
新型コロナウイルスの感染拡大に対する国民の懸念への対応を政府が急いで進めている中、日本政府は、今月開催されるオリンピックの全競技会場について、無観客とする案を検討していると、毎日新聞が水曜日に報じた。
医療の専門家らは何週間も前から、東京オリンピックを無観客で開催することが最もリスクの少ない選択肢であると主張してきた。大会主催者らは、長引く新型コロナウイルスの感染まん延を抑えるために、すでに海外からの観客を無観客とすることを決定しており、国内の観客についてもその上限数を会場収容定員の50%(1万人まで)と設定していた。
毎日新聞は、政府関係者の話として、日曜日に行われた東京都議会議員選挙で菅義偉首相率いる与党が過半数を獲得できなかったことから、今回の無観客の議論は政治的な配慮の結果でもあるとしている。
今回の東京都選の結果は、年内に予定されている衆議院総選挙を前に、政府の新型コロナウイルス対策に対する有権者の不満を反映したものと考えられる。
この毎日新聞の報道では、日本での新型コロナウイルスの感染拡大への影響が毎日のように議論されてきた東京大会を取り巻く、運営上の困難な状況について強調されている。
日本政府の医療顧問トップを務める尾身茂氏は、水曜日に行われた衆院厚生労働委員会で、大会関係者等の数を最小限に抑えることが重要であると述べた。
また尾身氏は、オリンピック期間中の7月上旬から9月にかけては、日本の新型コロナウイルス対策において「最も重要な時期の一つ」であると述べた。
尾身氏は、「私どもは前から、無観客が望ましいと申し上げている」と語り、無観客とすることにより、他地域の人々もコロナ対策を遵守し、感染を抑制することができると述べた。
マラソン、聖火リレーの制限
東京大会で最も人気があり、象徴的なイベントのひとつであるオリンピック・マラソンについて、大会組織委員会は火曜日、一般市民に対し公道に集まらないよう要請することを発表した。また、東京都は、金曜日に都内に到着する聖火リレーについて、その大半を公道で実施しないことを決定した。
東京大会の観客に関する他の課題については、木曜日に東京都知事と同日に来日する国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長を含む5者間協議で決定される予定である。
東京オリンピック組織委員会はコメントの要請に対し、すぐには応じなかった。
政府の加藤勝信報道官は、火曜日の記者会見で観客問題について質問された際、菅総理が「無観客試合もあり得る」と述べたことを明らかにした。
政府関係者によると、政府は木曜日、現在1都3県に出されているまん延防止等重点措置について、当初の期限である7月11日を超えて延長する可能性が高い。
共同通信社の報道によると、延長期間はおそらく1ヶ月間となり、8月8日に閉会式が行われるオリンピックの期間中、まん延防止等重点措置が出されることになる。
日本では、他の地域で見られるような新型コロナウイルスの爆発的な感染流行は発生していないものの、これまで80万人以上のコロナウイルス患者と1万4800人の死亡者が出ている。国内のワクチン接種のスピードが遅いため、新型コロナウイルスのワクチンを少なくとも1回接種した人の数は人口の4分の1にとどまっている。