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スーダンの戦闘は不安定な地域にどのような影響を与えるか

スーダンの危機が深まる中、戦車の上に座るアブドゥルファッターフ・アル・ブルハン将軍に忠実な国軍兵士たち。紅海に面した都市ポートスーダン。(AFP)
スーダンの危機が深まる中、戦車の上に座るアブドゥルファッターフ・アル・ブルハン将軍に忠実な国軍兵士たち。紅海に面した都市ポートスーダン。(AFP)
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23 Apr 2023 04:04:29 GMT9
23 Apr 2023 04:04:29 GMT9
  • 対立する軍隊の間の衝突が激化している

パリ:アフリカ北東部スーダンの対立する二人の将軍の軍隊が繰り広げている戦闘は、国内だけでなく、ただでさえ不安定な地域に広範囲の影響を及ぼす可能性があると、専門家らは警鐘を鳴らしている。

4月15日、アブドゥルファッターフ・アル・ブルハン将軍率いる国軍と、同将軍に次ぐ国のナンバー2であるモハメド・ハムダン・ダガロ将軍率いる強力な準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」の間で戦闘が発生した。

首都ハルツームや国内各地における戦闘は急速にエスカレートした。ハルツームでは空爆が実施され、市街地では戦車戦が発生した。

アフリカで3番目に広いこの国の国土(フランスの約3倍の面積)で数百人が死亡、数千人が負傷した。

アナリストらは、この紛争が外国の武装組織や地域諸国を引き込むことで新たな難民危機が発生する可能性に警鐘を鳴らしている。

国連の20日の発表によると、1万~2万人がスーダンの戦闘から逃れて西の隣国チャドに避難している。

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、チャド東部には既に40万人のスーダン難民が住んでおり、新たな難民は同国の逼迫した公共サービスやリソースにさらなる負担をかけている。

スーダンは世界最貧国の一つである。国連は2月、同国の人口の3分の1以上が高まる飢餓危機に直面していると指摘した。

国際危機グループ(ICG)は20日、「数百万人の一般市民が集中砲火の中に捕らわれており、生活必需品を急速に使い果たしつつある」と述べた。

ワシントンを拠点とする戦略国際問題研究所(CSIS)のキャメロン・ハドソン氏は、最初の持続的な停戦が成立すれば「民間人の大規模な国外避難が起こることは十分に予想される」と言う。「数百万人が国境を越えようとすると見ている」

戦闘は急速に広がり、ハルツームとその双子都市オムドゥルマン、そしてダルフールをはじめとする国内のいくつかの地方を飲み込んだ。

ICGは次のように続けた。「この戦闘は持続的な戦争へと急速に陥る可能性がある。そうなれば、危機が国内の不安定な周辺部から隣国にかけて波及することになる」

「一連の戦闘は、国民が長年恐れてきた全面的な内戦に向けてこの国を押しやっている」

ハドソン氏はこの紛争について、特に広大な地域にわたって起こっている点が「極めて懸念される」と指摘する。

スーダンの近隣諸国の多くは、既に自国の長年にわたる紛争に苦しんでいる。

ハドソン氏は言う。「問題は、この紛争が国内の隅々にまで広がっており、チャド、中央アフリカ共和国、南スーダン、エチオピアとの国境まで迫っていることだ」

イギリスのアナリストであるアレックス・デ・ワール氏は、紛争が長引けば極度に分裂したスーダン社会の中で多くの人々が武器を手に取るかもしれないと語る。

「二人の主役がいる」と同氏は言う。「紛争が続けば状況は急速に複雑化するだろう」

それぞれの陣営はいくつかの組織の連合であり、それらの組織は「民族的な要因」を考慮して同盟相手を変えるかもしれないと同氏は指摘する。

ニューヨークのシンクタンク「ソウファン・センター」は、「外部の国、軍事的指導者、武装民兵組織、その他の様々な暴力的非国家主体からの干渉」に警鐘を鳴らす。

「司令官らが戦闘員を抑制できなければ戦闘がさらに長引く可能性がある」と同センターは言う。地域の他の国々は軒並み公式に戦闘停止を呼びかけている。

CSISは、二人の将軍は近隣諸国から武器や増援を獲得しようとしていると指摘する。

ロシアの傭兵組織「ワグネル」もスーダンに進出しているが、その関与は主に同国の金資源の開発を中心としている。

デ・ワール氏は、この戦闘が資金、武器、「場合によっては軍隊や代理組織」を提供する主体を引き入れる可能性に警鐘を鳴らす。

リビア、中央アフリカ共和国、チャド、エチオピア、エリトリアはこの紛争において何らかの政治的役割、あるいは軍事的役割さえも果たす可能性が高いと同氏は言う。

それらの主体は後に紛争解決に向けた仲介努力に関与することになるだろうと同氏は見る。

UAEの政治学者であるアブドゥルハレク・アブドゥラ氏は、「スーダンの不安定な情勢は世界全体にとっての懸念事項だが、近隣諸国にとっては特にそうだ」としたうえで、同国が紅海に面した戦略的位置にあることを指摘する。

スーダンの紛争が長引けば「全員が代償を払うことになるだろう」と同氏は言う。

緊張が高まって以来、国連、アフリカ連合、地域の政府間開発機構(IGAD)諸国、欧米諸国、湾岸諸国などの仲介者がブルハン将軍とダガロ将軍を交渉のテーブルに着かせようとしてきた。

これまでのところ、それらの努力は実を結んでいない。

長年独裁を行っていたオマル・バシール大統領(当時)が2019年に打倒されて以降、各国が両将軍と外交を続けたことが彼らをつけあがらせたと指摘する専門家もいる。

国際社会や主要国は今停戦を呼びかけたところで「何も得られないだろう」とハドソン氏は言う。

どちらかが迅速に軍事的勝利を収めることはありそうにないという点では専門家らは一致している。アル・ブルハン将軍の国軍のほうが強力だが、ダガロ将軍のRSFは都市ゲリラ戦においてまさっているからだ。長期的な紛争に向けた舞台が整ってしまったようだ。

AFP

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