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真の民主主義を求めるイラン人の願望は支援されるべき

テヘランで燃料価格上昇に対してのデモ中に道路を封鎖する活動家。( Shutterstock)
テヘランで燃料価格上昇に対してのデモ中に道路を封鎖する活動家。( Shutterstock)
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23 Feb 2020 12:02:16 GMT9
23 Feb 2020 12:02:16 GMT9

イランでいわゆる議会選挙が金曜日に行われ、「イラン・イスラーム議会」の290議席を争うことになる。最近の大衆の抗議運動や暴動、ならびに現体制が直面している高まりつつある危機を考えれば、今年の選挙は今までとは違い、もしかすると政権の転覆を含む大きな変化の前触れとなるかもしれない。

イランに民主主義や自由な選挙は存在しない。最高指導者のアリー・ハーメネイーと彼が操る護憲評議会が、国家に対する「心からの」そして「実際的な」忠誠心に基づいて、候補者を選び出している。候補者になろうとする者は全て、現体制の支持者であることを確認するための厳格なセキュリティ審査や諜報審査を受けなければならない。

候補者の承認は内務省、国家治安部隊、司法の地方支部、そして諜報治安省という4つの機関が担当している。これらの組織は個人の経歴をあらゆる面から徹底的に調べ上げ、例えば禁止されている敵対グループとの繋がりがないことなどを確認する。

それを通過した候補者の名前は、その後12名のメンバーで構成される護憲評議会に提出される。この12名のメンバーはハーメネイーが指名したムッラー6名、司法の長に推薦された法学者6名だが、司法の長自身もハーメネイーによって直接任命された直属の部下である。

議会選挙は現体制内部で権力を求める党派のパワーバランスのバロメーターとして見られる。主に経済的な動機によるものだが、西側メディアではこの対立がしばしば「穏健派」と「強硬派」の政治理念の闘争として描かれている。こういった語り口は、西側の譲歩をあてにし、30年間の統治を通じてあらゆるコネクションを作り上げてきたハーメネイーを利するものだ。

いわゆる穏健派と強硬派のどちらの党派も、等しく現体制の存続を志向している。人権の侵害や抗議運動の鎮圧、シリアのアサド独裁政権への支援、中東でイランが支援するテロの代行者や武装グループといったものを、どちらの党派も支持している

だが今年は、ハーメネイーは穏健派のメンバーが議会を掌握することを防ぐように決めている。なぜだろうか?

イランの現体制はかつてない困難に直面している。国内では大きな暴動がムッラーの独裁体制を根幹から揺るがし、経済が急速に下降している。中東地域内では、テヘランがテロの首謀者でありハーメネイーの地域計画を実行する最高司令官であったガセム・ソレイマニを失い、イランの現体制の悪行や干渉に対する抗議運動がイラクやレバノンで続いている。

そして国際的には、西側の融和政策が壊滅的な打撃を受けている。まだいくつかの段階を踏む必要はあるが、現体制は今や国連安全保障理事会への人権記録の照会を含む、破壊的な行いの責任を厳しく問われているのだ。

拡大しつつある民主的な反対運動、特に主要な反対運動組織の「レジスタンス部門」であるイラン国民抵抗評議会(NCRI)も、この勢力図に加えることができる。現体制の転覆のため、若者が続々と参加しているのだ。NCRIの議長マリアム・ラジャヴィは、選挙の大規模なボイコットを呼びかけている。彼女は、穏健派候補の排除は抵抗運動の拡大に直面した政権が示した、明確な緊縮のサインであると述べている。

この選挙もどきをボイコットしようと呼びかける運動がイラン内外で広がっている。ソーシャルメディアへの投稿に加えて、活動家は「現体制の転覆に一票」というスローガンをグラフィティアートで壁に描き、パンフレットで配っている。

弱体化した現体制にとって状況は非常に悪く、たとえ国内のわずかな異議であっても見過ごすことができない。そのためハーメネイーは人民に対して結束を固め、勢力を結集するキャンペーンに乗り出したが、皮肉なことに、彼がそうするためには少なくとも偽物の選挙に人々が参加していると見せかける必要があった。しかし人々の方が一枚上手だ。半公式の世論調査であっても、82パーセントの人が選挙をボイコットするつもりであると示したのだ。政権は慌てて世論調査を取り消した。

現体制の転覆のため、若者が続々と反対派に参加している。

マジッド・ラフィザデ

イランの神権政治は終わりを迎えている。人々が体制を転覆し、イランに自由と民主主義を打ち立てるのは時間の問題だ。

「王であれ最高指導者であれ、抑圧者に死を」や「王冠にNoを、ターバンにNoを、ムッラーの時代は終わった」と唱えることで、イランの人々は過去ではなく未来を見ていることを示している。彼らは政教分離や男女平等に基づいた自由な共和制を求め、宗教や民族による差別の終わりを求めている。

世界はイランの体制転換のために、そしてイラン人と彼らの民主主義への渇望へ味方するために、イランの人々の権利を認める時だ。

マジッド・ラファザデ博士はイラン系アメリカ人の政治学者。イランとアメリカ外交の専門家、ビジネスマン、International American Council社長。 Twitterアカウント:@Dr_Rafizadeh

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