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レバノンの31議員、ヒズボラの武装解除を求める

レバノン国会議事堂。(AFPファイル写真)
レバノン国会議事堂。(AFPファイル写真)
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27 May 2023 07:05:26 GMT9
27 May 2023 07:05:26 GMT9
  • 議員らは、レバノン国民の命と未来はヒズボラの計画によって「人質に取られている」と訴えた

ナジャ・フーサリ

ベイルート:レバノンの革新系、独立系、野党系の議員31人は26日、ヒズボラが同国南部の町アラムタで実施した軍事演習に対する懸念を表明した。

議員らは、ヒズボラが長年行ってきた活動の典型であるこのような演習は「国家という概念と矛盾する」ものであるとの考えを述べた。

議員らは声明の中で、ヒズボラによる演習はレバノン国民の大多数に対する挑戦であり、ジェッダで開催されたアラブ連盟首脳会議の宣言に反するものだと主張した。

また、ヒズボラの主権は国の主権に勝るとの主張としてこの演習を理解していると述べ、レバノンにおけるあらゆる決定は同組織やその地域同盟勢力の意志に反することができないという現実をほのめかした。

さらに、レバノン国民の命と未来はヒズボラの計画によって「人質に取られている」と訴えた。

しかし、いかに国家の存立基盤を毀損しようとも、ヒズボラはレバノン国家に対して政治的・軍事的・安全保障的・経済的アジェンダを押し付けることはできないということも強調した。

議員らは、国家としてのレバノンは領地支配組織としてのヒズボラとは共存できないと主張したうえで、民兵組織の解散を求めているターイフ合意およびそれに由来する憲法の実施を通して同組織の武装解除を行うことでこの問題を解決することが「喫緊の義務」であるとした。

また、ヒズボラは(同組織の国外における軍事的・安全保障的介入の停止を求める)国連決議第1559号および第1701号を遵守し、アラブ諸国の内政への干渉を控える必要があると強調したうえで、そうすればレバノンの国際社会やアラブ諸国との歴史的関係の修復につながるとした。

加えて、合法・非合法な国境通過による密輸、脱税の促進、汚職の助長を通してヒズボラの平行経済が構築されていると主張したうえで、その解体を求めた。

さらにヒズボラに対し、レバノンの他の政党と同様に政治活動に従事し、憲法、国の法律、民主主義、公共の自由の尊重の枠組みの範囲内で活動するよう要求した。

ヒズボラは13議員で構成されるブロックを通してレバノン議会に参加しており、ナビーフ・ビッリー議長率いる15議員のブロックを筆頭とする同盟勢力を議会内に持っている。

ヒズボラの指導者ハッサン・ナスラッラー師はテレビ放送された演説の中で、「軍隊・人民・抵抗の方程式」への献身を改めて表明したうえで、それこそがレバノンの強さの「重要な源」であるとの考えを示した。

さらに、ヒズボラの軍事演習を受けてイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相が発した警告に対し、「大きな戦争を起こすと警告するのはあなた方ではなく我々だ」と述べた。

 

ヒズボラの軍事演習の波紋は、レバノンで行われている退役将校のジョージ・ナデル氏および退役兵士のユセフ・アル・フレイティ氏の軍事法廷裁判にも広がった。両氏は退役軍人が行った抗議運動の際に迷彩柄のズボン、軍の帽子、軍のロゴの入ったTシャツを着用したとして起訴された。この抗議運動は、生活条件、年金の価値低下、社会給付金の削減をめぐる懸念を中心としたものだった。

ナデル氏は、「私は軍の制服を35年間着ている」として、自身らに対する検察の主張を批判した。

また、レバノン軍の制服によく似た制服を着て武装した個人ら、つまりヒズボラ構成員による軍事的示威行為に対する検察の反応を問題にした。

裁判長のハリル・ジャブル准将は、ナデル氏とアル・フレイティ氏の裁判を彼ら自身および彼らが所属する軍の歴史の両方の評価になるものと見なしていると述べた。

また、軍組織内での両氏の努力に感謝を表明し、両氏がレバノン国民の心の中に特別な位置を占めていることを強調した。

そして、犯罪の意図がなかったとしてナデル氏およびアル・フレイティ氏に対する訴えを棄却した。この決定はレバノンにおいて例のない前代未聞の出来事と見られている。

別の動きもあった。ヘクトール・ハッジャール暫定社会問題相が、登録されたシリア難民への支援金をレバノンの通貨ではなく米ドルで支払うようにとの国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)からの要請に異議を唱えたのだ。

同大臣は記者団に対し、そのような措置は、良くて最低限の支援しか受け取っていないし米ドルで受け取っていないことは確かであるレバノンの人々にとって不公平なものになると述べた。また、難民の母国への帰還を促す手段としてシリアでの支援金配布を行うよう改めて求めた。

UNHCRは、登録難民に提供されている支援金はレバノンポンドでのみ支払われているが、利用可能なレバノンポンドの資金のみでは支援を必要としている難民の43%しかカバーできないことを強調した。

レバノンに不法入国したにもかかわらずUNHCRによって難民登録されているシリア人を対象とした新たな強制送還キャンペーンについての報道が出回っている。彼らはシリア体制軍に対する反対者や離反者であり、レバノンの治安部隊や軍によって逮捕された。

レバノンは4月、陸上国境を越えて不法入国していた約40人のシリア人を本国送還したが、彼らがシリアに帰還すると危険に直面する可能性が懸念されるとして国際社会からの非難を浴びた。

UNHCRの推計によるとレバノンには約150万人のシリア難民が住んでいるが、同機関によって登録されているのはその半数以下だという。

ヒズボラとその同盟勢力は、レバノンは難民の帰還を調整するためにシリア当局との接触を維持する必要があると主張し続けている。

ナスラッラー師は、この件についてはハイレベルの政府代表団がシリアにおいて「実質的かつ有意義な話し合い」に参加する必要があると述べた。

公安総局長官代理を務めるエリアス・アル・バイサリ准将は26日、レバノン・シリア最高評議会のナスリ・フーリー議長と会談し、この問題について話し合った。

これに先立ち、アル・バイサリ准将はレバノン政府と連携してダマスカスを訪問し、シリア政府関係者と難民の帰還について協議していた。

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