Since 1975
日本語で読むアラビアのニュース
  • facebook
  • twitter

国連、イラクに改革推進および女性の権利保障を要請

  バグダッドのアル・アンバリ地区の家々に描かれた絵の前を歩くイラク人女性たち、2023年4月10日。(AFP)
バグダッドのアル・アンバリ地区の家々に描かれた絵の前を歩くイラク人女性たち、2023年4月10日。(AFP)
Short Url:
19 May 2023 04:05:13 GMT9
19 May 2023 04:05:13 GMT9
  • 安保理ではイラクによるクウェート侵攻によって行方不明となったクウェート人について、両国間で協議を続けるよう求める声も上がった
  • 国連イラク支援ミッションの代表は、イラク当局はある程度改革を進めてきたが、深刻な政治的・経済的課題に直面している、と述べた

アリ・ユネス

ニューヨーク: 国連の各国代表は18日、イラク政府に政治的・経済的改革を推し進め、1990年のイラクによるクウェート侵攻によってクウェート人が行方不明となった件に関する賠償問題についてクウェートと協議を続けていくよう求めた。

またイラク国内の人権問題、特にイラク人女性の権利についても議論し、近隣諸国に向けてイラクの領土と主権を侵害しないよう呼びかけた。

イラク担当事務総長特別代表および国連イラク支援ミッション代表のジェニーン・アントワネット・プラシャール氏は安保理のイラクに関する会合の中で、決議2631の実施に関する国連報告書の所見について語った。決議は2022年に安保理で採択され、その内容は「イラク政府およびイラクの人々が、市民社会の意見を聞き、女性による十全かつ平等、有意義な政治参加の上、包括的な政治対話および国家・共同体レベルの和解を推し進めていけるよう、助言、支援および援助を行っていくことを優先する」必要があるとしたことを含む。

プラシャール氏は、イラク当局は改革をある程度まで進めてきたものの、未だに深刻な政治的・経済的課題に直面している、と述べた。同氏によれば、イラクは過去20年にわたって戦争および武力紛争等の下で不安定な状態にあり、その政情不安の要因は一貫して本質的に同じものだという。

また上記の課題には、政治腐敗、非国家主体の影響、派閥政治、不平等、失業、そして石油産業への過度の依存といった問題と関わるものがあることにも変わりはない、と同氏は加えた。

昨年10月に新政権が議会を通じて発足されたことは「前向き」な一歩である、とプラシャール氏は述べ、全ての党派が改革にコミットし、協力していく期待のなか「イラクは峠を超えた」と加えた。

今月の安保理の議長国を務めるスイスの国連大使であるパスカル・ベアスヴィル氏はイラク政府に、汚職の撲滅、基礎的サービスの改善、人権保護および気候変動対策に役立つ改革を導入するよう求めた。

Asudaの設立者であり事務局長であるカニム・ラティフ氏は安保理の理事国に向け、イラクには性別に基づいた暴力が蔓延しており、女性の権利を保護するために尽力している人々が標的にされることも多い、と述べた。

「ここ数ヶ月の間に、私たちはイラクのクルディスタン地域で、「ジェンダー」という語を使っただけのことで、女性の人権を保護する人々に反対するキャンペーンが行われるのを目撃しました」と同氏は語った。

家族等の共同体メンバーによって行われる女性への暴力がこれほど蔓延していることには国家レベルで対応しなくてはならない、と同氏は述べ、それには国際的なコミュニティの協力、場合によってはイラク当局への圧力が必要だ、とした。

ラティフ氏によれば、政府の要職、ないし意思決定する立場に就いているイラク人女性が少ないことから、女性の権利を保障し、女性に向けた暴力を撲滅するための行動力は未だに「非常に制限されている」という。 

国連イラク支援ミッションがイラクの女性をとりまく状況を注視し、積極的に権利を守っていく使命の一端を担っていけるように尽力するよう、同氏は安保理ひいては国際コミュニティに広く呼びかけた。

イラク代表は会合で、イラク政府は提起された問題の全てに取り組んでいくよう努めている、と述べた。

「イラク政府は野心的な政府改革プログラムを達成するために、ナショナル・パートナーシップの枠組みの中で粘り強く取り組んでいる」とイラク代表は述べた。

イラク代表は、プログラムの一環として、イラクの国と社会を強固にするための幅広い政策を用意している、と述べた。それらの政策には「経済の多様化、より強固な民主主義制度および安全保障制度の構築、未登録の武器の取締、説明責任の強化、イラクの安定性の強化」等がある、と加えた。

イラク代表はまた、「女性の人権と権利向上の推進」にコミットすると誓った。

イラクによるクウェート侵攻によって行方不明となったクウェート人の問題およびその賠償の是非について、両国間で話し合いを続けるよう求める声が多く上がった。

フランス代表は会合で、近隣諸国によるイラクの主権侵害を非難し、イラクに対するこうした干渉をやめるよう呼びかけた。

スイス国連大使のベアスヴィル氏は会合の締めの言葉として「我々はイラクの主権および領土保全にコミットするものであることを確認した上、イラクが対話を促進し、当該地域に更なる安定をもらたしてくれたことに感謝したいと思う」と述べた。

特に人気
オススメ

return to top

<