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衝突から逃れたスーダン人、港湾都市やエジプトとの国境に押し寄せる

スーダンの戦闘から逃れ、ナイル川上流のアルギーン国境検問所に到着した民間人ら。エジプトのアスワン。(ロイター)
スーダンの戦闘から逃れ、ナイル川上流のアルギーン国境検問所に到着した民間人ら。エジプトのアスワン。(ロイター)
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03 May 2023 12:05:08 GMT9
03 May 2023 12:05:08 GMT9
  • スーダンの主要な港湾都市ポートスーダンには疲れ切ったスーダン人や外国人が多数到着している
  • バスやトラックでスーダンの北の隣国エジプトに避難しようとしている人々もいる

カイロ:1日、スーダンの対立する二人の将軍が戦闘を繰り広げている首都ハルツームで爆発音や銃声が響き渡る中、戦闘から逃れたスーダン人が、既に人で溢れている紅海に面した都市や、同国北部のエジプトとの国境に押し寄せた。

スーダンの主要な港湾都市ポートスーダンには疲れ切ったスーダン人や外国人が多数到着し、混乱に陥ったこの国からの避難を何日も待っている数千人の人々に加わった。すし詰めのバスやトラックでスーダンの北の隣国エジプトに避難しようとしている人々もいる。

ハルツームに住むアブダラ・アル・ファティさんは、「首都の大部分は空っぽになっています」と話す。「私たちの通り(の住民)は皆、戦争から逃げて行きました」

今や3週目に入った戦闘は、ハルツームおよび隣接する都市オムドゥルマンを戦場に変えた。「ゴーストエリア」と化した住宅地で激しい衝突が発生していると住民らは話す。

数ヶ月にわたって緊張が高まった末に勃発したこの紛争で戦っているのは、アブドゥルファッターフ・アル・ブルハン将軍率いる国軍と、それに対立するモハメド・ハムダン・ダガロ将軍率いる準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」だ。

アル・ファティさんの家族は週末に何とかハルツームを脱出することができた。4月15日に戦闘が勃発して以来主要な交戦地点となっているハルツームのカフーリ地区にある自宅に2週間閉じ込められた末だった。

彼らは20時間の移動で疲れ果て、1日遅くにポートスーダンに到着したと彼は語る。そこで目にしたのは、多くの女性や子供を含む数千人の人々が港湾区域の外でキャンプしている光景だった。食料やその他のサービスもないまま1週間以上もそこにいる人々もたくさんいたという。

ポートスーダンは、諸外国政府が自国民を空路や海路で退避させるための拠点となっている。

混雑したエジプトとの間の国境検問所では、数千人の家族らがバスの中で何日も待ったり、エジプトへの入国許可を得るための書類を作成しようと国境近くの都市ワディ・ハルファで一時的に寝泊まりする場所を探したりしている。

スーダンの大学生ユスフ・アブデル・ラフマンさんは1日遅く、家族と共にアシュキット国境検問所を通ってエジプトに渡った。エジプト南部の都市アスワンのコミュニティーホステルで一夜を過ごした彼らは、2日のうちにカイロ行きの電車に乗る予定だということだった。

アブデル・ラフマンさんの家族は週末にまずアルクィン国境検問所に行ったが、人が多すぎて税関にたどり着けなかった。その後、アシュキット国境検問所の方が簡単に通れると人から聞いて、そこに行くことにしたという。

彼は電話で、「(アルクィンは)混乱状態です」と話した。「女性や子供や病人が食べ物も水もないまま砂漠の中で立ち往生しています」

アブデル・ラフマンさんは、特にハルツームの高級住宅地で破壊や略奪が蔓延していたと語った。近所の人から電話で、ハルツームのアマラット地区にある自宅をRSFの制服を着て武装した男たちに襲われたという話を聞いたという。それは28日、彼らがハルツームを脱出した翌日のことだった。多くのスーダン人がソーシャルメディアで、武装した男たちに自宅を襲われ略奪されたと訴えている。

「襲撃の時にはもう自宅にいなかったのは幸運でした」と彼は言う。「もし留まっていたら死体になっていたかもしれないのです」

既に数万人がスーダンを脱出し、エジプト、チャド、南スーダン、中央アフリカ共和国、エチオピアなどの隣国に避難している。国連難民高等弁務官のフィリッポ・グランディ氏は、その数が80万人を超える可能性があると警鐘を鳴らした。

同氏は1日に次のようにツイートした。「現実にならないことを願うが、もし戦闘が止まらなければ、より多くの人々が安全を求めてスーダンを逃れることを余儀なくされるだろう」

住民らが伝えたところでは、1日早朝、ハルツームの多くの場所で爆発音や銃声が鳴り響き、国軍総司令部、国際空港、共和国宮殿の周辺で激しい衝突が発生した。国軍の戦闘機がハルツーム上空を飛んでいたという。

ハルツームで活動する医療従事者や援助機関のための安全な回廊を確保するため、両陣営が30日に二回目となる3日間の人道停戦延長を宣言したにもかかわらず、戦闘が起こった。

医師会主事のアティヤ・アブダラ・アティヤさんは、「この戦争は決して止まりません」と話した。「医師らは安全に移動できません。病院はまだ占領されています」

ハルツームの遺体安置所は遺体で溢れており、人々はまだ遺体を回収して埋葬することができないと彼は話す。また、負傷者の多くは病院に行くことができないでいるという。

民間人死傷者を記録している医師会が1日に発表した数字によると、戦闘開始以降、少なくとも436人の民間人が死亡、1200人以上が負傷した。スーダン保健省は1週間前の時点で、民間人と戦闘員を合わせて死者は少なくとも530人、負傷者は4500人としていたが、それらの数字はそれ以降更新されていない。

この権力闘争は、民政移管プロセスを回復させるためのスーダンの努力を頓挫させた。民政移管は、2021年10月に当時は同盟者だったブルハン将軍とダガロ将軍が、欧米の支援を受けた暫定政府をクーデターで排除した時にも一度頓挫していた。

AP

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