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国際アラビアヒョウの日によせて:一緒に変化を起こそう

繁殖センターで飼育される若いヒョウ。(写真提供:アル・ウラー王立委員会)
繁殖センターで飼育される若いヒョウ。(写真提供:アル・ウラー王立委員会)
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11 Feb 2024 02:02:29 GMT9

野生生物保全は地球の生物多様性、そして数え切れないほど多くの種の長期的生存に不可欠であり、そこにはわたしたちヒトという種も含まれる。アラビアヒョウのような動物が直面する危機は、ほとんどの人々の日常生活とは縁のないものに思えるかもしれないが、すべての生命の福祉は切っても切れない形で結びついている。自然界のすべての要素は世界のほかの部分とつながっている。あなたの健康、あなたの家族や共同体の健康は、ほかのすべての種の活力とリンクしているのだ。

2021年、絶滅危惧種であるアラビアヒョウの野生に残された個体数が200頭を切るなかで、わたしはCatmosphereを設立した。COVID-19のパンデミックを経て、地球、環境、野生動物、そしてわたしたち人類の福祉がすべて相互に結びついていることが、ますます明白となった。当初のイニシアティブの原動力となったのは、アラビアヒョウという亜種の生存と繁栄にかける想いだが、根底にあるストーリーは、わたしたち全員が共有する未来への決意と希望なのだ。

人間活動が自然生息地を侵食し、アラビアヒョウのような種が絶滅の瀬戸際に追いやられるなか、自然保護の取り組みの必要性はかつてないほど差し迫ったものだ。生息環境の喪失、密猟、ヒトと野生動物の軋轢によって危機にさらされる種は多いが、なかでも大型ネコは、野生生物保全が直面する課題を象徴する絶滅危惧種として際立っている。そして、サウジアラビア王国はかれらの生存を確かなものにするための先駆的な取り組みを進めている。シャハーン自然保護区のキャットウォーク・トレイルや、アル・ウラー王立委員会による繁殖・再導入プログラム、アラビアヒョウ基金などを通じて、王国は野生動物との共生を含めた、より持続可能な未来を育むことにコミットしている。

当初のイニシアティブの原動力となったのは、アラビアヒョウという亜種の生存と繁栄にかける想いだが、根底にあるストーリーは、わたしたち全員が共有する未来への決意と希望なのだ。

リーマ・バンダル・アル・サウド王女

Catmosphereは自然保護分野の第一人者たちと協働し、大型ネコとその保全上の課題にまつわるストーリーを発信し、すべての人々に人類全体の福祉のために行動を起こすよう促してきた。トラ、ライオン、ヒョウ、ジャガー、チーターなどの種からなる大型ネコの保全は、生物多様性保全のためにCatmosphereが進めるグローバルな取り組みの主軸をなしている。これらの壮麗な動物たちは、それぞれの生息地のなかで生態系のバランスを維持する、なくてはならない役割を担っている。頂点捕食者として、大型ネコは獲物の個体数を調整し、これにより食物網全体に影響を与える。だが、大型ネコたちは今、さまざまな脅威に直面し、生存の危機にさらされている。生息地破壊、野生動物の違法取引、気候変動などだ。

そんななか、Catmosphereの努力の甲斐あって、昨年「国際アラビアヒョウの日」が国連により認定されたことを、わたしは大変うれしく思っている。この件では、サウジアラビアが当初の提案国を務め、のちに30カ国以上が共同提案に名を連ねた。決議の採択により、2月10日が国際アラビアヒョウの日と宣言され、今年以降、毎年全世界で祝われることとなった。この発表は、哺乳類、大型ネコ、ある生物の亜種の国際デーが初めて国連の認定を受けたという点で意義深い。また、サウジアラビアが提唱した国際デーが国連の認定を受けたのも、これが初めてだ。その日が自然保護のためのものであることを、わたしはとても誇らしく思う。

初めての国際アラビアヒョウの日を祝し、Catmosphereはすべての人を、3度目の開催となる「キャットウォーク(CATWALK)」に招待したい。この大規模ウォーキングイベントは、誰でも、どこにいても参加できる。アラビアヒョウとその生息環境は、みずからの言葉で語ることができない。わたしたちがかれらを代弁し、行動を起こさなくてはならない。ぜひCatmosphereのウェブサイト(catmosphere.org)を訪れ、キャットウォークに参加して、支援を表明してほしい。

初めての国際アラビアヒョウの日をこうして迎えられたことは、不可能などない、遅すぎることなどないという証だ。わたしたちの福祉は分かちがたく結びついている。アル・ウラーのアラビアヒョウの自然分布域への再導入から、紅海でのマングローブ植林まで、わたしたち全員の行動がポジティブな変化をもたらす。さあ、一緒に変化を起こそう。

  • リーマ・バンダル・アル・サウド王女は2019年以来駐米サウジアラビア大使を務める。2021年、王女は自然保護を通じて人類全体の福祉を向上させることを目的とした基金「Catmosphere」を創設した。
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