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サウジのムハンマド皇太子がエジプトを訪問。両国関係深化、新たな展望

エジプトとサウジ指導層は数十年にわたり、パレスチナ和平や青少年支援など、重要な国際問題で協力してきた。(AFP)
エジプトとサウジ指導層は数十年にわたり、パレスチナ和平や青少年支援など、重要な国際問題で協力してきた。(AFP)
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21 Jun 2022 12:06:42 GMT9
21 Jun 2022 12:06:42 GMT9
  • 両国のパートナーシップ進化と経済関係強化が趣旨

ラワン・ラドワン

ジェッダ: サウジアラビアとエジプトは何十年にもわたり特別な関係にある。一対の柱に例えられる両国は同盟と協力を強化し、一国家として、また同盟関係として、中東地域における勢力を強化してきた。深く根付いた歴史ある両国の結びつきが、月曜日にサウジのムハンマド・ビン・サルマン皇太子がカイロに到着したことでさらに強固になった。

エジプト・サウジの強い結びつきはアラブ世界にとって象徴的かつ実際的な意味を持つ。両国は歴史的にお互いを地域内の重要な同盟国とみなしており、それは1936年5月7日にエジプトがサウジを国家として公式に承認した時までさかのぼる。

両国は激動の時代にも障害や相違を乗り越え、長年にわたり強く成長し緊密な外交関係を築いてきた。

1945年から46年にかけて、アブドルアジーズ国王とファルーク国王による公式訪問では、地域の問題、安全保障と安定、両国指導者にとって懸案事項だったパレスチナ危機、シリアとレバノン、イスラエル国家の出現、共通の利害と便益を持つアラブ諸国間の関係強化などを議論した。

1945年3月22日にアラブ連盟が発足。アラブ諸国が自主的に連携するこの連盟はサウジアラビア、エジプト、イラク、ヨルダン、レバノン、シリアが共同で設立し、関係強化、協調、加盟国の独立と主権の保護、各国の諸事情や利害に対し共通見解を形成することを狙いとしていた。

その後16カ国のアラブ諸国が加わり、全22カ国となった連盟は「一つの言語、一つの文明、22のアラブ諸国」という統一した価値観を共有している。

1950年代から60年代にかけて中東は深刻な政治的混乱に見舞われた。いくつかの国で君主制が崩壊し、イスラエルと大きな戦争が2回勃発した。緊張が続くとの懸念が増大し、アラブ諸国の結束を脅かすイデオロギー的分裂が広がりつつあった。サウジアラビアとエジプトの友好関係にはそのような時代背景があった。

1965年9月8日にファイサル国王は自身としては初めてエジプトを公式訪問、その後、在位中にエジプトを7回訪問している。イスラム世界の指導的立場との独自の立ち位置のサウジアラビアと同様、エジプトも軍事面での指導力発揮に向けて取り組んでいる状況だった。

1973年、ラマダーン戦争とも呼ばれるヨム・キプール戦争での西側諸国によるイスラエル支援に対抗するファイサル国王の石油禁輸をエジプトのアンワル・サーダート大統領は支持した。その見返りにファイサル国王は、エジプトとシリアを中心とするアラブ諸国の連立を支持した。

1974年、ファイサル国王の訪問は隣国間の関係をさらに固めることになった。いくつかの都市を巡る国王を数千人のエジプト人が街頭で出迎えた。同様にファハド国王とホスニー・ムバーラク大統領は良好な両国関係を20年以上続けた。サウジ国王は幾度となくエジプトを訪問し、エジプトの揺るぎない支援が不可欠であることが証明されたのは1990年のことだ。ムバーラク大統領が主導するアラブ連盟の緊急首脳会議で、クウェートをイラクによる占領から解放するとの全加盟国の決議を採択したのだ。

紅海沿岸諸国のサウジアラビアとエジプトの歴史的な結びつきが皇太子のカイロ訪問でさらに強化へ。(AFP/ファイル写真)

この両国はその後いろいろな問題、特に2000年には限界に達したパレスチナ危機に関して足並みを揃えるようになる。同年にもエジプト主導で連盟の緊急首脳会議が開催され、イスラエルによるパレスチナへの暴力に対する統一見解が採択されている。

