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スーダンの内戦は教育セクターを破壊した

スーダン北部カシンガー地区で軍事訓練に参加する、スーダン軍に採用された民間人。(AFP)
スーダン北部カシンガー地区で軍事訓練に参加する、スーダン軍に採用された民間人。(AFP)
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11 Aug 2023 03:08:36 GMT9
11 Aug 2023 03:08:36 GMT9
  • 多くの学校が避難所となっている
  • インターネット環境がないためリモートでの学習も困難

カイロ:スーダンの首都で勃発した内戦により、サラ・アル・シャリフさんと彼女の家族は避難を余儀なくされた。19歳の情報技術学生である彼女は、書籍とコンピュータを持ってくることはできなかった。

現在、首都ハルツームの南東30キロに位置するセンナールにいる彼女には、安定したインターネット接続環境も、海外渡航のためのパスポートもない。彼女は、他の多くの人々と同様、対立する軍事派閥間の戦闘が激化する中、勉強を続ける方法はないと考えている。

4月中旬に始まった衝突は、スーダンの脆弱な教育システムを崩壊状態に追い込んだ。多くの学校は閉鎖され、または避難民の受け入れ先として再利用され、ほとんどの学年末試験は中止された。

「この戦争は、スーダンの教育の終わりを告げている。状況は『教育の悪化』から『不可能』に変わってしまった」

紛争により、ハルツームの街角では毎日のように戦闘が繰り広げられ、ダルフールでは民族を標的にした攻撃が復活し、スーダン国内および国境を越えて400万人以上が避難を余儀なくされている。

スーダンで活動しているユニセフのシモーヌ・ヴィス氏によると、「少年少女が武装集団にリクルートされているという憂慮すべき報告が数多くある」という。

国連によると、7つの州で少なくとも89の学校が避難民のためのシェルターとして使用されている。このため、新学期には多くの子どもたちが学校に行けなくなり、児童労働や虐待にさらされる恐れがあるという。

9日(水曜日)、教育大臣は、戦争被災地におけるほとんどの学年末試験を中止した。

「現在の状況では、新しい学年を持つことは不可能だと誰もが思うだろう」と、同じくハルツームからセンナールに避難してきた教師であるサハール・アブドゥラ氏は言った。

スーダンの軍隊と、準軍事組織である即応支援部隊(RSF)との内戦が始まる前から、セーブ・ザ・チルドレンはスーダンを、「教育が極度の危機に瀕している国」世界トップ4のひとつに位置づけていた。

セーブ・ザ・チルドレンによると、現在、学校に通えない子どもたちの数は690万人から900万人に増加し、100万人以上の学齢期の子どもたちが家を失い、戦闘が始まって以来、少なくとも1万400校の学校が閉鎖されている。

ハルツームは誇り高い知的伝統を持っているが、その一方で、過小投資、政治的干渉、そして深刻な経済危機によって学校教育制度は荒廃していた。それは、2019年の前指導者オマル・バシル追放前後の街頭デモ活動、2020年の異常な大洪水、新型コロナウィルス感染症の大流行によって、さらに混乱を極めていた。

学校の教室は過密で、「椅子を持ち込んで授業を受ける生徒もいた。教師が仕事をするのに十分な教科書もなかった」と、避難民である教師、アブドゥラ氏は語る。

国家公務員である教師たちは、戦争が始まる直前に、給与や労働条件をめぐって3ヶ月のストライキを起こした。スーダン教師委員会の幹部によると、30万人もの教師が3月以来賃金を支払われていないという。

「私は4カ月間給料をもらっていない。また、いつ職場に戻れるのか見当もつかない」と、学校がRSFに占拠された後、ハルツームからガダーレフ州に逃れた避難中の教師、ファティマ・モハメド氏は言う。

ここ数年の教育の中断にもかかわらず、内戦が勃発したとき、ラバブ・ナスレルディーンさんは、ハルツーム大学法学部の3年生までなんとか到達していた。

そして、彼女もまた、他の場所で勉強を続けられる可能性のある教育証明書や書類を捨てて逃げなければならなかった。

「私たちにある唯一の選択肢は、最善を願って待つことだけだ」。と彼女は語る。援助活動家たちは、安全な学習スペースを設けたり、子どもたちに心理社会的支援を提供したりして、この危機の影響を和らげようとしている。

緊急時の教育に特化した国連の世界基金「Education Cannot Wait(ECW)」は1250万ドルの資金で、スーダンと近隣諸国の12万人の子どもたちに教育サービスを提供することを目指している。

新型コロナウイルス感染症が大流行した際、裕福な国の親たちは「自分の子どもたちの教育再開に、1年や1ヶ月も待つことはしたくなかった」と、同基金のヤスミン・シェリフ事務局長は言う。

「だったらなぜ、(スーダンの)子どもたちに、紛争が終わるまで教育を待ってもらう必要があるのだろうか?」

スーダンを逃れた人々の中には、エジプトを含む国境外の学校や大学への入学を希望する者もいる。しかし、37万7000人以上の難民が到着したチャドでは、そのような選択肢はない。

「私は教育を受けるために戻ることはできない。家族と連絡も取れていない」と、ダルフールからチャドのアドレに逃れてきた避難民の学生、ハリファ・アダムさんは語る。

「オンラインで勉強を続けることができると言われた。しかし、ここアドレのインターネット接続は非常に悪い」

ロイター

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