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リビア、1万1000人以上が死亡した壊滅的な洪水を受け2つのダムの決壊を調査

地中海で発生した暴風雨「ダニエル」による洪水で倒壊した建物の瓦礫の中で生存者を探す消防隊と救助隊。2023年9月14日、リビア東部の都市デルナ。(AFP)
地中海で発生した暴風雨「ダニエル」による洪水で倒壊した建物の瓦礫の中で生存者を探す消防隊と救助隊。2023年9月14日、リビア東部の都市デルナ。(AFP)
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16 Sep 2023 11:09:48 GMT9
16 Sep 2023 11:09:48 GMT9
  • 捜索隊は泥や空洞になった建物を掘り進み、遺体や生存者を探している

デルナ、リビア:1万1000人以上の死者を出したリビアの大洪水から1週間近くが経過した16日、救助隊による遺体の捜索が続く中、同国の当局は沿岸部の都市で壊滅的な洪水を引き起こした2つのダムの決壊について調査を開始した。

先週末、地中海で発生した暴風雨「ダニエル」による豪雨がリビア東部で大洪水を引き起こした。洪水によって2つのダムが決壊したことで、デルナ中心部を高さ数メートル(ヤード)の水の壁が襲い、地区全体が破壊され、人々は海に流された。

リビア赤新月社によると、1万人以上が行方不明になっている。6日経った今も、捜索隊は泥や空洞になった建物を掘り進み、遺体や生存者を探している。赤新月社はこれまでに1万1300人の死亡を確認している。

援助団体「国境なき医師団」の緊急チームを率いるクレア・ニコレット氏は、救助隊は15日に「多くの遺体」を発見し、今も捜索を続けていると話す。同氏はAP通信に対し、「かなりの数でした(…)残念ながら、海からは今もたくさんの遺体が出てきます」と語る。

同氏は、家族を失った人々への緊急の心理的サポートを含め、大規模な援助活動がまだ必要だと話す。捜索・救助活動や援助物資の配給の調整には一定の進展が見られるものの、遺体の埋葬が依然として大きな課題だという。

当局や援助団体は、水系感染症の蔓延や、リビアの近年の紛争で使用された爆発物が洪水で移動した可能性について懸念を表明している。

リビアのアル・セディク・アル・スール検事総長は、検察は1970年代に建設された2つのダムの決壊について、そして維持管理資金の配分について調査すると述べた。デルナ市当局だけでなく以前の政府についても調査するとしている。

同検事総長は15日遅くにデルナで行った記者会見で次のように述べた。「市民の皆様に保証する。誰であれ間違いや過失を犯した者に対し、検察は必ず断固とした措置を取り、刑事告訴し裁判にかけるということを」

2011年にNATOの支援を受けた蜂起によって長年の独裁者ムアンマル・カダフィ大佐が打倒された後に混乱に陥ったリビアにおいて、どうすればそのような調査が実施できるかは不明だ。過去10年間のほとんどの期間、同国は東部と西部の2つのライバル政権の間で分裂し、それぞれが強力な民兵組織と国際的な後援者に支えられてきた。

その結果、気候変動によって異常気象の頻度と深刻さが増しているにもかかわらず、重要インフラの維持管理がないがしろにされてきた。

デルナ市当局は市民に対し暴風雨の接近について警告を発し、9日には高潮の恐れがあるとして住民に沿岸地域からの避難を指示した。しかし、ほとんどの住民が家の中で眠っていた18日の早朝に決壊したダムについての警告はなかった。

国営監査機関が2021年に発表した報告書によると、2012年と2013年に200万ドル以上の予算が配分されていたにもかかわらず、2つのダムは維持管理されていなかった。

トルコの企業が2007年に、2つのダムの維持管理を実施することと、中間にもう1つのダムを建設することに関するする契約を結んでいた。アルセル・コンストラクション・カンパニー・リミテッドというこの会社のウェブサイトでは、この工事は2012年11月に完了したとされている。同社にメールを送ってさらなるコメントを求めたが、返信はなかった。

一方、人口9万人のデルナ市では、国内外の救助隊が24時間体制で遺体と生存者を捜索していた。

アユーブさん(名字は匿名希望)は、彼の父親と甥は10日にデルナで亡くなったと話す。近くの町バイダの洪水から家族で逃れてきた翌日のことだった。彼の母親と妹は急いで屋上に上ったが、2人は間に合わなかったという。「水の中で甥が父親の隣にいるのを見つけました」と彼は言う。「私は歩き回っています。起こったことをまだ信じられません」

アル・スール検事総長は、親族が行方不明になっている住民に対し、回収された遺体の記録と身元確認を行っている法医学委員会に報告するよう呼びかけた。

同検事総長は次のように述べた。「できるだけ早く作業を終えることができるよう、市民の皆様に対し、速やかに委員会本部に報告することへのご協力をお願いする」

リビア当局は、1万人以上の行方不明者を探している捜索隊が泥や空洞になった建物を掘り進めやすくなるように、浸水したデルナ市への立ち入りを制限した。遺体の多くは瓦礫の下に埋もれたか地中海に流されたとみられるという。

暴風雨は、バイダ、スーサ、マルジュ、シャハトなど、リビア東部の他の地域も襲った。地域全体で数万人が家から逃れ、学校や政府の建物に避難している。

死亡した人々の中には数十人の外国人も含まれていた。地域の他の場所の戦争や情勢不安から逃れてきていた人々などだ。リビアに出稼ぎに来ていた人や、欧州への移住を希望してこの国を移動していた人もいた。エジプトのある村から来ていた少なくとも74人の男性と、内戦で荒廃したシリアからリビアに渡って来ていた数十人が洪水で死亡した。

AP

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