これはアラブの指導者たちにとって4年ぶりのサミットだった。イスラエルとの交渉で鍵となるエジプトにより「和平プロセスの再開をもう一度試みる」義務を加盟国は再認識した。

パレスチナの蜂起を支援し、パレスチナ領内での各種プロジェクトへの資金提供を目的にサウジのアブドゥラー皇太子は10億ドルを寄付するよう指導者に呼びかけた。サウジアラビアは支援の25パーセントを拠出する。

紅海を挟んで隣り合う両国の海洋安全保障、観光、開発に関する共通の利害関係が強まる中、隣国間で起こりがちな支配力争いや影響力争いをすることなく、アブドゥラー国王はエジプトとの強い関係を継続している。

同国王が国家元首として初めてエジプトを訪れたのは2008年のシャルム・エル・シェイク訪問で、イラク戦争とイランの核開発による脅威の高まりが喫緊の議題だった。

当時外相だったサウジアラビアのファイサル国王(右)、エジプトのマフムード・ファウジ外相(1952-58)(右から2人目)、シリアのファレス・アル・コーリ首相(右から3人目)、1950年代初頭にカイロで開かれたアラブ連盟の会合で他のアラブ代表とともに。(AFP/ファイル写真)

アラブの春とその悲惨な結末が両国の関係を妨げることはなかった。ムバーラク大統領が追放となり、ムスリム同胞団が短期間政権を掌握するもすぐに失脚した後、2013年にアブドゥルファッターハ・エルシーシ大統領が政権を握ると両国は強い友好関係を築くことになった。

エルシーシ大統領はサウジ政権にとって重要な友人であり、地域の現状を支持するエジプト国家の代表と見なされている。

以来、二国間関係は大幅に強化され、インフラや投資環境が整ったこともあり、サウジ・エジプト関係は経済関係の拡大と共同開発プロジェクトが大きく進展している。

過去 40 年間にわたり、サウジアラビアとエジプトは経済的、社会的、人道的、文化的に強い結びつきを築いてきた。サウジアラビアは合法的な就労ビザを通じてエジプト人労働者に多くの就労機会を提供しており、エジプトの中央動員統計局によると180万人のエジプト人がサウジアラビアに居住している。

2016年にはサルマン国王がエジプト国会で演説し、結束と同盟を促した。同国王はカイロでこうした演説を行った初めてのアラブ指導者であり、この訪問時に両国間で21件の協定や投資に関する覚書が締結された。

同国王はエジプトの「偉大なる客人」と称され、エジプト最高の国家勲章である「ナイル勲章」を授与された。

両国は激動の時代にも障害や相違を乗り越え、長年にわたり強く成長し緊密な外交関係を築いてきた。 (AFP)

「この訪問は、兄弟国である両国の兄弟愛と連帯の誓いの確認とも言えるものです」とエルシーシ大統領はテレビ演説で述べた。

エジプト・サウジ投資ファンドも設立され、エジプトのいくつかの州におけるサウジの投資プロジェクトに総額160億ドルが注入された。エジプトには約2,900件のサウジプロジェクトがあり、サウジアラビアには1,300件のエジプトプロジェクトがある。サウジによるエジプトへの投資総額は、最大270億ドルに上る。

ムハンマド・ビン・サルマン皇太子は2017年から何度もカイロを訪問し、両国の同盟関係を強調し、その後も二国間協定や投資プロジェクト案件が相次いで締結されている。

2018年現在サウジはエジプトにおける第2位の外国投資家だ。エジプトにおける外国投資総額の11%を占め、その額は60億ドルを超える。同年3月には、エジプトがシナイ半島南部の土地を開発しNEOMの一部とすることに合意し、100億ドルの契約が結ばれた。

エジプトの最も重要な対サウジ投資はサービスセクターで、エネルギー、輸送、物流、健康、教育などがある。

最新の支援パッケージはつい昨年3月のことで、サウジアラビアが50億ドルをエジプト中央銀行に預金したと発表したばかりだ。

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