
カイロ:エジプト南部アビドスのラムセス2世神殿の周辺地域で発掘調査にあたっている、アメリカのニューヨーク大学考古学調査団は、第6王朝時代の巨大な建造物に加えて、プトレマイオス朝(紀元前332年~同30年)時代の2,000個以上の雄羊の頭部のミイラを発見した。
文化遺産の保護を委任されているエジプト考古最高評議会のモスタファ・ワジリ事務総長は、今回の発見はソハーグ県アビドスにあるラムセス2世神殿とその周辺地域の歴史に関してより詳細な知識を与える点で重要だと説明する。
ワジリ氏によると、調査団は雄羊の頭部のミイラの近くで雌羊、犬、野生の山羊、牝牛、鹿、マングースといった動物のミイラも多く発見した。発見場所は、神殿の北の区域内で新たに見つかった貯蔵室だという。
調査団のリーダー、サメ・イスカンデル氏によると、羊のミイラはプトレマイオス朝時代のアビドスで奉納の供物として用いられたと考えられる。
一方、発見された第6王朝時代にさかのぼる巨大な建造物の方は、特異な建築デザインが特徴である。幅約5メートルの巨大な分厚い壁が目を引くという。
イスカンデル氏は、この建造物の調査により、アビドスの古王国時代の人々の活動と建築について行われている研究がさらに進むだろうと述べた。
エジプト考古最高評議会の上エジプト古文化財中央局を率いるモハメド・アブデル・バデイ氏によると、調査団はラムセス2世神殿とその付属物を囲む建造物の北壁の一部の発見にも成功した。
調査団によるその他の発見には、彫像の破片、パピルス、古代の樹木、衣類、革製の靴などがある。
アビドスは上エジプト最古の都市の1つで、セティ1世神殿やラムセス2世神殿を含む多くの重要遺構がある。