シドン:レバノンの暫定首相は3日(木曜日)、国内最大のパレスチナ難民キャンプでの不安定な状況を終わらせるようパレスチナ大統領に電話で要求するとともに、何十人もの死傷者を出している戦いを止めるためにレバノン軍が介入するかもしれないと警告した。
ナジーブ・ミカティ暫定首相がパレスチナのマフムード・アッバース大統領と電話したのは、レバノン南部の港湾都市シドンに近いアイン・エル・ヒルウェ難民キャンプでパレスチナ人派閥間の散発的な衝突が数日続いた後のことだった。
ミカティ暫定首相は、この戦闘を「レバノンの主権に対する明白な侵害」と呼び、彼の事務所が発表した声明によれば、敵対するパレスチナ人同士が「レバノン人、特に長年パレスチナ人を受け入れてきた南部の人々を恐怖に陥れる」ことは容認できないと述べた。
彼の電話での要求は、夜間に再度起こった衝突の後、キャンプと周辺地域に一時の静けさが戻った後に行われた。
このレバノン最大のパレスチナ難民キャンプには約5万人が住んでいるが、30日(日曜日)からアッバース氏が率いるファタハ党と、イスラム主義グループ、ジュンド・アル・シャームとシャバーブ・アル・ムスリムとの激しい戦闘で揺れている。
ファタハ党は、日曜日にこのキャンプでファタハ軍のアブ・アシュラフ・アルムーシ将軍を銃殺したのはイスラム主義者たちだと非難している。
この戦闘により、これまでに12人以上が死亡、数十人が負傷し、数千人が避難している。
キャンプ境界外のシドン市内では木曜日、衝突から逃れた約100人のキャンプ住民が近くのモスクに避難していた。シェイク・アフマド・ナダール氏によると、衝突が始まって以来、約2000人がモスクに避難しているという。
「私たちはこの全てにうんざりしている」と、モスクに滞在しているアイン・エル・ヒルウェ住民のモハメド・サバク氏は言う。「私たちには子供たちがいる」
サバク氏によれば、キャンプの外でさえ、彼らは戦闘によって閉じ込められていると感じているという。
「周りを見て欲しい。店は全部閉まっている。人々は家に閉じこもっている。パンさえ手に入らない、すべての道路が閉鎖されているんだ」
難民キャンプ近くのアル・ハムシャリ病院の責任者であるリアド・アブ・アル・エイネイン医師によると、同病院には2日(水曜日)夜の衝突で死亡した人の遺体が収容され、戦闘で死亡した人の総数は13人となり、負傷者はさらに数十人に上るという。
この状況が続けば、「キャンプ住民家族だけでなく、シドンのすべての人々に影響を及ぼすだろう。特に、いくつかの携行式ロケット弾(RPG)と銃撃が市内の住宅地域に当たっている」と、同氏は述べた。
シドン地域のファタハ代表、マハール・シャバイタ氏は、水曜日夜の衝突でグループのメンバーが1人死亡したことを確認した。
同代表は、イスラム主義グループが31日(月曜日)に合意された停戦協定を破り、イスラム主義グループがキャンプ内のファタハのセンターを攻撃した後、ファタハの戦闘員が自衛したと述べた。同代表は、この攻撃について「キャンプを破壊し、キャンプを我々の戦闘員のキャンプから、テロリストのキャンプに変えるためのプロジェクト」の一環であると述べた。
キャンプ内のパレスチナ人派閥は、アルムーシ将軍殺害の犯人を特定し、裁判のためにレバノンの司法当局に引き渡すための調査委員会を結成したという。
レバノン軍は通常、パレスチナ人派閥のネットワークによって支配されているパレスチナ人キャンプには立ち入らず、アイン・エル・ヒルウェにおける紛争に積極的な役割を果たしていない。
2007年、レバノン軍は別のパレスチナ人キャンプ、レバノン北部のナール・アル・バレドでイスラム過激派と戦い、その過程でキャンプの大部分を破壊した。
レバノン軍を退役し、現在は軍事問題の研究者であるエリアス・ファルハット氏は、ナール・アル・バレド難民キャンプにおける介入とは異なり、戦闘員は軍を直接の標的にしていないため、レバノン軍がアイン・エル・ヒルウェの衝突に介入する可能性は低いと述べた。
AP