
Francesco Bongarrà
ローマ: ローマのSpallanzani感染症病院で実施された実験によると、イタリア製のコロナウイルスワクチンに含まれるマウスで生成された抗体が、ヒトの細胞に効果があることが確認された。
医薬品を開発しているTakis社のCEO、Luigi Aurisicchio氏は、コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン候補が、初めてヒト細胞内でウイルスを中和したと述べた。
「イタリアで生成されたワクチン候補の試験としては、最も進んだ段階にあります」とAurisicchio氏はイタリアの通信社ANSAに語った。「ヒトでの試験は今年の夏以降になると予想されています」と彼は付け加えた。
「Spallanzani 病院によると、ワクチンによるコロナウイルスの中和を実証したことが確認された国は世界で初めてだそうです。我々はヒトでも同様の効果が得られることを期待しています」とAurisicchio氏は述べた。
同氏は、Takis社は「米国のLineaRx社と共同で、より有意義な技術的プラットフォームを模索している」という。
「我々は、イタリアの研究から生まれたワクチンの実現を目指して頑張っています。イタリア製の革新的な技術を用いて作られ、イタリアでその効果が実証された、誰もが利用可能なワクチンです。この目標を達成するためには、開発が迅速に進むよう手助けしてくれる、国内外な機関や協力者のサポートが必要となります」
Aurisicchio氏はさらに、「これは競争ではありません。我々の力と技術を合わせることで、全員でコロナウイルスに勝利することができます」とも述べた。
イタリアの研究者たちは今回の結果について、「期待をはるかに上回る、心強いもの」と評している。
1回目のワクチンを投与されたマウスは、ウイルスをヒトの細胞に感染させないようブロックできる抗体を生成したと、Aurisicchio氏は述べた。
5つのワクチン候補の中から多数の抗体が生成されたことを観察した後、研究者たちは最良の結果が得られた2つのワクチンを選択した。
抗体の多い血液から血清を分離し、ヨーロッパで最も先進的な施設の一つであるSpallanzani研究所のウイルス学研究室で分析した。次のステップは、免疫反応がどの程度持続するかを調べることだ。
現在開発されているワクチン候補はすべて、コロナウイルスがヒト細胞に侵入するために使用する分子の先端である、DNAタンパク質の「スパイク」の物質遺伝に基づいている。
これらのワクチンは、いわゆる「エレクトロポレーション(電気穿孔法)」という技術を用いて注入される。筋肉内に注射した後に短い電気的インパルスを与えるというもので、これにより、ワクチンが細胞内に侵入して免疫系を活性化させるのを助けることができる。
研究者らは、この技術により、とくにコロナウイルスに対して最も脆弱な肺細胞において、「スパイク」タンパク質に対する機能的な抗体を効果的に生成できるワクチンが開発できると考えている。
「これまでのところ、5つのワクチン候補のほとんどで生成された免疫が、ウイルスに対して効果を発揮しています。2回目のワクチン接種後には、さらに良い結果が得られると期待しています」と、Takis社のEmanuele Marra博士は述べた。
Marra氏は、これらのワクチン候補であれば、COVID-19のあらゆる進化や起こりうる突然変異にも適応することができると付け加えた。
「我々はすでに、ウイルスが突然変異を繰り返すことで、免疫システムによって追えなくなった場合に備えて、試験的な製品の開発に着手しています。これにあたり、癌ワクチンの開発に使用しているのと同じアプローチを使用しています」と同氏は述べた。