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スーダンの戦闘、停戦にもかかわらず日没後に再開

国軍トップのアブドゥルファッターフ・アル・ブルハン将軍に忠実な兵士たちを迎えるスーダンの人々。2023年4月16日、紅海に面した都市ポートスーダン。(AFP)
国軍トップのアブドゥルファッターフ・アル・ブルハン将軍に忠実な兵士たちを迎えるスーダンの人々。2023年4月16日、紅海に面した都市ポートスーダン。(AFP)
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26 Apr 2023 04:04:59 GMT9
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  • これとは別に、WHOは一方の紛争当事者がハルツームの国立公衆衛生研究所を占拠したことを明らかにし、同研究所に保管されているワクチン製造用のはしかやコレラなどの病原菌によるバイオハザードの可能性に懸念を表明した

ハルツーム:スーダンでは、紛争当事者間で停戦が宣言されたにもかかわらず25日遅くに戦闘が再開された。首都ハルツームからはますます多くの人が避難している一方、国際戦争犯罪に問われている人物を含む元政府関係者らが刑務所を出た。

スーダン国軍(SAF)と準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」は、25日から72時間の停戦に入ることで合意していた。

しかしロイターの記者によると、ナイル川に面したハルツームの姉妹都市の一つオムドゥルマンでは日没後に銃声や爆発音が聞かれた。国軍がドローンを使用してRSFの拠点を攻撃したという。

青ナイル川と白ナイル川の合流点に位置する国内第三の都市バフリでも、国軍がドローンを使用して燃料精製所から戦闘員を撤退させようとした。

4月15日に国軍とRSFの間で戦闘が勃発したことで民政移管が頓挫して以来、RSFは住宅地に展開しており、国軍は彼らを上空から攻撃しようとしている。

戦闘は住宅地を戦場に変えてしまった。空爆や砲撃で少なくとも459人が死亡、4000人以上が負傷し、病院が破壊され、ただでさえ4600万人の人口の3分の1が援助に依存しているこの国で食品流通が制限されている。

オムドゥルマンでは25日、発射物がアル・ルーミ医療センターを直撃して施設内で爆発した。病院関係者によると13人が負傷した。

囚人らが解放される

治安悪化のさらなる兆候もある。ダルフールでの戦争犯罪および人道に対する罪で国際刑事裁判所(ICC)に指名手配されている元閣僚のアフメド・ハルーン氏は、同氏を含む元政府関係者らがコベル刑務所から出ることを許されたことを明らかにした。

ハルーン氏は、ここ最近の脱獄の報告を受け、コベル刑務所の状態は著しく悪化していると述べた。同刑務所に収監されていたある抗議者が録音メッセージの中で語ったところによると、水も食料もない状態が一週間続いたため囚人らは解放されたのだという。

今回解放されたハルーン氏ら元政府関係者は、1989年の軍事クーデターで権力を掌握し2019年の民衆蜂起をきっかけに失脚したオマル・アル・バシール元大統領のもとで働いていた。ハーグのICCはハルーン氏を、2003年と2004年にダルフールで行われたジェノサイドにおいて民兵を組織して民間人を攻撃した罪に問うている。バシール元大統領の行方は今のところ明らかではない。

別の動きもあった。世界保健機関(WHO)は一方の紛争当事者がハルツームの国立公衆衛生研究所を占拠したことを明らかにし、同研究所に保管されているワクチン製造用のはしかやコレラなどの病原菌によるバイオハザードの可能性に懸念を表明した。

アフリカで三番目に広い国土を持つこの国から大使館職員や援助活動従事者が退避しているため、27日に期限切れとなる3日間の不安定な停戦合意が破られた場合、留まっている民間人がより大きな危険に晒されるとの懸念が高まっている。

米ホワイトハウス報道官は25日、ジョー・バイデン大統領の国家安全保障チームは戦闘を終わらせ人道援助を提供するべくスーダンの双方の軍事指導者と話し合いを続けていると述べた。

戦闘により病院などの必要不可欠なサービスが麻痺し、食料や水の供給が徐々に減っていく中で多くの人が自宅に閉じ込められている。

路上には遺体が散乱している。国際援助団体「国境なき医師団(MSF)」は、スーダンに新たな物資や人員を補給できていないことは憂慮すべきだと述べた。

国連人道問題調整事務所(OCHA)は、食料、水、医薬品、燃料などの不足が「極めて深刻」になりつつあるとしたうえで、容器入り飲料水などの生活必需品の価格が高騰していることや、同事務所が安全上の理由から活動縮小を余儀なくされていることを訴えた。

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は、数十万人が近隣諸国に避難する可能性があると予測した。

「なぜ世界は我々を見捨てようとしているのか」

諸外国政府が自国民を退避させる中、行き場のない人々は自分が見捨てられたように感じると話す。「この戦時に、なぜ世界は私たちを見捨てようとしているのでしょうか」と言うスマヤ・ヤシンさん(27)は、諸外国は自分勝手だと非難した。

戦闘勃発以来、数万人が隣国のチャド、エジプト、エチオピア、南スーダンに向けて出国した。

市民が車やバスで脱出したため、アフリカ有数の都市圏であるハルツームの市街地には通常の日常生活はほぼ存在しなくなった。戦闘員が外を歩き回る中、今も市内に留まっている人々は自宅で身を寄せ合っている。

フランスのジャーナリストであるオーガスティン・パシリー氏は、国境を越えてエジプトに行こうとしていた際に電話で、「爆撃されていない地区も含め、状況は非常に危険になっている」と話した。

「店には水も食料も何も残っていない。人々は斧や棒で武装して外出し始めている」

ハルツームを初めて戦闘地帯に変えてしまった対立軍事指導者間のこの戦闘をきっかけに、西部ダルフール地方で再び戦争が起こるのではと懸念する声もある。大半が砂漠である広大なこの地方は、既に20年にわたる紛争で荒廃している。

エジプト大使館職員1人が仕事に向かう途中で銃撃され死亡するなど、外交官に対する攻撃がいくつか発生したことを受け、諸外国は大使館職員を空路で退避させた。

イギリスは軍用機を用いてハルツーム北部の飛行場からの大規模な自国民退避作戦を開始した。フランスとドイツはそれぞれ500人以上の様々な国籍の人々を退避させたと発表し、作戦中にフランスの特殊部隊員が戦闘に巻き込まれ銃撃されたことを明らかにした。

ロイター

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