ベイルート:レバノンとシリアの国境で13日、密輸多発地点を標的とした合同治安作戦が実施され、麻薬組織メンバーや人身売買首謀者が逮捕された。
レバノン軍と情報部によるこの合同作戦はベッカー高原北部の複数箇所で同時に実施され、大量の麻薬、武器、弾薬も押収された。
軍と治安部隊は北東部のシリアとの国境近くのヘルメル地区のフェッサニ、ワディ・アル・トゥルクマン、ゼグリンで、人身売買業者や自動車密輸業者によって使用されていた違法な国境通過地点3ヶ所を閉鎖した。
軍情報部は、シリアの領土と重なっているレバノンの地域であるマシャリフ・アル・カーのシリア難民キャンプや住宅に対しても強制捜査を実施し、カプタゴン密輸と人身売買に関与したとして指名手配されていたシリア国籍者2人を逮捕した。
ある軍関係者によると、この2人の容疑者は大量のハシシとカプタゴン錠剤を所持していたところを発見された。
自動車窃盗・武装強盗組織のメンバーである別のシリア国籍者も逮捕された。
この人物は2ヶ月前にバールベック=ヘルメル県のブリタルで情報部員に向かって発砲した。
強制捜査では、武器・麻薬に関連した一連の容疑で指名手配されていたシリア国籍者も逮捕された。
レバノン軍と情報部はヘルメルでも合同で張り込みを実施し、レバノン国籍者2人を逮捕した。そのうち1人は人身売買組織のリーダーとされる。この2人は山岳地の違法な国境通過地点を通してシリア人を不法入国させていた。
この軍関係者によると、ヘルメルでの強制捜査ではレバノンとシリアの間で活動している誘拐・麻薬密輸組織も標的とされたという。
先月マシャリフ・アル・カーの住民から、シリア人が違法に国境を越えて窃盗、殺人、身代金目的の誘拐を行うなど、犯罪活動が国境地域で行われているとの訴えが寄せられていた。
一連の逮捕は、軍トップのジョセフ・アウン大将がレバノン北部のシリアとの国境の第1国境連隊を視察した後に行われた。
アウン大将は、テロリストや武器・麻薬密輸業者は警備されていない国境を容易に越えることができると警告し、「治安活動に妥協は許されないため辛抱強く取り組む」よう兵士らに求めた。
同大将は、「我々は国家の最高の利益を守っているのだ。それは我々にとって絶対的な優先事項であり続ける」と述べた。
ヒズボラのハッサン・ナスラッラー書記長は12日夜のスピーチの中で、閣僚級の安全保障代表団をダマスカスに派遣すれば難民問題解決の役に立つとほのめかした。
レバノンは先月、約50人のシリア人を強制送還した。
彼らはいずれもレバノンに不法入国していたが、UNHCRによって難民登録されていたかどうかは不明だ。
この強制送還に対しては国際団体からの抗議が続いている。
レバノン国内外の20団体は13日に出した声明の中でこの強制送還について、国内で反難民レトリックや、難民に自国に帰るよう圧力をかけることを意図したその他の強制的措置が警戒すべきレベルで急増する中で行われていると述べた。
この声明には、アムネスティ・インターナショナルやヒューマン・ライツ・ウォッチなどの団体が署名した。
強制送還を停止し適正な手続きを尊重すべきだと声明は述べている。
さらに、「(レバノン当局は)同国の経済危機への対処を意図的に誤ったうえ、切望されている改革を導入する代わりに難民を自分たちの失敗のスケープゴートにしている」と非難している。
「(我々は)シリア人帰還者に対して行われている恐ろしい人権侵害行為について引き続き記録していく。それには違法あるいは恣意的な拘束、拷問などの虐待、強姦・性的暴力、強制失踪などが含まれる」