• 今年初めにサウジアラビアがイエメンの中央銀行に注入した10億ドルの資金は、数カ月にわたってイエメン・リヤルを支え、イエメン政府の食料や燃料の輸入への支払いを可能にした

サイード・アル・バタティ

アル・ムッカラー：イエメンの大統領指導評議会議長が、ジェッダでアラブ諸国の指導者に対し低迷する経済を安定させるための同国政府の改革を支援するよう訴えた翌日の20日、イエメンの通貨リヤルは対米ドルで最安値を更新した。

イエメン政府支配地域の金融関係者によると、イエメン・リヤルは、1年以上安定していたが、今年初めて1ドル＝1,320リヤルまで下落したという。

昨年4月に大統領指導評議会が発足し、臨時首都アデンでの政府の機能が再開して以来、イエメン・リヤルは1ドル＝1,200リヤル付近で推移していた。

しかし、イエメンの和平実現に向けた国際的な取り組みが行き詰まる中、リヤルは先週から下落に転じ、1ドル＝1,300リヤルとなった後、さらに1,320リヤルまで下落した。ちなみに2015年初頭のイエメン・リヤル相場は1ドル＝250リヤルだった。

自国通貨の下落を食い止めるためのイエメン政府の努力は、無認可の両替業者の閉鎖、石油や商品の輸入業者へのドルの提供、ハワラと呼ばれる両替店間の内部送金システムの停止、外貨の国外への密輸の制限など、ほとんどが失敗に終わっている。

同国の中央銀行がコンプライアンスに反する60の両替店や企業を閉鎖したにもかかわらず、イエメン・リヤルは2019年10月に1ドル＝1,400リヤルの過去最低を記録した。中央銀行が準拠していない60の両替店や企業を閉鎖したにもかかわらず、2019年10月にはリヤルは1ドル＝1,400リヤルという過去最低値を記録した。

中央銀行は先週、イエメン人に対し、地元の両替会社の口座に資金を保持しないよう注意を促し、これらの業者の活動は通貨の売買であり、口座開設ではないと強調した。

「中央銀行は、両替会社および両替施設の活動は法律で外貨の売買や送金に限定されており、違反する組織には懲罰的な措置が取られることを認識するよう国民に求める」と同銀行は述べている。

イエメン人によると、両替業者は十分な現金を保持し、公共料金の支払いなどのサービスが充実しており、一日の大半を営業しているため、そうした業者に財産を預けるよう勧められることが多いという。対照的に、イエメンの民間銀行や国営銀行は深刻な流動性不足に悩まされており、提供するサービスも魅力に欠けると言わていれる。

今年初めにサウジアラビアがイエメンの中央銀行に注入した10億ドルの資金は、数カ月にわたってイエメン・リヤルを支え、イエメン政府の食料や燃料の輸入への支払いを可能にするとともに、南部のシャブワ州とハドラマウト州の石油施設に対するフーシ派の無人機やミサイル攻撃により大幅に減少した国庫収入をカバーした。

大統領指導評議会のラシャド・アル・アリミ議長は、ジェッタで19日開催されたアラブ連盟首脳会議に出席したアラブ諸国の指導者に対し、イランが支援するフーシ派のクーデターを終わらせ、経済改革を実施し、イランによる国政介入を終わらせるために、国際的に認められた同評議会を支援するよう訴えた。イエメン・リヤルの今回の下落は、議長の訴えの直後に起きたものだ。

同議長はまた、現在のサウジとオマーンの取り組みが、国連の仲介による停戦協定の延長と和平への到達につながることへの期待を示した。

「私たちは、アラブ連盟の兄弟たちとの協力によるアラブ世界が集団的な行動が、（フーシ派の）極端な国際法違反に終止符を打ち、イエメン政府による経済復興と基本サービス向上、および人命を救う人道的介入、さらには兄弟や友人たちによるイエメンにおける政治プロセスの再開に向けた取り組みを、支援してくれることを望んでいる」とアル・アリミ議長はアラブ連盟首脳会議で語った。

議長の発言と呼応する形で、イエメン政府関係者は20日、アラブ・ニュースに対し同国政府は中央銀行、公共予算、発電所の燃料購入のための資金援助を求めていると述べた。

「私たちは、中央銀行、石油輸出の停止に影響された一般会計予算、各種サービスの改善、そして特に国庫から1日あたり300万ドル以上を流出させているエネルギー部門への支援を求めている」と、この匿名の関係者は述べた。