• ここ最近行なわれている拿捕は、長く湾岸アラブ諸国の安全保障を担ってきた米国に新たな圧力を加えている

ドバイ、アラブ首長国連邦：米海軍は5日、イランの革命防衛隊による船への「嫌がらせ行為」があったため、要衝であるホルムズ海峡で救援を行ったと発表した。

4日の午後、武装部隊を乗せた革命防衛隊の高速攻撃艇3隻が船に至近距離まで近づいたと米海軍が声明で発表した。公表された白黒写真は、米海軍のボーイングP-8ポセイドンで頭上から撮影したもので、商船の近くに3隻の小型船が写っていた。

米海軍の誘導ミサイル駆逐艦「マクフォール」と英海軍フリゲート「HMSランカスター」はこの事件に対応し、「ランカスター」はヘリコプターを発進させた。

「約1時間後に商船は高速攻撃艇が現場を離れたことを確認し、事態は沈静化した」と海軍は述べた。「商船はホルムズ海峡での航行を続けたが、それ以上の事故は起きなかった」

アラビア湾の狭い湾口であるホルムズ海峡を、世界の石油の20%が通過する。

海軍は関係する船舶を特定していないが、AP通信が分析したMarineTraffic.comの船舶追跡データによると、事故発生時にマーシャル諸島籍のばら積み貨物船「Venture」が海峡を通過した際、不規則に進路を変更した。その場所はまた、この地域の交通を監視する英国の軍事作戦「英国海事貿易オペレーション」が提供した事件に関する情報と一致していた。この船は海軍が公開した画像にも似ている。

ギリシャのアテネにある船舶の登録管理者トラスト・バルカーズ社にコメントを求めたが、すぐには返答が得られなかった。

イラン国営メディアと革命防衛隊は、この事件をすぐには認めなかった。イランの国連代表部は、コメントの要請にすぐには応じなかった。

今回の事件は、世界の大国とイランが結んだ核合意から2018年に米国が一方的に撤退した後、イランが関与した一連の海上事件に続いて発生した。

米国のプライベート・エクイティ企業と関係があり、シンガポール沖で制裁対象のイラン原油を運んでいたと考えられるタンカー「スエズ・ラジャン」号を米国が拿捕したという疑惑を受け、イラン政府は最近、マーシャル諸島船籍のタンカー「アドバンテージ・スウィート」号を奪取した可能性が高い。その船は、カリフォルニア州サンラモンにあるエネルギー関連会社シェブロン社向けのクウェート産原油を運んでいた。

当局は「スエズ・ラジャン」号の拿捕を認めていないが、AP通信が分析した船舶追跡データによると、船は現在テキサス州ガルベストン沖にある。

一方、イランはこれとは別に、アラブ首長国連邦ドバイの乾ドックを離れてアラブ首長国連邦東海岸のフジャイラに向かうパナマ籍タンカー「Niovi」を拿捕した。貨物は積んでいないものの、AP通信が確認したS&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスのデータによると、2020年7月に「Niovi」は当時「Oman Pride」として知られていた船から石油を受け取っている。

2021年8月、米国財務省は、中東全域で活動する革命防衛隊の遠征部隊「コッズ部隊」を支援した「国際石油密輸ネットワークに関与している」ことを理由に、「Oman Pride」とその関係者に対して制裁措置を取った。イランから漏洩した文書を収集するウェブサイト「Wikiran」がオンラインで公開したとされる電子メールは、「Niovi」によって運ばれた貨物が許可なく中国の企業に売却されたことを示唆している。

AP通信が分析した衛星画像から、これら2隻の船がイランのバンダレ・アッバース沖に停泊していたことが明らかになった。

ここ最近行なわれている拿捕は、長く湾岸アラブ諸国の安全保障を担ってきた米国に新たな圧力を加えている。アラブ首長国連邦は先週、「合同海上部隊」と呼ばれる共同海軍統括部隊からすでに「参加を撤回」したと主張したが、米海軍はUAEがまだ同グループに入っている
と述べた。一方、米軍中央司令部は3日、司令官がこの地域を訪問してシェイク・ムハンマド・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン殿下と会談し、「米国とUAEの安全保障パートナーシップだけでなく、地域の安全保障上の共通の懸念について議論した」と発表した。

イランが2隻の石油タンカーを拿捕した後、要衝である水路が開かれたままにするための統一的なアプローチとして、先月19日、中東に拠点を置く米・英・仏海軍の長官も、米国の軍艦に乗ってホルムズ海峡を航行した。

AP