
ベイルート:米国財務省が12日に、過激派組織ヒズボラへの資金供与を告発されたレバノンと南米の7件の個人および企業の家族ネットワークに、対テロ制裁を科した。当局が1990年代のアルゼンチンで死傷者を出した攻撃に関与したとするレバノン人男性1名が、この中に含まれている。
アメル・モハメド・アキル・ラダ氏は、85名が死亡し、数百名が負傷した、1994年のブエノスアイレスにおけるアルゼンチン・イスラエル相互協会への攻撃を実行した「作戦要員のひとり」とされている。1992年の在アルゼンチン・イスラエル大使館への攻撃では、29名が死亡した。
「本日の措置は、ヒズボラの工作員と資金供与者をどこにいようとも追跡することへの米国政府の献身を明確に示すものだ」と、財務省のテロ・金融情報担当次官であるブライアン・ネルソン氏は声明で述べた。
イランが支援するヒズボラは、「外国テロ組織」に指定されている。米政府は、同組織が収益を得るためにラテンアメリカで麻薬密売に関与してきたとも主張している。
財務省によると、ラダ氏はレバノンに移住する前に、南米で10年以上を過ごした。その間に、コロンビアからレバノンに頻繁に輸出を行う木炭事業を運営し、「自身の営利事業の利益の80パーセントをヒズボラのために」使ったとされている。
ラダ氏の兄弟であるサメル氏も制裁対象となっており、ラテンアメリカ各地でさまざまな麻薬密売およびマネーロンダリング活動にかかわったと告発されている。財務省によると、サメル氏は以前、ベリーズを拠点としていたが、麻薬関連の事件が原因で逃げており、エルサルバドルで押収された果物の積み荷に隠されていた1,500万ドル相当、500キログラム(1,102ポンド)のコカインの密輸に関与していた。
同氏はベネズエラを拠点とする企業BCI Technologies CAの代表でもあり、一部の報道によると、この会社は同国の有名な暗号通貨コンサルティング会社だという。
米国はラダ氏の息子のメフディ・アキル・ヘルバヴィ氏と、同氏が経営するコロンビアを拠点とするベンチャー企業Zanga S.A.Sにも制裁を科した。Zanga S.A.Sは石炭輸出会社で、当局によると、父親であるラダ氏がヒズボラへの資金供与にこの会社を利用していた。
財務省はレバノンを拠点とする企業Black Diamond SARLとそのオーナーのAli Ismail Ajrouch氏にも制裁を科した。この企業はおよそ40,000ドルを上述のコロンビアを拠点とする石炭会社に渡したと言われている。
AP