• イランでは、1979年のイスラム革命以来、定期的に大統領選と議会選挙を実施してきた
• 2020年に行われた前回の選挙では、候補者の約半数にあたる7,000名以上が資格を取り消された

ドバイ：8月7日、イランは来年3月の議会選挙の立候補者の登録手続きを開始した。昨年国中を揺るがした全国規模の抗議デモ以来、初の選挙となる。

イランでは、1979年のイスラム革命以来、定期的に大統領選と議会選挙を実施してきた。ただし、候補者は聖職者団体の吟味を受け、イスラム共和国に忠実ではないと判断されれば、資格を取り消される。さらにアリー・ハメネイ最高指導者がすべての主要な政策について最終的発言権を有している。

イランでは数か月にわたる全国規模の抗議デモが、22歳の女性マフサ・アミニ氏の死をきっかけに起きた。アミニ氏はイランの厳格な服装規定を破ったとの理由で道徳警察に逮捕されていた。抗議は聖職者による支配の転覆を求めるようになり、40年続くイラン体制への最大の挑戦となった。

抗議デモは、当局が激しい弾圧を開始して死者500人以上、逮捕者約2万人を出してから下火になっている。先月、道徳警察は再び通りでの取り締まりを開始し、女性たちにヒジャブ（頭部を覆うスカーフ）の着用を強制している。

定員290の議会選挙の立候補者は、今後1週間でオンラインの予備登録を行う。予備登録は1か月かかる手続きの最初の段階である。全員が最終的には監督者評議会（聖職者12名から成る、うち6名は最高指導者が直接指名）の承認を受けなければならない。

2020年に行われた前回の選挙では、候補者の約半数にあたる7,000名以上が資格を取り消された。この選挙の投票率は1979年以来過去最低で、有権者の約42%が投票したに過ぎなかった。

アメリカのドナルド・トランプ前大統領が、イランと各国の間の核合意からの撤退を決めて苛烈な制裁を再開して以来、イランは深刻な経済危機に陥っている。通貨は暴落し、多くのイラン人の貯蓄は消し飛び、物価は高騰している。多くの人は生活をするのが精いっぱいの状況で、抗議デモや選挙に参加する余裕はないと専門家は指摘している。

イラン政府はアメリカの撤退までは、2015年の核合意を遵守していたが、現在は急ピッチで核計画を進めている。イランは公然と合意に示されたウラン濃縮度と貯蔵量の制限を破り、アメリカからの攻撃に耐えられる地下深くに核施設を建設中である。

AP