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酷い攻撃後に高まる、イスラエルとパレスチナ間の緊張状態

2023年4月7日、イスラエルのテルアビブでの攻撃現場の概観。(ロイター)
2023年4月7日、イスラエルのテルアビブでの攻撃現場の概観。(ロイター)
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09 Apr 2023 02:04:24 GMT9
09 Apr 2023 02:04:24 GMT9
  • 7日、テルアビブで歩道に車が突っ込み、イタリア人観光客が死亡、5人が負傷した
  • イスラエルの治安筋は、加害者をカフル・カシム出身のイスラエルのアラブ系市民と特定した

テルアビブ:7日、テルアビブで歩道に車が突っ込み、イタリア人観光客が死亡、5人が負傷した。イスラエルが占領するヨルダン川西岸地区で、イスラエル人の姉妹2人が銃撃され死亡してから数時間後の事件だった。

前夜にもガザとレバノンの国境地帯で攻撃の応酬があり、今回の攻撃は、今週起こったイスラエル警察によるエルサレムのアル・アクサモスクへの立ち入り強制捜査に続き、イスラエルとパレスチナの間の緊張を高めた。

イスラエルはガザとレバノン南部のイスラム主義勢力ハマスの関連施設を標的に攻撃して、ロケット弾の集中砲撃に対抗したため、一晩で緊張状態がより広範な紛争へと激化する恐れがあったが、7日、衝突は一時治まっていた。

しかし、連夜の攻撃で世界的に警戒感が広がり冷静さを求める声が上がったが、この2つの攻撃は、いかに一触即発の状況が続いているのかを浮き彫りにした。

直近の攻撃では、テルアビブの商店街にある人通りの多い自転車と散歩用道路近くの通りで、車が歩行者に突っ込んだ.警察によると、運転手が銃を抜こうとしたので、近くにいた警察官によって射殺されたという。

イスラエルの治安筋は、加害者をカフル・カシム出身のイスラエルのアラブ系市民と特定した。

事件直後のロイター通信のビデオには、公園の芝生の上に白い車が逆さまになっている様子が映っていた。警察によって、多数の緊急対応要員が詰めかけているエリアに規制線が敷かれた。

マーゲン・ダビド公社の救急車サービス担当者によると、犠牲者はすべて外国人観光客だった。イタリアのアントニオ・タヤーニ外相は、イタリア人が1名死亡し、その他にもイタリア人が負傷した可能性があると発表した。

7日未明にも、ヨルダン渓谷のユダヤ人入植地ハムラ付近で、車に乗っていたイギリスとの二重国籍のイスラエル人姉妹(20歳と16歳)が銃撃で死亡し、その母親が負傷している。

ベンヤミン・ネタニヤフ首相は、ヨアフ・ギャラント国防相とともに事件現場を訪れた後、「敵は再び、我々に試練に与えている」と語った。

兵士らが銃撃した犯人を追う中、ネタニヤフ首相は、相次ぐ攻撃に対抗するため、国境警備隊の予備役と追加の軍隊を動員するよう命じた。

米国務省は、「国籍を問わず、罪のない民間人を標的にすることは不当な行為である」と述べ、攻撃を非難した。

7日のいずれの攻撃についても、犯行声明は出されていない。しかし、封鎖されたガザ地区を支配するイスラム主義勢力のハマスが、一連の攻撃を称賛しており、アル・アクサモスク周辺の緊張状態とも関連があるという。

7日の金曜礼拝は、いくつかの投石を除けば大きな事件もなく執り行われた。警察によると、事態は沈静化していたという。

イスラエル警察は今週2回にわたり、イスラム教徒の聖なる月ラマダン中に数十万人が礼拝に集まるモスクに立ち入り、強制捜査を行い、騒動を起こす目的でバリケードを作ったと警察が主張する集団を排除した。

イスラエルの警官が抵抗する礼拝者を殴打する映像は、イスラエルの同盟国の間でさえ懸念を引き起こし、アラブ世界中に非難の嵐を巻き起こした。

エルサレム旧市街にあるこの場所は、イスラム教徒とユダヤ教徒の両方の聖地で「神殿の丘」として知られているが、長年の火種となっている。特に、モスクの敷地内でイスラム教徒以外の礼拝が禁止されているが、ユダヤ教徒の来訪者はこれを拒否し、対立が続いている。

ここで起こった2021年の衝突は、イスラエルとハマスとの間で10日間にわたる紛争の引き金となった。国境地帯の砲撃の応酬は、その紛争の記憶を想起させた。しかし7日、攻撃は小康状態となり、どちらの側も攻撃を長引かせようとはしていないと思われた。

イスラエル軍の広報担当者は、「いま誰も、エスカレートを望んでいない」と述べた。「冷静になるのであれば、冷静に応じるだろう。私が思うに、現段階では、少なくとも今後数時間はこの状態が続くだろう」

パレスチナの武装組織の関係者の一人は、ロイター通信に対し、イスラエルも冷静に対処するのであれば、その集団も「自分たちの主張を通すことができた」とし、冷静に応じる用意があると述べた。カタール政府関係者は、カタールは事態の緩和のための各国の取り組みを支援していると述べた。

ヨルダン川西岸地区ではここ数日の突発的な攻撃が起こる前から、過去数カ月の間に対立が激化している。パレスチナ人による攻撃が相次ぐ中、イスラエル軍の立ち入り強制捜査が度々行われ、イスラエル入植者の暴力もエスカレートしている。

今年に入ってから、少なくとも18名のイスラエル人と外国人が、イスラエル、エルサレム周辺、ヨルダン川西岸地区での攻撃で殺害されている。同時期に、イスラエル軍は80名以上のパレスチナ人を殺害しており、そのほとんどが武装組織の戦闘員だったが、一部民間人も含まれていた。

ガザでは夜通し砲撃があったため、数台のタクシーと緊急車両を除いて、通りはほぼ何もない状態だった。ガザのトゥファ地区では、一部の住宅と小児病院が被害を受けた。

タクシー運転手のムハナド・アブ・ネアマ氏(23)は、家族といっしょに自宅近くであったイスラエルの空爆からかろうじて逃げることができたが、部屋はゴミやがれきでいっぱいで、車にも被害があったと語った。

「ホコリでほとんど何も見えませんでした。ゴミで妹たちのベッドが覆われてしまい、一人ずつ救い出すことになりました」と語った。

国際主導の和平プロセスが長らく停滞している中、ヨルダン川西岸地区とガザに東エルサレムを首都とした独立国家を建設するという、パレスチナ人の希望が消滅しそうになっている。イスラエルは1967年のアラブ・イスラエル戦争(第三次中東戦争)で、東エルサレムを占領し首都として併合したが、国際的に認められていない。

イスラエルの新たな極右政権にはパレスチナ国家を否定する人物が入っており、ヨルダン川西岸地区のユダヤ人入植地の拡大を目指している。ハマス側は、イスラエルとの共存を拒絶している。

ロイター

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