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スーダンで新たな停戦開始、市民は懐疑的

国連によると、スーダン紛争によって200万人近くが避難し、そのうち47万6千人が近隣諸国に避難している。(AFP)
国連によると、スーダン紛争によって200万人近くが避難し、そのうち47万6千人が近隣諸国に避難している。(AFP)
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10 Jun 2023 10:06:29 GMT9
10 Jun 2023 10:06:29 GMT9
  • 戦場で身動きが取れない状態の民間人は流血の惨事からの解放を切望している

ハルツーム:スーダンで交戦中の2人の将軍の間で合意された24時間の停戦が6月10日に発効されたが、これまでの停戦と同じように破綻するのではないかとの懸念は大きく、米国とサウジアラビアの調停者は調停努力を打ち切る可能性があると警告している。

戦闘が3か月目に入ろうとしている現在、スーダン首都圏と西部のダルフール地方の戦場で身動きが取れない状態の民間人は、流血の惨事からの解放を切望しているが、対立する2人の将軍による停戦の履行に対しては懐疑的である。

4月15日に戦闘が勃発して以来、何度も停戦協定が締結されては違反されてきた。5月末に発効した前回の停戦合意が違反された後、米政府は敵対する両将軍に制裁を科した。

米国とサウジアラビアの調停者が6月9日に発表したスーダン全土での停戦は、ハルツーム時間6月10日午前6時に発効した。

先月末から中断しているサウジアラビアのジェッダでの協議について、「当事者が24時間の停戦を遵守しない場合、仲介者はジェッダでの協議の中断を検討せざるを得なくなるだろう」と調停者は警告を発した。

市民は、約束された停戦の範囲があまりに限定的であることに失望の声を上げた。

ハルツーム北部に住むマフムード・バシール氏は、「わずか1日の停戦は、私たちの願望をはるかに下回っています」と語った。「この忌まわしい戦争に終止符が打たれることを期待しています」

イサム・モハメド・オマール氏は、ハルツームの自宅を占拠している準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」の戦闘員に退去を要求し、ナイル川対岸のオムドゥルマンにある仮住まいから自宅に戻れるような協定を望んでいると語った。

「3週間前に(私が)追い出された自宅からRSFを追い出さないような停戦は、私にとって何の意味もありません」とオマール氏は語った。

スーダン専門家のアリー・ベルジー氏は、今回の停戦がこれまでの停戦以上に尊重されるべき理由はほとんどないとの見解を示した。

スウェーデンのヨーテボリ大学の研究者ベルジー氏は、「残念ながら、どちらの当事者も戦闘を続ける動機に変わりがないため、基本的な前提が同じ停戦協定が、実質的に異なる結果をもたらすとは考えにくいです。これほど短期間の停戦協定だと特にその可能性は低いと思います」と述べた。

NGO「武力紛争地域事件データプロジェクト(ACLED)」によると、今回の紛争ではこれまで1,800人以上が死亡している。

国連によると、近隣諸国に避難した47万6千人を含め、200万人近くが避難している。

サウジアラビアと米国の調停者は、「スーダン国民と同様、これまでの停戦が公正に履行されていないことに不満を抱いています」と述べた。

アブドゥルファッターフ・ブルハン率いるスーダン軍は「提案に同意した」とし、声明の中で「停戦合意の遵守を宣言する」と表明した。

ブルハン氏の元副官モハメド・ハムダン・ダガロ氏が指揮する準軍事組織RSFは、「停戦合意の完全遵守を確約する」と表明した。

どちらの声明も、停戦は人道支援活動の促進を可能にするとしながら、敵対勢力に違反行為をしないように警告した。

米国とサウジアラビアは共同声明で、「今回の24時間の停戦は、もし遵守されれば、両当事者が信頼醸成措置を講じる大きな機会となり、そうなればジェッダ会談の再開が可能になるかもしれない」との見解を示した。

今回の停戦合意が発表される1日前の6月8日、ブルハン氏に忠実なスーダン当局は国連特使のフォルカー・ペルテス氏を「ペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物=PNG)」とし、ペルテス氏が一方の肩を持っていると非難した。

アントニオ・グテーレス国連事務総長はその後、一連の会談のため現在エチオピアの首都アディスアベバを訪れているペルテス氏への支持を表明した。

グテーレス氏は報道官を通じて、「ペルソナ・ノン・グラータの原則は、国連職員には適用されず、国連職員に関しても適用されない」とし、国連憲章に基づくスーダン政府の義務に反すると伝えた。

この戦闘により、スーダンの民政移管を復活させようとするペルテス氏の取り組みは妨げられている。民政移管は、現在対立する2人の将軍が仲違いする前の2021年に実行したクーデターによって頓挫した。

また、国連の推計では2,500万人いるとされている困窮する民間人に緊急援助を提供するための国際的な取り組みの調整も困難になっている。

在スーダン赤十字国際委員会(ICRC)代表団のアルフォンソ・ベルドゥ・ペレス団長(退任予定)は9日、「医療はいつ崩壊してもおかしくない」と警告を発した。

ペレス氏はジュネーブで記者団に対し、ハルツームとダルフールの両地域で「ニーズは計り知れず、やるべきことはまだたくさんあります」と語った。

AFP

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