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EU初の湾岸地域特別代表の任命は協力の意欲の証:ルイジ・ディマイオ氏がアラブニュースに語る

アラブニュースに対して語る、EU初の湾岸地域特別代表であるルイジ・ディマイオ氏。(提供写真)
アラブニュースに対して語る、EU初の湾岸地域特別代表であるルイジ・ディマイオ氏。(提供写真)
伝統的なマナーでサウジの名産品を試食する、EU初の湾岸地域特別代表であるルイジ・ディマイオ氏。リヤド(提供写真)
伝統的なマナーでサウジの名産品を試食する、EU初の湾岸地域特別代表であるルイジ・ディマイオ氏。リヤド(提供写真)
キング・ファイサル研究・イスラム研究センター会長のトゥルキ・アル・ファイサル王子と会談する、EU初の湾岸地域特別代表であるルイジ・ディマイオ氏。(提供写真)
キング・ファイサル研究・イスラム研究センター会長のトゥルキ・アル・ファイサル王子と会談する、EU初の湾岸地域特別代表であるルイジ・ディマイオ氏。(提供写真)
ワリード・A・エルケレイジ副外相と会談する、EU初の湾岸地域特別代表であるルイジ・ディマイオ氏。( @KSAmofaEN )
ワリード・A・エルケレイジ副外相と会談する、EU初の湾岸地域特別代表であるルイジ・ディマイオ氏。( @KSAmofaEN )
リヤド訪問の最初にGCCのジャーセム・アル・ブダイウィ事務局長と会談する、EU初の湾岸地域特別代表であるルイジ・ディマイオ氏。(GCC)
リヤド訪問の最初にGCCのジャーセム・アル・ブダイウィ事務局長と会談する、EU初の湾岸地域特別代表であるルイジ・ディマイオ氏。(GCC)
EU加盟国の大使らと共に写真に収まる、EU初の湾岸地域特別代表であるルイジ・ディマイオ氏。リヤド。( @eusimonpa )
EU加盟国の大使らと共に写真に収まる、EU初の湾岸地域特別代表であるルイジ・ディマイオ氏。リヤド。( @eusimonpa )
EU初の湾岸地域特別代表であるルイジ・ディマイオ氏と会談する、シューラ評議会の副議長であるミシャール・ビン・ファーム・アル・サラミ博士。2023年7月12日、リヤド。(提供写真)
EU初の湾岸地域特別代表であるルイジ・ディマイオ氏と会談する、シューラ評議会の副議長であるミシャール・ビン・ファーム・アル・サラミ博士。2023年7月12日、リヤド。(提供写真)
EU初の湾岸地域特別代表であるルイジ・ディマイオ氏と会談する、シューラ評議会の副議長であるミシャール・ビン・ファーム・アル・サラミ博士。2023年7月12日、リヤド。(提供写真)
EU初の湾岸地域特別代表であるルイジ・ディマイオ氏と会談する、シューラ評議会の副議長であるミシャール・ビン・ファーム・アル・サラミ博士。2023年7月12日、リヤド。(提供写真)
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14 Jul 2023 06:07:26 GMT9
14 Jul 2023 06:07:26 GMT9
  • 就任後初の湾岸地域訪問時に、エネルギー、気候、ギガプロジェクトに関するEUと湾岸諸国の将来的な協力の可能性を称賛した
  • ディマイオ氏は独占インタビューの中で、10月にオマーンで開かれるEU・GCC閣僚級会合を前にアラブ諸国の高官らとの会談を楽しみにしていると語った

ヌール・ヌガリ

リヤド:EU初の湾岸地域特別代表であるルイジ・ディマイオ氏は、就任後初めてサウジアラビアを訪問した際にアラブニュースに対し、最近の世界の出来事は新たな協力が必要であることを示していると語った。

これは、多極化した世界における湾岸協力理事会(GCC)・アラビア湾岸諸国の台頭を欧州諸国は無視することができるかという質問に対し答えた際のコメントだ。

ディマイオ氏は13日のインタビューで、「世界は変化しているため、築くべき新たなパートナーシップがあると思う」と語った。このインタビューでは、ロシア・ウクライナ紛争から、サウジアラビアにおける女性や若者の経済的地位向上まで、様々なトピックが話題に上った。

「過去数十年間に築いてきた古いパートナーシップは存在する。しかし、今は全てが変化している時代だ。ロシアによる最悪なウクライナ侵攻もあったし、パンデミックもあったからだ」

