• 国会議員のイマド・アルアドワン氏の逮捕は、イスラエルと隣国ヨルダンの関係をさらに悪化させる恐れがあった
• 調査の結果、アルアドワン氏は2022年初頭から12回に分けて密輸を試みたことが判明した

テルアビブ：イスラエル当局が日曜、ヨルダンの国会議員を釈放し母国に返還したと、イスラエルの国内治安機関が述べた。この議員は、イスラエルが管理する国境検問所を通って、数十丁のライフルと拳銃を密輸しようとしたとされる。

イマド・アルアドワン議員の逮捕は、イスラエルと隣国ヨルダンの関係をさらに悪化させる恐れがあった。両国は30年近く平和条約を結んでいるにもかかわらず、最近、緊張した関係が続いていた。イスラエルはこの事件を重大視していたが、アルアドワン氏の釈放によって、火種となりかねない今回の問題を収束させたい考えを示唆した。

イスラエルの治安機関シン・ベットの声明によると、アルアドワン氏は4月22日に200丁以上の銃が詰まったバッグを所持していて逮捕された。アルアドワン氏は2022年初頭から12回に分けて密輸を試み、外交官パスポートを使って電子タバコから金や鳥まで持ち込んでいたことが、捜査で明らかになったという。

シン・ベットによれば、アルアドワン氏は今年に入ってからも、武器の密輸を何度も成功させたという。密輸と引き換えに、金額不明の金銭を得ていたと、シン・ベットは述べている。シン・ベットは、ヨルダン当局による「さらなる調査と、正義の追求」のために、アルアドワン氏を釈放したと述べた。

ヨルダン外務省、およびアルアドワン氏の兄弟から、直後にコメントを得ることはできなかった。

ヨルダン川西岸地区では、この1年で暴力事件が急増している。イスラエルによると、この地域には隣国のヨルダンから密輸された銃などの違法な武器があふれているという。

昨年末にイスラエルの強硬派政権が発足して以来、ヨルダンとの関係は、イスラエルの入植地建設や、ヨルダン川西岸地区での暴力事件、エルサレム旧市街の聖地に関する政策などをめぐり、悪化している。

2017年にヨルダンのイスラエル大使館で、警備員が2人のヨルダン人を射殺したことで、両国の関係はどん底に落ちた。この事件では、ヨルダン人2人のうち1人が警備員をドライバーで襲ったとされる。このイスラエル人警備員と当時のイスラエル大使は、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相から英雄として歓迎され、ヨルダンを激怒させた。

ヨルダンは、1967年の中東戦争でイスラエルが占領するまで、ヨルダン川西岸地区と東エルサレムを支配していた。しかし、旧市街にあるアル・アクサモスクなどのイスラム教の聖地の管理権は、今でも保持している。

AP