
ラマッラー:ストライキの継続により、ヨルダン川西岸地区のパレスチナ難民がゴミの散乱した状態で夏を迎えようとしており、災害が起こる懸念も生じている。
2月20日以降、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)のスタッフ3600人以上がストライキを継続しており、ゴミの山がどんどん蓄積している。
キャンプに滞在している約96万人が、悲惨な生活環境への不満を訴え続けている。医療の提供や5万人の生徒の教育にも影響が出ている。
UNRWAは「スタッフの昇給に対応したり、要求に応えたりするだけの資金がない」と主張している。
地元では、夏が近づく中、ゴミの収集停止と医療サービスの中止が重なり、環境・健康災害につながる可能性があるとの懸念が生じている。
ラマッラー付近のジャラゾン難民キャンプに滞在しているユーセフ・バラカさんはアラブニュースにこう語る。「いつも難民にしわ寄せが来ます… ストライキが続いているせいで、困難な状況で生活しています」
「子供は教育を受けられず、患者も治療を受けられない状態です」
それでも、患者に治療を施したり医療品を提供したりするために個々の努力がなされており、住民もできる範囲でキャンプのゴミを処理しているという。
西岸地区北部のナブルスのバラタ難民キャンプにいるタイシール・ナスルッラーフさんは「UNRWAのフィリップ・ラザリーニ事務局長と会うために、パレスチナのマフムード・アッバース大統領が委員会を立ち上げ、危機の早期の解決策を探る」と話してくれた。
「UNRWAの事務局は、スタッフとの争議の解決と日常生活の回復のために緊急に介入を必要としています」と彼は言う。
UNRWAは、ヨルダン・シリア・レバノン・西岸地区・ガザ地区のパレスチナ難民を支援・保護するために、国連総会によって1949年に立ち上げられた。
ジェニンキャンプにいるワリード・マシャーカさんは「ゴミが山積みになり、汚水が通りに流れ出ている。住民は現在、慢性疾患のための基本的な医療品の多くが手に入らない」と話す。
そして、「世界に戦争などの人道的な災害が存在する中で、UNRWAがパレスチナ難民へのサービスを怠った場合、パレスチナ難民の落ち度はどこにあるのでしょう?」とアラブニュースに訴えた。
パレスチナ自治政府はキャンプの難民への支援が許されていない、と彼は付け加えた。
UNRWAのアドナーン・アブー・ハスナ中東担当報道官は、ストライキの問題を解決するため、パレスチナ自治政府やパレスチナ解放機構との話し合いが続いているとアラブニュースに語った。
報道官は、すべての関係者が間もなく合意に至ると予想している。
そして「物価高に対処するため、東エルサレムにいる300人のスタッフに268ドルの手当を承認した」と語った。西岸地区のスタッフも同様の要求をしているという。
報道官は、毎年7000万ドルの赤字が出ており、UNRWAの予算では追加の負担に対応できないと述べている。
また、サウジの多大な支援にも言及した。サウジは10年間でUNRWAに10億ドルを拠出し、ガザ地区で市や共同体を丸ごとつくったり、学校をいくつも建てたりし、UNRWAを幾度となく破綻から救ってきた。
「サルマン国王は自ら、リヤド地域の知事やAssociation for the Support of the Palestinian Peopleのトップを務めていた時代からUNRWAの支援体制を確立しました。UNRWAを強力に支援してきたサウジアラビアの立ち位置は、他国がUNRWAを支援する動機づけになっていると考えられます」と報道官はアラブニュースに語った。