

パレスチナ自治区 ガザ市: イスラエル軍は、ガザの過激派組織「イスラム聖戦」に対し、9日未明に空爆を行い、ハマスが支配するパレスチナ自治区の保健省によると、12人が死亡した。
同省は、死者の中には女性と子供が含まれていると述べたが、犠牲者の身元に関する詳細については明らかにしていない。
ガザのAFP通信の記者によると、空爆後、ビルの屋上が燃えている様子や、救急車が犠牲者を避難させる様子が見られたという。
イスラエル軍は、同軍がテロ組織とみなしているイスラム聖戦の指導者3人を標的とし、同組織が所有する「武器製造拠点」を攻撃したと発表した。
武装勢力は、3人の幹部が殺害されたことを認め、声明の中で死亡したのはアル=クッズ団軍事評議会の書記であるジハード・ガーナム氏と、同評議会の書記でガザ北部の軍事部隊の司令官であるハリル・アルバティニ氏であると声明を発表。
3人目の死亡者はタレーク・エゼディン氏で、イスラム聖戦によって、ガザ地区を拠点として占領されているヨルダン川西岸地区で活動していた「軍事活動の責任者の1人」と説明。
ガザ地区南部のラファでは、AFPのカメラマンがガーナム氏と特定される男性の遺体を目撃した。
イスラム聖戦は声明で「卑怯なシオニストの犯罪によって殺された指導者とその妻、そして多くの子供たちの死を悼む」と述べ、「殉教者の血は活動の(決意を)高めるだろう」と宣言している。
AFP 通信の記者によると、午前2時(標準時23時)過ぎに始まった空爆は、2時間近く経っても続いており、東部では新たな爆発音が聞こえたという。
紛争が新たに激化したことを受けて、イスラム聖戦がエジプトの協力によりガザ周辺での停戦を発表してから今回の攻撃まで、1週間も経っていない。
イスラム聖戦とつながりがあるとして逮捕された後、イスラエルによる拘留中に87日間のハンガーストライキを続けていたハデル・アドナン氏が死亡したことを受けて、イスラエル軍とガザの武装勢力による国境を越えた銃撃戦が発生。
9日、過激派グループは、イスラエルが「調停者によるあらゆるイニシアチブを軽んじた」と述べ、今回の空爆で殺害された「指導者たちの仇を討つ」と宣言。
イスラエル軍は、殺害されたイスラム聖戦の各人物の詳細に言及した個別の声明で、「イスラエル国内の市民の安全のために活動を続ける」と断言した。
軍は、ガーナム氏を「ハマスのテロ組織と自らの活動間での武器や資金の移動の調整を任されていた」「組織の最上級メンバーの一人」と説明した。
バティニ氏は「過去1ヶ月におけるイスラエルへのロケット弾発射の責任者」であるとイスラエルは述べている。
エゼディン氏は生まれ故郷であり、1967年の六日戦争以来イスラエルが占領しているヨルダン川西岸で、先ごろ「イスラエル人に対する複数の攻撃を計画・指示(中略)」 していた。
2000年代に自爆攻撃に関与したとしてイスラエルから懲役25年の判決を受けたが、2011年の囚人交換により解放され、ガザに移送されたと軍は説明している。
軍は、ガザ国境から40キロメートル圏内に住むイスラエル人に対し、10日夕方まで防空壕の近くにとどまるよう指示した。
ハマスのイスマイル・ハニェ議長は声明で、「背信的な作戦で指導部を暗殺しても、占領者に安全がもたらされることはなく、むしろ大きな抵抗を受けるだろう」と述べた。
過激派グループのスポークスマンであるハゼム・カセム氏は、イスラエルは 「今回のエスカレーションがもたらす影響に責任を負わなければならない」と警告。
2007年にハマスがパレスチナの飛び地を支配して以来、イスラエルとガザの武装勢力は何度も戦闘を繰り返している。
昨年8月にガザで起きた3日間の紛争では、パレスチナ人49人が死亡、イスラエル側には死者が出なかった。
9日の攻撃により、イスラエルとパレスチナの紛争で死亡したパレスチナ人の数は、今年に入ってから120人となった。
AFPが両国の公式情報源に基づき集計したところ、同じ期間にイスラエル人19人、ウクライナ人1人、イタリア人1人が死亡している。
AFP