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ネタニヤフ首相はイスラエルの最悪の敵になりつつある

ワシントンで記者会見するイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相。(ロイター)
ワシントンで記者会見するイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相。(ロイター)
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10 Feb 2025 12:02:45 GMT9
10 Feb 2025 12:02:45 GMT9

ドナルド・トランプ米大統領が先週火曜日、ベンヤミン・ネタニヤフ・イスラエル首相との共同記者会見を終えたわずか20分ほど後、イスラエルとの国交正常化の見通しに関する王国の立場を改めて示すサウジアラビアの声明が発表された。サウジアラビアは「パレスチナの独立国家を樹立するための絶え間ない努力を続ける。この揺るぎない立場は、妥協の対象にはならない」

要するに、パレスチナの権利は 「譲れない 」ということだ。

使用された言葉も、声明の素早い転換も、リヤドの厳しい立場を明確に示すものだった。

ホワイトハウスの報道官も国務長官も、この発言に水を差そうとした。イギリスをはじめとする多くのヨーロッパ諸国を含む世界の多くの国々が、2国家解決への支持を改めて表明した。この地域の宗教的、政治的、経済的大国からのメッセージは、ベンヤミン・ネタニヤフでない限り、理解されたようだ。

占領軍最高司令官(ネタニヤフ首相)は、そのヒントを得るどころか、「サウジアラビアはサウジアラビアにパレスチナ国家を作ることができる」

もちろん、ネタニヤフ氏のような政治家が小馬鹿にして威嚇するのは簡単だ。これまでのところ、彼は非常に幸運で、文字通り殺人罪から逃れることに成功している。しかし、舌鋒鋭くコメントすれば、狂信的な超右翼のフォロワーたちからソーシャルメディア上で「いいね!」をもらえるかもしれない、と考えているとしたら大間違いだ。

現実には、サウジアラビアを支持し、パレスチナの権利を守るという譲れない原則を繰り返し表明する力強い声明の数々は、イスラエルが失うことになるものを思い起こさせるものだった。

75年もの間、自国民が海に投げ出されないように警告することで世界的な支持を集めてきた国が、今やガザ地区住民を強制移住させると脅すことで、まったく逆のことをしているのだ。

ファイサル・J・アッバス編集長

占領軍最高司令官は、自国政府がジェノサイド(大量虐殺)で非難され、その計画が民族浄化のレッテルを貼られていることを思い出すべきだ。「罪のないパレスチナ人など存在しない」(すべてイスラエル政府のメンバーの言葉であり、私自身の言葉ではない)ことを考えれば、「最大限の損害を与える」ことに固執し、ガザの人々を「人間の動物」として扱うことが、説明責任なしに済むと考えるのは妄想だろう。

パレスチナ人は、数十年前に占領が始まって以来、自分たちの祖国を決して忘れていないし、2023年10月7日の余波でガザで自分たちに起こったことを決して忘れないだろう。

ガザのハマスに力を与え、ヨルダン川西岸地区のパレスチナ自治政府を弱体化させることが、ネタニヤフ政権下のイスラエルの15年以上にわたる公式政策であったことも忘れてはならない(イスラエルのマスコミが報じている)。

さらに、彼は王国だけでなく、より広いアラブ・イスラム世界にとって潜在的なパートナーから、ペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)に成り下がった。誰も血のついた手と握手したいとは思わないだろう。

昨年、ニューヨーク・タイムズ紙のコラムニスト、トーマス・フリードマンは、ネタニヤフ首相はラファを目指すか、リヤドと協力するかの二者択一を迫られていると書いた。当然のことながら、イスラエルの占領者である首相は、統合された平和で豊かな地域への第一歩となるはずの後者の選択肢とは対照的に、ラファと大量殺人を選んだ。

選択には結果が伴う。王国は、パレスチナ人を追い出そうとするイスラエルの企てや、彼らの国家樹立への道筋を希薄にしようとする人々に対して、断固として立ち向かい続けるだろう。現状では、リヤドは2国家解決を求める世界的な連合軍を率いており、その外交力、世界的なつながり、豊富な資源をフルに活用し、パレスチナ人のニーズと彼らの土地に留まる権利を支援するために、人間的に可能なあらゆることを行うだろう。

国交正常化などもってのほかであるばかりか、現段階では、ネタニヤフ首相はイスラエルにとって最悪の敵になりつつある。75年もの間、自国民が海に投げ出されないように警告することで世界的な支持を集めてきた国が、今ではガザ地区住民を移住させると脅すことで、まったく逆のことをしているのだ。

  • ファイサル・J・アッバス編集長はアラブニュースの編集長である。X: FaisalJ. Abbas
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