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今年のノウルーズは中東全体にとって「新しい日」となるかもしれない

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21 Mar 2023 11:03:16 GMT9
21 Mar 2023 11:03:16 GMT9

2020年3月の第1週、新型コロナウイルスの世界的流行がパンデミックと宣言され、結果的にロックダウン(都市封鎖)が実施されるわずか数日前に、サウジアラビアの歴史的都市アル·ウラーで行われた史上初のペルシャン·カルチャー·ナイトに、少数の著名なイラン人歌手が出演した時のことだった。

イベント前の数週間、この文化的な夜のイベントをサウジアラビアで開催すべきかどうかをめぐる激しい議論が起きていた。サウジとイランの間の緊張はピークに達し、ソーシャルメディア上の荒らしによる反発が予想され、事態が政治化する可能性があったため、 その議論は完全に理解できるものだった。

この取り組みは、サウジアラビアがペルシャ文化やイラン人を問題視していないことを証明することを目的としていた。

ファイサル・アッバス

それにもかかわらず、文化を政治から切り離し、計画通りに進めるという大胆な決断がなされた。サウジアラビアのメディアは取材に招待された。 

「この取り組みは、サウジアラビア王国がアル·ウラーを、古くからの多様な文明や文化の発祥地として認識することに重点を置く姿勢に合致するものだ」とアル·ウラー王立委員会は述べていた。

もちろん、この取り組みは、サウジアラビアがペルシャ文化やイラン人を問題視していないことを証明することを目的としていた。そしてそれは、アンディ、エブラヒム·ハメディ、レイラ·フォルハール、シャドメア·アギリといったスターたちが歌うペルシャ語の歌詞に合わせて、多くのサウジアラビア人が踊り、歌い、イベントが完売したことで証明された。 

実際、王国が問題視していたのは常に、イラン政権の攻撃的で拡張主義的な外交政策であった。1979年以来、イランのムッラー(イスラム教指導者)政権は「革命の輸出」、地域の不安定化、特にサウジアラビアの弱体化を使命としてきた。

それは40年以上続いた血なまぐさい時代であり、戦争や過激主義、そして修復と失われた機会による膨大なコストで、この地域を苦しめた。しかし、今年のノウルーズ(ペルシャ暦の新年の始まりを告げる古くからの伝統的な祝祭)では、サウジアラビアとイランの関係における「新しい日」(ノウルーズの直訳)の夜明けと、地域全体の安定の始まりを見ることになった。

10日前、中国の高官レベルのイニシアチブに応えて、サウジアラビアとイランの両政府の代表が7年ぶりに外交関係を回復するための協定に署名した。それ以来、この潜在的に画期的な協定の内幕について、さらなる詳細が明らかになった。 

ロイター通信が数日前にイラン政府関係者2名から得た情報に基づいて報じたところによると、テヘランでは昨年9月、政権の孤立に対する不満が沸点に達していたという。同通信によると、「イランの最高指導者アヤトラ·アリ·ハメネイ師が二国間協議の遅れにしびれを切らし、サウジとの関係回復のプロセスを加速させる方法を話し合うためにチームを召喚したのがこの時だった」

これが最終的に中国の関与につながり、昨年12月に習近平国家主席がリヤドを訪問した際、中国政府はイニシアチブをとる意欲を示し、サウジアラビア指導者に対し仲介役を名乗り出た。

サウジアラビアの情報筋は、最近行われたサウジアラビアのジャーナリストとのブリーフィングで、ロイター通信がその後発表した内容を確認した。新たな協定は、地域諸国の主権の尊重、今後2か月以内の国交回復、そして、サウジの故ナエフ·ビン·アブドルアジーズ内相(当時)とイランのハッサン·ローハニ国家安全保障最高評議会書記(当時)によって署名された2001年の安全保障協定を含む、イランとサウジアラビアの間で結ばれた過去の条約の復活という3つの柱に基づいていると同情報筋は述べた。 

その他の詳細については、サウジとイランは、軍事、情報、サイバーを含む二国間の不可侵の約束に合意し、そのような攻撃を行うために他国を支援したり、自国の土地を使用するのを許可したりしないというものだった。 

では、これらのことは何を意味するのだろうか。まず、イランが孤立を続け、すべての近隣諸国と対立することはできないと(願わくば真摯かつ恒久的に)認識したことを意味する。それは、「遅くてもないよりまし」なことだ。さらに、願わくば、イランが悪質な活動をやめる誠実な意志を持っていることも意味するかもしれない。 

私が確信を持って言えることは、サウジアラビアが、少なくとも今のところ紙の上では、その野心的な改革計画の大きな成果を守り抜くことに成功していることから、今日のサウジアラビア人には祝うべきことがたくさんあるということだ。 

ファイサル・アッバス

もしそうなら、サウジアラビアだけでなく、地域全体が最大の勝者となる。 

サウジアラビアはこの紛争において、ずっと犠牲者であり、悪者ではなかった。何十年もの間、サウジアラビアは、防衛を強化し、国境内および近隣諸国でのイランの妨害活動による影響を相殺するために、絶えず時間やエネルギー、資金を投入しなければならなかった。これには、イランが支援するイエメンのフーシ派民兵がサウジアラビアの民間人や都市をドローンやミサイルで攻撃したり、世界のエネルギー安全保障にとって重要な地域の海洋安全保障に絶えず脅威を与えたりすることも含まれていた。 

では、1979年以来続いているこの戦いに勝利したのは誰なのか。真実は、美と同様に、見る人の目の中にある。私が確信を持って言えることは、サウジアラビアが、少なくとも今のところ紙の上では、その野心的な改革計画の大きな成果を守り抜くことに成功していることから、今日のサウジアラビア人には祝うべきことがたくさんあるということだ。 

今年、サウジアラビアはG20の中で最も急速に成長する経済国になる予定だ。つい最近の月曜日には、2つの重要なニュースがあった。1つは、サウジアラビア人が世界で2番目に幸せな国民であることが正式に明らかになったこと、もう1つは、サウジアラビアのエンターテインメントイベントが2019年以降、 合計1億2000万人以上の(国内外の)観客を集めたことだ。 

このようなことが守るに値しないのであれば、何にその価値があるのかわからない。そして、中国のイニシアチブのおかげで、戦わずに守ることができるのであれば、なおさら喜ばしいことだ。 

地域的な影響については、数え上げればきりがない。しかし、イランが協定を守れば、イエメン、シリア、イラク、レバノンが平和で繁栄している世界に目覚めることが想像できるはずだ。これは野心的な結果なのだろうか?そうだ。追求する価値はあるのか?もちろんだ。 

サウジアラビアの改革環境の中で、アラブニュースはクリスマス、ユダヤ教の新年、バレンタインデーを特別版で祝ってきた。ノウルーズ、新しい日の夜明けは、特別記事を通して、この古代ペルシャの祭典を記念するのに絶好の機会だ。

ペルシャ語圏の皆さん、あけましておめでとう(Sal-e-Nou Mubarak)

  • ファイサル・J・アッバス氏はアラブニュースの編集長

Twitter: @FaisalJAbbas

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