
ハルツーム:スーダンでは、数百人が死亡し広範囲に被害を及ぼした約2週間の戦闘を停止する協定の延長の合意があったにも関わらず、金曜日、激しい戦闘が発生した。両陣営の将軍たちは互いを非難し合っている。
首都ハルツームでは新たな戦闘が発生し黒煙が上がり、国連は戦禍を被ったダルフールでは激しい市街戦が行われ死者多数となっている事を明らかにした。
トルコ国防省は、トルコ軍の軍用輸送機1機が銃火を浴びたことを発表し、各国政府が全力を尽くしている自国民の待避作戦に伴うリスクを強調した。
武力衝突は、4月15日、アブドゥルファッターフ・ブルハン将軍に率いられたスーダン軍と同将軍の副官で共にクーデターを遂行したハメド・ハムダン・ダガロ将軍の指揮する準軍事組織即応支援部隊(RSF)の間で発生した。戦闘機がハルツームの建造物が密集した地区にあるRSFの拠点に猛攻撃を加え、戦闘員が機関銃を用いて銃火の応酬を行った。
対立する両将軍は、木曜日、繰り返し破られてきた停戦協定を後3日間延長することで合意していた。この合意は、米国やサウジアラビア、アフリカ連合、国連の主導したより長期の停戦を目的とした調停を受けての事だった。
しかし、ハルツームの軍司令部近傍で空爆音や高射砲の発射音を聞いたと目撃者たちはAFPに語った。ハルツームでは多くの住民が危険なほど少量の食料と共に自宅に閉じこもっている。
ダガロ将軍は、BBCのインタビューで、対立するスーダン軍の指導者を、「ブルハンは信頼に値しない裏切者です。この戦争はスーダンを破壊するでしょう」と、非難している。
米国に拠点を置く「アルフラ」チャンネルのインタビューで、ブルハン将軍は「傭兵部隊」がチャドや中央アフリカ、ニジェールとの国境線を越えてスーダンに入国し、混乱する状況から利益を得ようとしていると主張した。
完全網羅にはほど遠いと考えられているスーダン保健省の発表では、戦闘で少なくとも512人が死亡し、4,193人が負傷したとされている。
スーダン医師組合は、金曜日、医療システムの崩壊は「目前」であるとの警告を発した。患者12,000人以上が定期的な腎臓透析を受けられなくなっており、死の危険に直面しているという。
ハルツーム内の医療施設の内、通常通りに稼働しているのは16%に過ぎず、数百万人が医療を受けられなくなっていると、国連の人道支援機関は明らかにした。
戦闘はスーダン全域に拡大している。特に、長期にわたって軋轢に苦しむダルフール地域では、激しい紛争と略奪が発生しているとの目撃情報がある。
市民団体の「ダルフール弁護士会」は、ハルツームの西1,100 km(685マイル)にある西ダルフール州の州都エルジェニーナで戦闘員たちが「ロケット弾を住宅に発射」していると述べた。同弁護士会は、「ライフルや機関銃、対空兵器」からの発砲についても明らかにした。
「自宅に備蓄している以上の食料がありません」と、匿名を希望する住民の1人は述べた。
戦闘は「市内のほぼ全域」に拡大しているとダルフール弁護士会は語り、ブルハン将軍とダガロ将軍に「民間人とは関係のない理由で行われているこの馬鹿げた戦争の即時停止」を要請した。
国連人権高等弁務官事務所のラヴィナ・シャムダサニ報道官は、エルジェニーナでは月曜日以来96人が殺害されたとの報告を受けていることを明らかにした。
シャムダサニ報道官は、国連が「西ダルフールで暴力が拡大する深刻なリスクを憂慮している」と述べ、スーダン軍とRSF間の戦争行為が「地域社会間の暴力的衝突の口火を切ってしまった」と警告した。
ダルフールは、2000年代に発生した壊滅的な戦争の後遺症に依然として苦しんでいる。強硬的だった当時のオマル・アル・バシール大統領は、少数民族の反対勢力を鎮圧するために民兵組織の「ジャンジャウィード」を組織し残虐行為を繰り広げた。この民兵組織が後のダガロ将軍のRSFの核となったのだった。
国連の発表によれば、この焦土作戦により少なくとも30万人が死亡し250万人近くが待避した。そして、アル・バシール元大統領は、国際刑事裁判所により戦争犯罪、人道に対する罪、大量虐殺の罪に問われている。
混乱の中、バシール政権時代の戦争犯罪の容疑者複数を含む数人の服役者が脱獄した。
国連は発生した脱獄について警告を発し、「罰を受けなくて済む風潮がさらなる暴力の拡大に繋がる懸念」があることを指摘した。
担当外交官が電話で紛争当事者の両将軍間の調停を行っている米国は、停戦協定に対する違反があったことを認めている。
「しかし、停戦合意の履行は開始段階において困難を来すものです。停戦合意違反は停戦合意自体が失敗したことを意味するわけではありません」と、米国務省のヴェダント・パテル広報官は記者団に述べた。
今週1,500人以上を空路で待避させた英国は、スーダンからの避難のための航空便の運航を土曜日に終了すると発表した。
人口の3分の1にあたる1,500万人が現在既に飢饉を未然に防ぐための援助を必要としているスーダンでは、今回の紛争によってさらに数百万人が飢饉に陥る可能性があると世界食糧計画が発表した。
国連の国際移住機関によれば、75,000人以上が自宅から待避し、数万人が国境を越えてチャドやエジプト、南スーダンを初めとする近隣国に避難したという。
南スーダンの外務省は、金曜日、紛争の「波及効果が既に目に見えるほど強くなっている」と警告を発した。
ブルハン将軍とダガロ将軍(通称ヘメッティ)は、2019年に大規模な抗議行動を受けてアル・バシール元大統領が失脚した後の民主制への移行を2021年のクーデターで頓挫させ、権力を掌握した。
しかし、後に両将軍は不仲となり、最近ではRSFのスーダン正規軍への統合をめぐって対立するようになった。
AFP