• 野党指導者は、難民送還を公約して発言を強化している
• クルチダルオール氏：エルドアン氏の勝利は、さらに1000万人の難民を呼び寄せるだろう

メネクセ・トキャイ

アンカラ：トルコの野党指導者ケマル・クルチダルオール氏は18日、大統領選挙運動の中でも最も「民族主義的な」演説を行い、難民問題に焦点を移した。

この難民排斥の訴えが、有権者にどのように響くかは今のところ不明である。

クルチダルオール氏の演説は、ライバルのレジェップ・タイイップ・エルドアン氏から民族主義派の票を獲得することを意図しているが、トルコに深く根ざす問題の一部を難民になすりつけようとする試みとして広く受けとめられている。

「私たちは、有権者からのメッセージを受け取りました。投票に行かなかった人も、わたしたちに反発して投票した人もいます。確信がない中で、エルドアン氏に投票した人もいます」とクルチダルオール氏は述べ、自分が当選すれば難民を故郷へ送り返すと付け加えた。

「女性たちは、自分たちだけで街を歩くことができなくなるでしょう。エルドアン氏の勝利は、さらに1000万人の難民を呼び寄せるでしょう」とクルチダルオール氏は述べた。

公式発表によると、トルコでは約450万人のシリア難民が暮らしている。

スュレイマン・ソイル内相は17日にテレビ中継されたインタビューで、政府はトルコを難民収容地にするつもりはないと述べた。しかし、「シリアの人々は私たちの兄弟であり、彼らを死に追いやることはできません」と付け加えている。

トルコ政府は、領域内への移住が予想されている100万人以上のシリア人のために24万戸の住宅建設計画を立てている。

クルチダルオール氏は、17日に公開した動画で次のように述べた。「1000万人の非正規難民を受け入れたものと同じ考え方で、祖国を諦めるつもりはありません」

大統領選挙の第1回投票では、現職のエルドアン氏が49.4%の得票率だった一方で、クルチダルオール氏は44.96%を確保した。

得票率を増やしたい野党は、シナン・オガン氏の有権者基盤を取り込もうとしている。3人目の大統領候補者として活動しているオガン氏は、超民族主義的で反難民の計画を掲げた第1回投票で、5.2%の票を獲得した。

ベルリンの応用トルコ研究センターでアソシエイトを務めるシネム・アダール氏は、クルチダルオール氏の最新の声明にみえる「口調と表現方法」は、5月28日の大統領選挙に先立ってオガン氏との同盟を目的としている可能性がある、とアラブニュースに語った。

「議会選挙の結果は、民族主義的な言説が世間での認知度と存在感を高めていることを再び示しました」と彼女は述べた。「ですが、ある事がほとんど無視されています。政府も野党も、難民の送還をめぐっての考えは同じなのです」

送還計画の準備を整えるため、トルコ政府はアサド政権との合意を求めている、とアダール氏は述べた。

トルコで暮らす数百万人のシリア人は、近年、政治的分裂を越えた外国人嫌悪発言の標的になっている。

アンカラのオブザーバーの中には、クルチダルオール氏が勝利した場合には、移民相のポストがオガン氏に用意されていると主張する者もいるが、公式確認は取れていない。

トルコの経済政策研究財団で移民問題に取り組むプロジェクトマネージャーのオマール・カドコイ氏は、第1回投票の結果を受けて、クルチダルオール氏は民族主義的な発言を強め、オガン氏とその基盤に訴えることを強いられた、とアラブニュースに語った。

「最も安価な方法は、亡命希望者と難民の数を膨らませることです」と彼は指摘した。

しかしカドコイ氏によれば、2021年以来、一時的な保護を受けているシリア人（強制避難させられた、国内最大の移民グループ）の数は、370万人から340万人へと着実に減少しているという。

2月の壊滅的な地震の後、6万人近いシリア人がトルコを去ったと防衛長官のフルスィ・アカル氏が最近になって発表している。

カドコイ氏は、クルチダルオール氏の公約が大統領選挙の決選投票で勝利をもたらすかは分からない、と述べた。

「彼にとっては、浮き沈みが激しく長い道のりになるでしょう。彼が大統領の座を手に入れれば、トルコに対して過激主義的な立場を変える見込みの低い、アサド氏がやって来ます」とカドコイ氏は語った。

「ポピュリストとしての公約を果たすためには、ツイッターに数件の動画を投稿する以上のことがクルチダルオール氏には必要です」

トルコ政府は、シリア北部から軍を撤退させるという誓約を求めるダマスカスとのハイレベル会談を開催している。