「あなた方(サウジアラビアおよび湾岸諸国)は地域においていくつかの取り組みを行っているが、それらは我々にとって非常に興味深いものであり、エスカレーション抑制を目指すものであるとしたら歓迎すべきものだ。だから、無視するとか考慮するとかの問題ではなく、我々は協力しなければならないのだと思う」

6月1日に新たな役職に就いたディマイオ氏は、その役職が作られたという事実は、湾岸地域との関係を深めることへのEUの意欲を疑う声を完全に払拭するはずだと言う。

「EUとその27加盟国が初の湾岸地域特別代表を任命したという事実は、EUと湾岸諸国の協力を新たな戦略的レベルに引き上げたいという新たな野心の証だ。私が言う『パートナーシップ』とは、対話、尊重、結果に基づいた真のパートナーシップのことだ」

EU湾岸地域特別代表の事務所を設立するという決定はロシアによるウクライナ侵攻とそれに続いた世界的エネルギー危機によって加速されたのかという質問に対してディマイオ氏は、この措置はウクライナ侵攻前になされたものであり、むしろEUと湾岸諸国との間のより緊密な関係を促進したいというEUの真の関心を反映したものだと語る。

「我々が交渉と共同コミュニケーションの作成を開始したのはロシアによるウクライナ侵攻の前だった」

「当時私はまだ閣僚だったのだが、その時のプロセスを覚えている。中心的なアイディアは、多国間・二者間のレベルでの重要性、そしてパートナーシップのレベルを向上させるためにEUがさらにできることは何かということだった」

「その後、ロシアによる侵攻が始まった。共同コミュニケーションを承認できたこと、またEU特別代表の任命に取り組めたことは非常に良いことだったと思う。なぜなら、多国間・二者間のレベルで地政学的枠組み内のあらゆることが変化している時代においては、戦略的パートナーとの緊密化を図ることが非常に重要だからだ」

ディマイオ氏はリヤド訪問のはじめに、GCCのジャーセム・アル・ブダイウィ事務局長との会談を行った。両者は、「10月10日に(オマーンで)開かれるEU・GCC評議会をを実りあるものにするための準備を進めた」という。「我々の戦略的パートナーシップを実施するための重要なマイルストーンとなる会議だ」

ディマイオ氏は、キング・ファイサル研究・イスラム研究センター会長のトゥルキ・アル・ファイサル王子、およびワリード・A・エルケレイジ副外相とも会談した。

その後には、パトリック・シモネ駐サウジアラビア・バーレーン・オマーン大使を含むEUの同僚らとも面会した。

ディマイオ氏はサウジの名産品の試食会にまで招待された。

EUと湾岸諸国との関係においてはエネルギーが引き続き重要な役割を果たしているが、EU加盟国はサウジアラビアの社会改革・経済多角化アジェンダ「ビジョン2030」に期待を寄せているとディマイオ氏は言う。同氏が見るところでは、ビジョン2030は「ネクストジェネレーションEU」「ヨーロピアン・グリーン・ディール」などのEU独自のプロジェクトの多くや、EUにおける水素エネルギーに対する関心の高まりと方向を同じくしている。

「あなた方がサウジアラビアで進めている水素プロジェクトは非常に重要なものだ。我々は、水素分野における野心、特に欧州の需要やサウジアラビアから欧州方向への水素供給について、強力な対話を試みることができる」

「我々はエネルギーだけでなく技術や研究、大学や学校についても話し合う。全てが水素やエネルギーの新しい地平につながっているからだ」

「そしてあなた方は、欧州にエネルギーを供給している国々として、新技術や再生可能エネルギーに多大な投資をしている。それらは、我々が対話を行ってより多くの相乗効果を図るための格好の分野だと確信している」

ディマイオ氏は今週の訪問中、2016年にムハンマド・ビン・サルマン皇太子殿下が立ち上げたビジョン2030の進展を直接目にすることができた。ビジョン2030の開始とともに、女性や若者の経済参加の促進や、サウジアラビアを石油産業から他の新産業にシフトさせることに資するビジネス環境の創出を目的とした多くの改革が実施された。

ディマイオ氏は語る。「昨日シューラ(評議会)を訪れた時、サウジアラビアの規制の枠組みをビジョン2030に沿ったものにするためにどれだけ多くの法律を改正しているかについて説明してもらった」

