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移民危機:チュニジア沿岸警備隊の海上での24時間を取材

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12 Aug 2023 07:08:56 GMT9
12 Aug 2023 07:08:56 GMT9

スファックス、チュニジア:移民が欧州に向けて出航する拠点であるチュニジアのスファックスの沖合で、同国の沿岸警備隊は24時間のうちに6隻のボートを阻止した。そのうちの1隻から、数十人が連れ戻されている。

レーダーで移民を発見したゴムボートにスピードボートが向かう中、チュニジア沿岸警備隊のモハメド・ボルヘン・チャムトゥリ司令官は、「我々の最優先事項は人命救助だ」と語った。

スファックスを拠点とするチャムトゥリ司令官がそう語ったのは、9日から10日にかけてこの港湾都市から出航した移民を24時間にわたって阻止・救助した後のことだった。

スファックスは今年になって、チュニジア沿岸から地中海を渡りたい移民にとっての主要な拠点として浮上している。最も近い地点だと、イタリアのランペドゥーザ島から130km以下だ。

国際移住機関によると、今年に入ってから1800人以上がこのルートで渡航を試みて死亡している。これは昨年の2倍以上の人数であり、世界で最も犠牲者の多いルートとなっている。

チュニジア沿岸で最も直近に起きた悲劇は先週末の難破で、少なくとも11人が死亡、44人が行方不明となった。

チャムトゥリ司令官は、「それは間違いない。この24時間で見てもらったように、我々は何度か救助を実施した」と、乗組員に同行していたAFPの特派員らに対して語った。「ボートが3隻故障したため救助は容易ではなかった」

チュニジア沿岸警備隊によると、同隊は6月20日までの6ヶ月間に3万4290人の移民を阻止したが、その大半がサブサハラアフリカ諸国からの移民だった。2022年同期は9217人だったという。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは7月19日、沿岸警備隊を含むチュニジアの治安部隊が、集団追放や海上での危険行動などの「アフリカ系黒人移民に対する深刻な虐待を行っている」と主張した。

チュニジア沿岸警備隊のスファックスパトロール隊は、AFPのチームが捜索・救助活動を取材するために乗船している間に、6隻のボートで別々に出航した216人の移民を阻止した。

そのうちの数十人は女性や子供を含むアフリカ系黒人の移民で、出発直前に組み立てられた壊れやすい船に多すぎる人数で乗って渡航を試みていた。チュニジア人も75人いたが(全て男性)、彼らにはより頑丈なボートで渡航する経済的余裕があった。

ゴムボートが彼らの船に近づくと、アフリカ人たちは泣きながら、沿岸警備隊に見逃すよう懇願した。

コートジボワールから来た若者はAFPに対し、これが地中海渡航の「7度目の挑戦」だと語った。

チュニジアのカイス・サイード大統領は2月21日の演説で、非正規移民の「大群」が犯罪を引き起こし、アラブ系住民が多数派の同国に人口動態上の脅威をもたらしていると主張した。それ以来、地中海渡航を試みるアフリカ人の数は急増している。

また、7月3日にスファックスでチュニジア人と移民の間で乱闘が発生しチュニジア人男性が刺殺された事件の後、数百人の移民が逮捕されたり砂漠に追いやられたりしていることも、多くの人の逃亡を促している。

イタリアによると、今年に入ってから9万4000人近くの移民が同国の海岸に到着したという。これは2022年同期の2倍以上の人数だ。

チャムトゥリ司令官によると、スファックスの沿岸警備隊は今月わずか10日間で約3000人の移民を阻止したが、その90%はアフリカの他の地域からの移民だったという。

EUは7月にチュニジアとの間で、移民船出航防止と密入国業者対策のために、欧州からの直接援助を1億500万ユーロ(1億1500万ドル)提供する協定を結んだ。

その中には、アフリカからの移民6000人を母国へ「自主帰還」させるための資金1500万ユーロも含まれていた。

この協定と時を同じくして、チュニジアは7月上旬から、アルジェリアやリビアとの国境にある砂漠や荒地に「2000人以上のアフリカ人移民」を「追放」した。

アムネスティ・インターナショナルはこれを受け、EUが「安全で合法的なルートの確保よりも、封じ込めや国境管理のアウトソーシングに政策と資金を集中させる」ことで移民の「苦しみに加担している」と非難した。

AFP

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