MOULAY BRAHIM村・ モロッコ:モロッコのアトラス山脈にあるMoulay Brahim村の診療所の片隅で、ラヘーンさんは、金曜夜に発生した地震により妻と4人の子供を失い、悲しみに沈み座っていた。
ラヘーンさんの一家に襲った悲劇は、観光都市マラケシュから車で1時間ほどの山間の村では誰もが知るところとなった。
40歳の彼は頭を下げ、体を丸めて悲しみに耐えている。
彼は、蚊の鳴くような声で「全てを失った」と言った。
土曜午後、救助隊はまだ、彼の妻と息子の遺体を自宅跡の瓦礫から運び出せていなかった。
ラヘーン氏の亡くなった娘3人は既に瓦礫から運び出されていた。
彼は「今は何もできない。ただ世間から離れて、喪に服したい」と口にした。
金曜日の午後11時11分(日本時間9日午前7時11分)にマグニチュード6.8の地震が発生したとき、彼は家の外にいた。
最新の公式発表によると、モロッコ史上最大となる今回の地震により2000人が死亡し、2000人以上が負傷、その多くが重体であるという。
死者の半数以上となる1293人は震源とみられるアル・ホウズ州で亡くなった。
Moulay Brahim村は同州にあり、12人以上の死者を出し、さらに多くの死者が出る恐れもある。
9日土曜、救助隊は重機を用いて倒壊した家屋にいる生存者や犠牲者の捜索を行った。村の丘には死者を埋葬するための墓が掘られている。
40代女性のハスナさんは、村の質素な自宅のドアのそばに腰かけていた。彼女はまだショックを受けている。
「ひどい悲劇。このようなことが起きて、動揺しきっています。私の家族は助かったのですが、村全体が子供たちの死を嘆いています。多くの隣人が愛する人を失いました。筆舌に尽くしがたい痛みです」と彼女は語った。
地震発生時、Moulay Brahim村には3000人ほどが暮らしていた。村の高台で、ブチャラさんはスカーフで涙を拭いながら、男たちが墓を掘る姿を眺めていた。
「いとこの孫たちが亡くなったのです」と彼女は言った。「惨状を目の当たりにし、いまだに震えが止まりません。まるで火の玉がすべてを焼き尽くすようでした。」
「この村でもほかの村でも、皆が家族を失いました。」
別の村人のラヘーンさんは、近くの村に住む二人の幼い親族を亡くした。甥は6歳と3歳だった。
「神のご意志だったのだ」と彼は繰り返すが、この地域の孤立について指摘した。「ここには何もない。山間部はとても厳しい状況です」と語った。
名前を明かさないことを条件に語った若い女性は、彼女の叔父が間一髪で死を免れたと話した。
「屋根が落ちてきたとき、彼は祈っていたのですが、奇跡的に倒壊した家から助け出されました」「ほんの一瞬の揺れが、これほどの不幸を引き起こすとは」と語った。
AFP