「あなた方は国の変革を行っている。そしてビジョン2030は、その変化を我々に示している重要なポイントの一つだ。私はブリュッセルで、貴国の素晴らしい大使だけでなくNEOMプロジェクトの副CEOなどの人々にも会った」

「皇太子殿下にお会いした時は、NEOMとそのプロジェクトについて、ビジョン2030について、そしてNEOMなどの革新的なプロジェクトについて話し合った。これからの真の課題は、これらのプロジェクト、グリーン・ディール、我々のネクストジェネレーションEU、あなた方のビジョン2030やNEOMプロジェクトなどに関して協力を図ることだと思う」

ディマイオ氏は、紅海沿岸に具体化しつつあるスマートシティNEOMなどのサウジアラビアのギガプロジェクトに対する欧州からの投資の規模を今よりはるかに大きくする余地があると考えている。

EUとサウジアラビアの間には既に強力な貿易・投資関係がある。実際、サウジアラビアにとってEUは2番目に大きい貿易パートナーであり、最大の外国直接投資者だ。この貿易・投資関係は今後さらに強力になっていくと確信しているとディマイオ氏は言う。

「当然そうだ。今は特に、新技術や新エネルギー、さらには教育に関するあなた方の新しいプログラムや、我々がEUで進めているプログラムやプロジェクトがある。EUでは(欧州)委員会および加盟国が同じ方向を向いて新しいプロジェクトを展開している。さらなる取り組みの機会があると思う」

「数字を上げるためだけでなく、若い国民、若い国の未来につながるこれらのプロジェクトを通して我々の関係をより実のあるものにするためにだ。あなた方はこのような若者のための新しい機会に期待している」

しかし、EUと湾岸諸国の関係は貿易やエネルギーだけに留まらない。安全保障上の共通の懸念も戦略的パートナーシップにおいて重要な役割を果たしているとディマイオ氏は言う。

「私の任務においては安全保障が一つの柱であることを言っておくことが非常に重要だ」

「海洋安全保障や古典的な安全保障の概念などの従来の意味での安全保障だけでなく、サイバーセキュリティやテロ対策などについても話し合うことができる(…)先ほど言ったように、安全保障と気候のつながりについて革新的な方法で話し合う必要がある。非常に重要なことだ」

「私の任務は、スマートな解決策を促進し、現在進行中のエスカレーション抑制の努力を持続的なものにすることを目指す地域の外交努力を支援することである。私の役目は耳を傾けること、地域の国々の感受性や優先事項を理解することだ。私はこの大きな責任を果たすことに、そしてEU加盟国、EU機関、あなた方湾岸諸国と共にそれを成功させることに100%専念している」

湾岸諸国は先週、首都ストックホルムでイラクからの移民がコーランを燃やすのを許可したスウェーデンを強く非難した。

ディマイオ氏は、同氏の事務所には湾岸諸国との戦略的パートナーシップの構築という任務の一環としてそのような行為を防ぐという役割はあるのかという質問に対し、EUは聖典の焼却という行為を心の底から拒否すると述べた。同氏は今週の諸会談でもその見解を表明したという。

「今回の訪問中の全ての二者会談の際に、冒頭からこの点について提起し、先日のコーラン焼却は容認できないこと、そして聖典の焼却はいかなるものであれ明らかな挑発行為・冒涜行為であるということ、そして先ほど言ったようにEUはそれを拒否するということを表明した」

「我々の社会においてはいかなる種類の人種差別主義、外国人嫌悪、挑発行為にも居場所はない。今こそ、力を合わせてさらなるエスカレーションを防ぎ、こういった行為が起こらないようにしなければならない」

GCCのアル・ブダイウィ事務局長によると、ディマイオ氏は12日に同事務局長と会談した際、コーラン焼却に対するEUの遺憾の意、拒否、非難を伝えた。

イタリアの外相および副首相から現在のEUでの役職へと移ったディマイオ氏は、欧州と世界との間の関係を形作るうえでのEUの役割を拡大することを常に支持してきたと語る。

「私が2年間外相を務めた時、またその前に副首相を2年間務めた時、我々が加盟国としてより強くなるためにEUは世界の他の地域との対話者になる必要があるという考えを全面的に支持していた」

「そして、欧州大陸、具体的にはEUは、加盟国が世界との新たなパートナーシップを築くためのテコとなり得る機関だ」

 

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