
テルアビブ:エルサレムのアル・アクサモスクを今週イスラエル警察が襲撃し、緊張が高まる中、6日にレバノンからイスラエルに30発以上のロケット弾が発射されたと、イスラエル軍が発表した。
ベンヤミン・ネタニヤフ首相は攻撃を受けての対応を決めるため治安担当閣議を開くことにした。今回の攻撃は、イスラエルが重武装したレバノンのヒズボラと戦争を行った2006年以来最大規模のレバノンからイスラエルへのロケット攻撃となった。
イスラエル軍報道官は、6日のロケット攻撃についてハマスを非難するとともに、イスラエルはレバノン政府にその領土から発射されたロケットについての責任を帰するとも述べた。
「レバノンからロケットを発射したのはレバノンのハマスだ」と、アビチャイ・アドリー氏はツイートで述べた。
「誰も我々を試すべきではない。我々は、我が国と国民を守るためにあらゆる必要な措置を講ずる」と、エリ・コーヘン外相はツイッターで述べた。
イスラエル軍は、34発のロケットがレバノンから発射され、そのうち25発はイスラエルのミサイル防衛システム「アイアンドーム」によって迎撃されたと発表した。イスラエルの救急隊によると、男性1名が破片による軽傷を負ったという。
イスラム教の聖月ラマダンの期間にエルサレムにあるアル・アクサモスクの敷地を襲撃したことで、イスラエルが世界的な圧力にさらされる中、今回の攻撃が行われた。ラマダンは今年、5日夜から始まったユダヤ教の過越祭の祝日と重なっている。
犯行声明は出されていないものの、あるイスラエル軍関係者も、イスラエルは攻撃はパレスチナ人に関係したものだという想定のもとで行動していると述べた。
非イスラエル人の治安情報筋3人も、ロケット発射はヒズボラではなく、レバノンのパレスチナ人勢力によるものと思われるものの、ヒズボラが許可を与えたはずだと広く考えられていると語った。
「撃ったのはヒズボラではないが、ヒズボラが知らなかったとは考え難い」と、元イスラエル軍諜報部トップのタミル・ハイマン 氏はツイッターで述べた。
ガザ地区を支配するイスラム教主義組織ハマスのトップであるイスマーイール・ハニーヤ氏がレバノンを訪問中だったが、同組織からただちにコメントの発表はなかった。レバノン軍やヒズボラからもただちにコメントはなかった。
テレビの映像では、イスラエル北部国境の町Shlomi上空に大量の煙が上がっており、通りには大破した車が見られた。公共放送KANによると、イスラエル空港局はハイファとロシュ・ピナにある北部の空港を閉鎖した。
Shlomiにある自宅の防備を固めた部屋から語ったLiat Berkovitch 氏は、「私は震えています。ショックを受けています」と、イスラエルのチャンネル12のニュースに述べた。「ドーンという音を聞きましたが、まるで部屋の中で爆発したような音でした」
自制の呼びかけ
南レバノン国連平和維持軍(UNIFIL)は声明書の中で、事態は「極めて深刻」だと評し、自制を呼びかけた。UNIFILのアロルド・ラザロ指揮官が双方の当局と連絡をとっているとのことだった。
イスラエルとパレスチナの間の暴力激化が続いた1年を経て、さらなる衝突の高まりが懸念される中、国連安全保障理事会はこの危機について話し合う非公開会合を開いた。
米国のロバート・ウッド国連代理大使は、中東の状況を深刻だと評し、緊張を悪化させてはならないと述べた。
ウッド氏は、「緊張緩和のために皆が出来ることをすることが重要となる」と、安全保障理事会の会合に向かう途中で記者に語った。
ロケット弾発射は、ベンヤミン・ネタニヤフ首相の宗教的民族主義政府にさらなる混乱をもたらすものだ。ネタニヤフ首相は、エルサレムのアル・アクサモスクにおける今週の暴力事件以前に、最高裁判所を制御しようとする自身の提案に対する大規模な抗議運動に直面していた。
ネタニヤフ氏は先週、激しい議論の的となったこの司法改革プランを延期した。
ロイター