
ハルツーム:スーダンでは相対立する二人の将軍の軍隊が戦闘を繰り広げているが、1週間近くにおよんでいる紛争に対しラマダン明け停戦が繰り返し呼びかけられた後、首都ハルツームの一部では21日の夜までに市街戦が小康状態になった。目撃者が伝えた。
アブドゥルファッターフ・アル・ブルハン将軍率いる国軍と、同将軍に次ぐ国のナンバー2であるモハメド・ハムダン・ダガロ将軍(通称ヘメッティ)率いる強力な準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」の間で15日に戦闘が発生して以来、400人以上が死亡し数千人が負傷した。
国軍は21日、「国民がイード・アル・フィトルを祝えるように、また人道サービスの流れを可能にする」ために「3日間の停戦に同意した」と発表した。この停戦は国連のアントニオ・グテーレス事務総長と米国のアントニー・ブリンケン国務長官が前日に呼びかけていたものだ。
ダガロ将軍はオンラインに投稿した声明の中で、グテーレス事務総長と「現在の危機について、人道的停戦、安全な通路、人道支援従事者の保護を中心に話し合った」ことを明らかにした。
ブリンケン国務長官は国軍による発表と、それに先立って出されたRSFによる発表を歓迎した。RSFは、西部ダルフール地方で長年続いた暴力に関与した民兵組織「ジャンジャウィード」のメンバーで結成された強力な準軍事組織だ。
ブリンケン国務長官は、「しかし、戦闘がまだ続いており、両軍の間に深刻な不信感が存在することは明らかだ」としたうえで、双方に「戦闘を一時停止」し「完全かつ無制限の人道アクセスを認める」よう求めた。
7日連続で爆発に揺さぶられたハルツームでは21日夜、珍しく戦闘が小康状態になっているとの目撃情報がいくつかの地区から伝えられた。
ハルツームに住むサミ・アル・ヌールさんはAFPに対し、「イードは本来、お菓子やペストリー、楽しそうな子供たち、親族に挨拶する人々と共に過ごす時であるはずです」と語った。「それなのに、周りは銃声と血の悪臭で満たされています」
500万人が住むハルツームでは、人口が密集した地区で国軍兵士とRSF戦闘員が激しい戦闘を繰り広げた。同市にある国軍本部で爆発があったと目撃者が伝えた。
国軍は21日夜、RSFが空港や大統領府を「無差別に爆撃」するなどして停戦に違反していると非難した。
今週はこれ以前にも2回停戦が合意されたが、いずれも守られなかった。
外国人を退避させるための計画が進められている。米国、韓国、日本は近隣諸国に部隊を派遣し、EUも同様の措置を検討している。
米国務省は21日、戦闘で危険なため大使館職員をハルツームから退避させることができなくなっていると述べた。
米国防総省は、ハルツームから米国の職員を退避させるために東アフリカ地域に部隊を動員した。
RSFはその後、近隣諸国が自国民を退避させることができるようスーダンの「全ての空港」を「部分的に」開放する用意があると述べた。
どの空港がRSFの支配下にあるかは独自に確認できなかった。
世界保健機関(WHO)はスーダン全土で戦闘により413人が死亡し3551人が負傷したと発表したが、実際の死者数はさらに多いとみられており、負傷者の多くは病院に行くことができずにいる。
赤十字国際委員会(ICRC)は、「即時かつ無制限の人道アクセス」を求めたうえで、それは「国際人道法のもとでの法的義務」であるとした。
アナリストらは、この紛争が地域全体の国々に影響を与える可能性があると警鐘を鳴らしている。国連によると、既に最大2万人が隣国チャドに避難した。
ブルハン将軍は21日、戦闘開始以降初めてテレビに姿を見せた。
同将軍は事前に録画されたメッセージの中で、「今年のイードは、我が国が血を流している。破壊、荒廃、銃声が喜びを上回ってしまっている」と述べた。
「我々がこの苦難から抜け出せることを願う。より団結した(…)一つの軍、一つの国民(…)文民権力に向けて」
シンクタンク「国際危機グループ(ICG)」は、「全面的な内戦」へのエスカレーションを止めるために緊急措置が必要だとしたうえで、「スーダンの多くの人々が恐れた悪夢のシナリオが現実となりつつある」と警鐘を鳴らした。
世界食糧計画(WFP)は、1500万人(人口の3分の1)が援助を必要としているこの国において戦闘によりさらに数百万人が飢餓に陥る可能性があると述べた。
WFPは1週間前に職員3人が死亡した後、スーダンにおける活動を停止している。
国連国際移住機関(IOM)は21日、職員1人が死亡したと発表した。乗っていた車が集中砲火に巻き込まれたという。
ブルハン将軍とダガロ将軍は、スーダンを民政移行路線に復帰させることを目指す合意の主要な条件であるRSFの国軍への統合計画をめぐって対立していた。
ハルツームに住むイブラヒム・アワドさんは、「今起こっていることは不可避でした」と話した。「二人の指導者によって支配される国は前に進めません。二つの軍隊は共存できないのです」
一般市民は絶望を募らせている。数千人がハルツームから逃げるために危険を冒して路上に出た。
医師会によると、ハルツーム州や近隣州の病院の3分の2以上が現在「閉鎖されている」という。北コルドファン州では少なくとも4ヶ所の病院が砲撃された。
WHOは22日早朝、「戦闘開始以来、医療施設に対する11回の攻撃を確認した」としたうえで、戦闘の影響を受けている地域の施設が「職員の疲労と物資不足によりほとんど機能していない」ことを明らかにした。
国境なき医師団(MSF)によると、ハルツームから約800キロメートル(500マイル)南西にあるダルフール州のエル・ファーシルでも状況は「壊滅的」だという。
MSFのプロジェクトコーディネーターであるサイラス・ペイ氏は、「患者が多いため、床の上で治療を受けています」と述べた。
2019年4月、独裁的支配者のオマル・アル・バシール大統領(当時)が軍によって打倒された。30年にわたる強権的支配に対する大規模なデモが発生した後のことだった。
2021年10月には、バシール政権崩壊後に設立された暫定政府内の文民勢力がブルハン将軍とダガロ将軍の協力で追放され、国際社会が支援する民政移行が頓挫した。
ICGは、「ブルハン将軍もへメッティも退却する気がなさそうなので、状況がさらに悪化する恐れがある」と述べた。
「国軍が最終的に首都を確保してへメッティがダルフールに退却したとしても、その後に内戦となる可能性も十分にある。そうなれば隣国のチャド、中央アフリカ共和国、リビア、南スーダンに影響が及んで情勢が不安定になる恐れがある」
AFP