
ハルツーム:敵対勢力間では休戦が成立したが、4月21日遅く、スーダンの首都では散発的な爆撃音が聞かれた。1つの勢力は、外国人の避難のために空港を再開する用意があるとしている。
1週間近く騒乱が続いていることを受けて国連、アメリカ、イギリス、日本、スイス、韓国、スウェーデン、スペインは自国民や職員を退避させる準備を行っていると表明した。
先週末、スーダンの暫定主権評議会をともに構成していた2人の指導者が指揮する軍同士の間で権力争いが生じ、暴力に発展した。数百人が死亡し、現在も食糧援助に依存しているスーダンは国連が人道的大惨事と呼ぶ危機に陥ることになった。
目撃者の話では21日遅くもハルツームでは、日中よりは下火になったものの砲撃が続いた。
今回の戦闘再開は、スーダン内戦の終結に向けた国際社会の努力への新たな打撃となった。
スーダン軍と準軍事組織「即応支援部隊」(RSF)は別々に声明を出し、イスラム教の祝日イード・アル・フィトルを人々が祝えるよう、3日間の停戦に合意したと表明した。
「軍は、反逆者たちが停戦の条件をすべて遵守し、これに反するようないかなる軍事行動も取らないことを期待する」と軍の声明は述べている。
アメリカのアントニー・ブリンケン国務長官は各勢力に対し、停戦合意を尊重するよう求め、国へのさらなるダメージを避けるためにスーダンの軍民指導層は早急に持続的な休戦に関して協議を開始するべきだと述べた。
RSFを率いるモハメド・ハムダン・ダガロ氏(別称「ヘメッティ」として知られる)は22日早く、国連のアントニオ・グテーレス事務総長と電話で会談したと明かした。両者は「完全な停戦を忠実に守り、人道・医療スタッフ、とりわけ地域的、国際的団体および国連の職員を保護する必要性を確認した」とヘメッティ氏はFacebookの公式アカウントに投稿した。
RSFは金曜遅く、外国政府が自国民を退避させられるよう、スーダンの全空港で運行を部分的に再開する用意があると表明した。
RSFは声明で、「外国人居住者と団体が安全に国外に出るための協力と調整を行い、あらゆる便宜を提供する」と述べた。
もっとも、RSFがスーダンにある空港をどの程度掌握しているかは不明である。ハルツーム空港は周辺で起きた戦闘により滑走路で飛行機が炎上し、民間航空会社は数日前から運航を見合わせている。
早朝のイードの特別礼拝の呼びかけの間も含め、市内の至る所で一日中、RSFの兵士が互いに撃ちあい、銃撃の合間には迫撃砲や空襲による地響きが聞かれた。
ドローンによる空撮映像では、ハルツームとナイル川沿いの姉妹都市(合わせるとアフリカ最大の都市圏の1つ)中で煙が上がっている様子が分かる。
21日、世界保健機関は6日前の戦闘開始以来、死者413名、負傷者3,551名が出たと報告した。死者の中には、少なくとも5人の支援団体職員が含まれている。
頓挫する国外退避
ワシントンでは、アメリカ国務省がスーダンでアメリカ市民1人が殺害されたと発表したが、詳細は明らかにしていない。
国務省のヴェダント・パテル副報道官はスーダンにいるアメリカ市民は米政府による組織的退避を期待すべきではないと述べた上で、各自が安全のための策を講じるよう求めた。
アメリカのロイド・オースティン国防長官は、米政府職員を空路で脱出させる案についてはまだ決定されていないが、アメリカ軍は支援のためにスーダンの近くで待機中だと述べた。ロイターは20日、部隊がジブチの米軍基地に派遣されたと報じた。
「協力を要請された場合に可能な限り多くの選択肢を提供できるよう、すでに一部部隊を現地に派遣しました。現時点ではどのような行動要請も受けていません」とオースティン氏はドイツのラムシュタイン空軍基地での記者会見で述べた。
底をつく食料と水
戦闘により、スーダンの人々は家を出て物資を手に入れたり、ハルツームを脱出する集団に加わったりすることが困難になっている。「ハルツームでも、食糧や水の備蓄が底をつき、電気を使えない人々が増えています」と国連人道問題調整事務所は明らかにした。
ハルツームに暮らすモハメド・サベル・トゥラビー氏(27歳)はイスラム教の祝日イード・アル・フィトルに80キロ離れたところに住む両親を訪ねたいと考えた。
「家を出ようとすると、そのたびに爆発音がするのです」と彼は説明した。「昨夜は爆撃があり、今では地上にも至る所に軍が展開しています」
軍は21日、半自動式火器を誇示する部隊が通りで人々から歓迎される様子を映した動画を公開した。ロイターは撮影場所を市の北部と特定したが、撮影時期については検証できていない。
ハルツームを脱出する人々は、ジャジーラ州へ通じる主要幹線道路、メダニ通りを利用しているが、RSFがハルツーム郊外の村々へ撤退する中、この通りにまで戦闘が拡大していると、目撃者はロイターに語った。
スーダンは7つの国と国境を接し、エジプト、サウジアラビア、エチオピア、さらにアフリカの火薬庫であるサヘル地域に囲まれているため、内乱が地域における緊張を激化させる可能性がある。
独裁者オマル・アル・バシール氏の失脚から4年、軍事クーデターから2年が経つ現在起きた衝突は、国際社会が後押しした新たな文民政権の樹立案をめぐる対立がもととなっている。
いずれの側も相手を、正式な政権樹立への移行を妨げているとして非難している。
ロイター