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スーダン紛争、「全面的内戦に発展する可能性」

スーダン北部の国境の町ワディハルファの学校で、避難民が料理をしながらたき火を囲んでいるところ。(AFP)
スーダン北部の国境の町ワディハルファの学校で、避難民が料理をしながらたき火を囲んでいるところ。(AFP)
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15 Sep 2023 07:09:02 GMT9
15 Sep 2023 07:09:02 GMT9
  • フォルカー・ペルテス氏、ダルフール地域での戦闘は「激化の一途」、民間人が標的となっていると語る

ニューヨーク:スーダンの軍指導者らから歓迎しないと宣告された国連スーダン特使のペルテス氏は、国連安全保障理事会における最後の演説で、スーダンの敵対する軍指導者間の紛争が「全面内戦へと変わるおそれがある」と警告し、辞任した。

スーダン国外で活動を続けていたフォルカー・ペルテス氏は、戦闘は収まる気配がなく、どちらの側も「決定的な軍事的勝利」には近づいていないようだと語った。

同氏はまた、スーダン西部ダルフール地域での戦闘が「激化の一途」をたどっており、民間人が民族を理由に標的にされていると述べた。

アブドゥルファッターフ・ブルハン・アブドゥルラフマーン・ブルハン主権評議会議長(将軍)が率いるスーダン軍と、モハメド・ハムダン・ダガロ将軍が率いる準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」との間の緊張状態が、4月中旬に戦闘へと突入したのが明らかになった。

ペルテス氏によると、4月中旬以降、控えめに見積もっても、少なくとも5,000人が死亡し、12,000人以上が負傷している。実際の犠牲者数は「おそらくはるかに多い」という。

国連合同人権事務所が入手した信頼できる報告書によると、西ダルフール州の州都ジュナイナとその周辺に集団墓地が少なくとも13カ所あると同氏は述べた。

ペルテス氏は、この集団墓地はRSFと同盟勢力のアラブ民兵が民間人、主にアフリカ人コミュニティに対する攻撃の結果であると述べた。

ダルフール西部地域では、2000年代初頭に大量虐殺が起きた。

国連の人道事務所のエデム・ウォソルヌ業務局長は理事会で、スーダンの人口のほぼ半数にあたる2,000万人以上が深刻な飢餓状態にあり、食糧不安を感じていると語った。

ウォソルヌ氏は、「現在、600万人以上が飢餓寸前の状態にいます」と述べた。

「このまま戦闘が続くならば、予想される悲劇が現実のものとなる日が刻々と近づくでしょう」

ウォソルヌ氏は、戦闘により410万人が自宅を離れスーダン国内の他の場所へ、100万人以上が近隣諸国へと避難を余儀なくされていると述べ、避難と治安不安により「性的暴行の事件数が悲惨なレベルにまで増加している」と強調した。

紛争勃発後、ペルテス氏は鍵となる仲裁役だったが、軍政府は同氏が偏向していると主張し、6月8日、アントニオ・グテーレス国連事務総長に対し、同氏がペルソナ・ノン・グラータと宣告されたことを通告した。

国連はこの動きを非難し、国連職員のメンバーをペルソナ・ノン・グラータ(政府にとって好ましくない人物)と宣告することはできない、国連憲章に反するとした。

2021年1月にスーダン担当特使に任命されたペルテス氏は、辞任発表の際、紛争当事者の双方に対し戦闘停止を要請し、「処罰を受けないまま戦闘を行うことはありえない」と警告した。

同氏は、「犯した罪について説明する責任がある」と述べた。

グテーレス氏は記者会見でペルテス氏の辞任を了承したが、詳細は明らかにせず、ペルテス氏には「辞任する非常に強い理由がある」と述べるに留めた。

ペルテス氏はまた、ダルフール、国境を越えたアラブ人部族の動員、南コルドファン州と青ナイル州におけるスーダン国軍と反政府勢力との戦闘、部族の動員が続くスーダン東部での緊張の高まりなど、複合的な危機が無数に存在すると指摘し、「国が分断する危険性」に警鐘を鳴らした。

同氏はまた、スーダンで長年、独裁的指導者として君臨していたが、2019年の民衆蜂起で政権の座を追われたオマル・アル・バシール氏について言及し、「戦争継続を主張する旧政権の分子による動員が、特に懸念される」と付け加えた。

リンダ・トーマス=グリーンフィールド米国国連大使は、ペルテス氏が安保理で演説した場合、UNITAMSとして知られるスーダンにおける国連による政治的ミッションを終了させると脅迫したスーダンの軍指導者らを厳しく批判し、「容認できない」脅迫であるとし、「いかなる国も、平和と安全に対する責任を果たそうとするこの理事会の能力を脅かすことは許されるべきではない」と断言した。

安保理会合は国連のミッションの維持を目的とした極めて異例の手続きにより、対スーダン制裁を監視する安保理委員会の議長を務めるガーナ大使のブリーフィングから始まり、次にスーダンのアル・ハーリス・モハメド国連大使に発言が許された。

スーダン政府は「政治と安全保障の取り組みにおいて主導権を握り、戦争を終結させるため、地域の主要関係者や国際テロリストとも連絡を取り合っている」とし、「即応支援部隊の存在を断固拒否するスーダン国民から全面的な支持」を得ていると明言した。

同氏は、即応支援部隊とその民兵が国を破壊するために「殺人者と傭兵」を招集していると非難し、安全保障理事会と国際社会に対しスーダン政府への支援を強く求めた。「国際社会は、国家をフランケンシュタインに変えてしまう、新世代のテロリストの存在を許してはならない」と述べた。

その後、アルバニアのフェリット・ホクシャ国連大使が安保理事会の終了を宣言し、スーダン大使の退席後、スーダンに関する事務総長の最新報告書における新たな会合の開始が宣言されて、ペルテス氏によるブリーフィングで始まった。

トーマス=グリーンフィールド氏はペルテス氏に対し、米国はペルテス氏の辞任を遺憾に思うと伝えた。

ペルテス氏は自身の今後について、一切言及しなかった。ペルテス氏はドイツ人の元学者で国際関係において豊富な経歴を持つ。2005年から2020年9月までドイツ国際安全保障研究所の最高経営責任者兼所長を務めた。

2015年から2018年にかけて、国連事務次長と国連シリア担当特使上席顧問を務めた。

AP

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