イスラエルとヒズボラ間の暴力が急速にエスカレートしていることは、10月7日以降の紛争が、現地で解決できない広域的な地域的側面を持っているという確かな証拠である。提案されている限定的な停戦やその他の一時的な取り決めは、爆発を先延ばしにし、関係者たちに時間稼ぎをさせるだけである。最も重要なのは、紛争がどのような枠組みで、またどのような形で解決されるかということである。私は、侵略の予測が昔から苦手である。2003年、私は米国によるイラク侵攻は決して起こらないと思っていた。オックスフォードの友人と賭けをしたほどだ。

私が勝ったのは、彼が期日を指定したからで、彼は今でも私にピザをおごらなければならない。2006年7月12日、私は家族をロンドンからベイルート行きの夜間便に乗せた。その朝、国境で事件が起こったため、どの飛行機も満席だったが、着陸する頃にはすべて終わっているだろうと思っていた。しかし、彼らが外に出た直後にベイルート空港が爆撃され、これが第三次レバノン侵攻の始まりとなった。ベイルートを見下ろす山の中でこれを書いている今も、イスラエルがレバノンで再び地上作戦を開始するほど愚かだとは信じられない。イスラエルの戦いはレバノンとの戦いではなく、またヒズボラとの戦いだけでもない。

レバノン国家やその社会はこの戦争とは何の関係もない。ヒズボラはイスラエルを攻撃している唯一の組織ではなく、むしろ地域的な広範な連合軍の一部である。したがって、この地域的な側面を無視することはできないし、レバノンに4度目の侵攻を行うという軍事的解決も不可能である。ヒズボラは、2023年10月8日にハッサン・ナスララ書記長が宣言したように、広域にわたる地域的な「ガザ支援戦線」の一翼を担っている。この宣言は、ハマスがガザ地区でアル・アクサ・インフェルノ作戦を開始した翌日になされたもので、イスラエルからの反撃は予想されていた。この支援戦線には複数の参加者がいることが次第に明らかになり、その中にはイラン革命防衛隊が主導するいわゆる「抵抗の軸」も含まれていた。

ヒズボラに加え、シリアやイラクの民兵組織、イエメンのフーシ派、そしてもちろんイラン革命防衛隊も含まれており、これらのさまざまな民兵組織や非国家主体は、程度の差こそあれ、これらの組織に所属している。それ以来、レバノンに加え、シリア、イラク、イエメン、イランからイスラエルにミサイルや無人機が飛来している。イスラエルもまた、この地域全体を攻撃している。レバノンのヒズボラとハマスの司令官、テヘランのイスマイル・ハニヤ氏の標的暗殺、8月のイエメンのホデイダ港への空爆、シリアとイラクにおける革命防衛隊の標的への攻撃などがあった。数ある演説のひとつで、ナスララ師は、イスラム世界中の戦士たちがレバノンでの戦いに参加するためにやってくると説明した。闘牛場では、マタドールがさまざまな方向から牛を攻撃し、牛を混乱させ、疲れさせ、最終的に倒してとどめを刺す。しかし、この闘牛場には牛は一頭だけではない。

地域的な側面は無視できないし、イスラエルがレバノンに4度目の侵攻を行うという軍事的解決もできない

ナディム・シェハディ

革命防衛隊はイエメンの代理勢力であるフーシ派を通じて、アラブ首長国連邦とサウジアラビアを攻撃し、地域全体を脅かしている。 また、紅海でイランの監視船が後方支援しているフーシ派は、海上輸送も脅かしている。 当初、10月7日のイランとの連携については完全に否定されていた。 ベイルートの外交官の間では、ヒズボラとイランの両方がハマスの攻撃に驚き、協議や連携がなかったことに不満を抱いているとささやかれていた。10月8日にヒズボラが国境を越えてミサイルを発射したのは、面子を保ち、ハマスとの連帯を示すためであり、本格的な戦争に発展させる意図はなかったと主張された。同時に、ナスララ師は演説で、ハイファやテルアビブ、あるいは地中海のイスラエルの石油・ガス施設を爆撃すると脅し続けた。

危機解決に向けた取り組みも断片的なもので、イスラエルとハマスの戦闘を解決しようと、米国務長官のアントニー・ブリンケン氏はワシントン、エルサレム、カイロ、ドーハを飛び回り、航空マイルを貯めているが、ほとんど効果はない。一方、米国特使のアモス・ホッホシュタイン氏はイスラエルとヒズボラの紛争を封じ込めようと、飛び回っている。地域紛争を防ぐという話は常にされているが、地域的な枠組みの中でそれに対処しようという取り組みはなされていない。イラン革命防衛隊が地域で悪者役を演じている一方で、同国の新しい大統領であるマフムード・ペゼシュキアン氏は、ニューヨークで開催される国連総会の年次会議で善人役を演じている。彼は、革命防衛隊の放火犯を消火する消防士であるかのように振る舞っている。

イスラエルが武器を放棄する意思があるならば、イランも武器を放棄する用意があるという噂が飛び交っている。外務大臣による矛盾した声明は、混乱に輪をかけている。結論から言えば、彼はイランを米国が地域の諸問題を解決するための対話者として提供し、その見返りとして、すべての地域問題に関する協議の席に着けるようにしようとしているのである。もし明日、ハマス、ヒズボラ、イランを協議の相手方として、そのような取引が成立したとすれば、それはイランとその代理勢力が、この地域の米国の同盟国に勝利したことを意味する。革命防衛隊は、この地域を支配し、すべての重要な決定を行う権力として確立されることになるだろう。

地域戦争を防ぐという話は常にあったが、地域的な枠組みの中でそれに対処する努力はなされてこなかった

ナディム・シェハディ

ガザ地区における現在の膠着状態は、パレスチナとイスラエルの紛争というよりも、ハマスとベンヤミン・ネタニヤフの間の問題である。また、レバノンとイスラエルの問題ではなく、ヒズボラと現イスラエル政府間の問題である。お互いを完全に消し去ろうとする2つの勢力間の妥協は不可能である。交渉のメカニズムは重要な要素であり、それは、重要な対話者を見極め、そうでない者を排除するものである。結果がどうであれ、双方の勝者は交渉のテーブルについた者となる。交渉は、それが成功しようが失敗しようが、この地域における将来のプレイヤーを決定する。ヤヒヤ・シンワル氏とナスララ師が抱える問題を、我々が解決できなければ、それに越したことはない。

この地域における永遠の紛争という彼らのビジョンが最も望ましいものではない。ゲームのルールを変えるには、他のプレイヤーを交え、紛争をありのままに捉えることだ。すなわち、この地域の将来に対する2つのビジョン間の戦いである。一方は、イランが抱く永遠の戦争というビジョンであり、その地域の代理勢力を通じて実行される。そしてもう一方は、湾岸諸国が抱くビジョンであり、その相違はあれども、この地域の諸問題を悪用するのではなく、解決して前進するというビジョンである。かかっているものが多すぎるため、問題を引き起こす者たちと妥協するような断片的なアプローチは正しい方法ではない。

必要なのは、湾岸諸国が主導し、トルコやイスラエルを含む地域の主要国を巻き込んだ地域会議を通じて、アブラハム合意やサウジ・イランの和解のような前向きな成果を土台に、地域の紛争に対する長期的な解決策を見出す包括的な地域的アプローチである。米国とEUも重要な参加者となるだろう。彼らは、現地の関係者よりも大局的な観点で多くの利害関係を有している。

• ナディム・シェハディ氏は経済学者であり、政治顧問。X: @Confusezeus