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制裁中のイランの石油を積んでいると見られるタンカー、イラン政府の脅しもテキサス付近で荷揚げ開始

2022年2月13日、衛星写真に写った南シナ海のヴァーゴ号(左)とスエズ・ラジャン号。(AP通信経由プラネット・ラボPBC)
2022年2月13日、衛星写真に写った南シナ海のヴァーゴ号(左)とスエズ・ラジャン号。(AP通信経由プラネット・ラボPBC)
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20 Aug 2023 04:08:42 GMT9
20 Aug 2023 04:08:42 GMT9
  • スエズ・ラジャン号に載った積荷の行く末は、米国とイランとの間でのより広範な緊張に巻き込まれた
  • 船舶追跡データによると、マーシャル諸島船籍のタンカーはShip-to-Ship方式で原油を移し替えていたことがわかった

ドバイ:制裁を受けているイランの原油を運んでいるとの疑惑を長くかけられている米国所有の原油タンカーが19日遅く、テキサス近くで積荷を下ろし始めたことが追跡データから分かった。この状況を受けたイラン政府がアラビア湾での輸送を標的にすると脅していたのにもかかわらずだ。

スエズ・ラジャン号に載った積荷の行く末は、米国とイランとの間でのより広範な緊張に巻き込まれた。韓国で凍結されたイラン資産数十億ドルと、テヘランで収監されていたイラン系米国人5人の釈放との交換条件に向けて、イラン政府と米政府が協力しているのにもかかわらずだ。

すでに、イランの準軍事組織「革命防衛隊」は、積荷の荷下ろしに関わった者は「報復を覚悟すべし」と警告している。米海軍はここ数週間、中東におけるプレゼンスを着実に増しており、イランによるさらなる船舶の拿捕をやめさせるため、軍隊と軍用機を載せたバターンを配備し、ホルムズ海峡を抜ける商船への武装した人員の配置を検討している。

船舶追跡データによると、マーシャル諸島船籍のスエズ・ラジャン号は、ヒューストンの南東約70キロメートル(45マイル)のテキサス州ガルベストン近くで、Ship-to-Ship方式で別のタンカーのミスター・ユーフラテス号へ原油を移し替えていたことがわかった。これによって積荷の荷下ろしが完了する可能性が高い。

米当局とスエズ・ラジャン号船主であるロサンゼルスの未公開株式投資会社オークツリー・キャピタル・マネジメントにコメントを求めたが、すぐには返答はなかった。

スエズ・ラジャン号の物語が始まったのは2022年2月だ。統一反核イラン(United Against Nuclear Iran)という組織は、アラビア湾における主な石油流通ターミナルのハールク島からこのタンカーが石油を運んでいることを疑ったのだという。

このタンカーは数カ月にわたってシンガポール沖北東の南シナ海に停泊し、突然、説明もなくメキシコ湾へ向かった。船舶の積荷は米当局によっておそらく押収されたのだとアナリストは信じているが、20日未明ではまだ、スエズ・ラジャン号を含む裁判所文書は公開されていない。

その間にイランはホルムズ海峡付近で、米石油大手シェブロン向け貨物を積んだタンカーを含むタンカー2隻を拿捕した。革命防衛隊海軍部隊の最高司令官は7月、スエズ・ラジャン号の荷揚げを行なう者に対しさらなる行動を起こすと脅し、国営メディアは直近の拿捕と積荷の行く末を関連づけた。

「われわれの原油を該当船舶から荷下ろそうとするいかなる石油会社も拿捕すること、また、米国に責任を負わせることをこれをもって宣言する」と海軍少将。その時、Alireza Tangsiri氏は述べた。「当て逃げの時代は終わりました。もしぶつけた場合は、報復を覚悟するべきです」

スエズ・ラジャン号の荷揚げについてIran’s mission to the United Nationsにコメントを求めたが、すぐに返答は得られなかった。ここ数日のうちに、西側が支援するアラビア湾における海軍組織もまた、ホルムズ海峡付近でのイランによる船舶拿捕の危険性が高まっていると警告した。

2015年の大国とのイラン核合意によって、イランはまた国際市場で堂々と石油を売れるようになった。しかし2018年に当時のドナルド・トランプ大統領が一方的に合意を取り下げ、米国による制裁を再度課した。制裁によって、イラン経済とイラン政府にとって大きな原動力となっていた、利益が得られる原油取引の多くが門戸を閉ざされた。また、イランの石油貨物を狙ったイタチごっこも始まっており、2019年以降、イランが原因とされる一連の攻撃がエスカレートしている。

スエズ・ラジャン号の積荷荷下ろしが遅れたことはバイデン政権にとっても政治問題となり、おそらく企業がイランによる脅しを心配したことが原因で、船はメキシコ湾に数ヶ月停泊した。

16日の日付の書簡では、米民主党及び共和党上院議員によるグループはホワイトハウスに対し、5600万ドル相当と推定されている船の積荷がどうなっているのか情報の更新を求めた。グループによると、その資金は、9.11、1979年のイランアメリカ大使館人質事件、その他の軍事攻撃の被害者への補償を行なっているUS Victims of State Sponsored Terrorism Fundへと渡る可能性があるという。

「米国家族のために制裁を執行する義務があります」と書簡にはある。

米財務省は、イランの石油密輸収入が中東全域で活動する革命防衛隊の遠征部隊であるコッズ部隊を支えていると述べている。

統一反核イランの代表Claire Jungman氏は最終的に移送されたことを賞賛した。

「重要な資源(の防衛)を奪うことで、米国民だけでなく世界の同盟国やパートナーを標的としたテロ行為に打撃を与えることになります」とJungman氏は述べた。

AP

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