
エルサレム:イスラエル領内のアラブ系自治体の議会は21日、財務相が今月それらの自治体に割り当てられた数億シェケルを凍結したことに抗議してストライキを実施した。この資金凍結をめぐっては人種差別であるとの非難の声が上がっている。
ベンヤミン・ネタニヤフ首相率いるナショナリスト・宗教右派政権の主要メンバーであるべザレル・スモトリッチ財務相は、アラブ系自治体に割り当てられた少なくとも2億シェケル(5275万ドル)の資金を、「犯罪組織やテロ組織」の手に渡る可能性があるとして凍結した。
アラブ人都市ウム・アル・ファームのサミル・マハミード市長はイスラエル軍ラジオで、同財務相がアラブ人を泥棒や犯罪者と見なしていることは「馬鹿げた」「間違った」ことだと語った。
また、「これは贅沢のためではなく生きるためのお金だ」として、この資金は犯罪増加への対策を支援するためのものだと説明した。「これは我々の生活のための闘いだ」
ネタニヤフ首相は8月9日、この資金の凍結解除を約束した。しかし、スモトリッチ財務相は21日にX(旧ツイッター)への投稿で、「皆さんの税金数億シェケルが犯罪組織の手に渡っていることに見て見ぬふりを続ける」ことはしないと宣言し、自身の決定の正しさを強弁した。
超国家主義者であるスモトリッチ財務相による資金凍結に対しては、人種差別であるとの非難が、アラブ系議員、野党党首のヤイール・ラピード氏を含むユダヤ系議員、アラブ系市長らから集まっている。
アラブ系住民はイスラエルの人口の約5分の1を占めている。彼らの大半は、イスラエル建国をめぐる1948年の戦争後も同国に留まったパレスチナ人の子孫である。
彼らは何十年もユダヤ系住民との格差に直面してきた。高い貧困率、インフラが不十分で人口過密な町、資金不足の学校などだ。これらは政府の意図的な政策の結果だと彼らは言っている。
イスラエルのモシェ・アルベル内相はスモトリッチ財務相に対し資金凍結の解除を求めるとともに、アラブ系自治体のストライキへの支持を表明した。
アラブ人指導者らは21日、官公庁の外でデモを行った。ソーシャルメディア上に出回った動画には、アラブ系のアイマン・オデフ議員を含む一部のデモ参加者が警察から押されている様子が映っている。
地面にうつ伏せになって額から血を流す女性の手を警官らが掴むと、デモ隊は「暴力的な警察!」と唱えた。
警察は、警官らは財務省に押し入ろうとしたデモ参加者らを阻止しようとしていたと述べた。
ロイター