッシュ大統領の父)にイラクを攻撃する権限を与えた1991年のAUMFも無効にする。

「イラク戦争自体ずっと昔に終了しています。このAUMFは時を経て目的を失い、それを有効なままにしておくことはもう正当化できません」と、チャック・シューマー上院院内総務は語った。

「こうしたAUMFを放置しておくと、将来の政権が悪用してしまいかねません」と、シューマー上院院内総務は言った。

2002年のAUMFは存在意義をほぼ失っているのだ。

しかし、2002年のAUMFは、過去10年間、数々の軍事行動の正当化のために利用されてきた。

例えば、米兵を収容する基地にロケット弾を発射したイラン系武装組織への在イラク米軍による報復の法的根拠として用いられたこともある。

たとえイラクの民主主義にとって脅威と見做し得るような行動であっても、2002年のAUMFにより、米国大統領はその実行を米軍に命令できるからだ。

最も顕著な例は、2020年1月、当時のドナルド・トランプ大統領の命令により米軍がイランのガーセム・ソレイマニ将軍をバクダッドで暗殺した際に、2002年のAUMFが引用されたことだ。

そのため、米国大統領が2002年のAUMFを利用し、イラン政権がイラクの脅威となっているとして、イランとの戦端を開き得ることが懸念されていたと、ブルッキングス研究所の国家安全保障法の専門家であるスコット・アンダーソン氏は述べた。

「最大のリスクはより広範に適用し得ることにあります」と、アンダーソン氏は議会の本来の意図を超えた利用が可能である点を指摘した。

2021年の政権発足以来、ジョー・バイデン大統領は1991年と2002年のAUMFの廃止を議会に呼びかけてきた。

しかし、来週上院で最終採決が行われその後下院に送られ得るこの法案では、アフガニスタンでの戦争を対象とした2001年の軍事力行使承認決議への措置が取られることはない。

アルカイダとその派生組織に対する軍事行動を大統領が命令できるという広範な権限を含むこの軍事力行使承認決議は、シリアやイエメン、ソマリアそしてアフリカの他の地域を含む数々の国で長期間の作戦行動を行うために利用されている。

バイデン政権は、1991年と2002年のAUMFの廃止についての木曜日の声明で、バイデン大統領には議会と協力して他の「期限切れの軍事力行使承認決議」を「現代のテロリストの脅威から米国人を保護するための綿密で具体的な枠組み」に置き換える用意があると述べた。

AP

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