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G20はコロナウイルスの余波との闘いで重要な役割を果たせるだろう

サウジアラビアは議長国を務める期間中「世界の人々の希望を実現する政策や取り組みを導入するためのG20の協力環境を作る」ことを目指すと、サルマン国王は語った。(AFP)
サウジアラビアは議長国を務める期間中「世界の人々の希望を実現する政策や取り組みを導入するためのG20の協力環境を作る」ことを目指すと、サルマン国王は語った。(AFP)
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24 Mar 2020 07:03:02 GMT9

パンデミックと景気後退が世界的な大惨事をもたらしている今日ほど、G20が当事者性を帯びたことはない。国際協調の必要性がこれほど大きくなったことはなく、G20は、世界の上位20の経済大国から構成され、全体としては世界の国内総生産の約90%、貿易の80%、世界の人口の3分の2、国土の半分を占めるグループとして、このような協調を行うのに相応しい組織となっている。世界の大部分に対応でき、この2つの危機の影響を緩和するための財政手段や必要なツールを有しているのだ。

先週、中国が世界的な対応を連携して行うための国際的努力を求めた。これにはG20を通じた連携も含まれる。ある当局者は次のように語った:「G20は、国際的なマクロ経済政策連携の主なプラットフォームだ。2008年の金融危機以降、G20は世界経済の回復の連携と推進で歴史的な役割を果たした」。中国は国際協調に積極的に参加し、パンデミックの経済的代償に対処するために各国がどう連携すべきか、「建設的なアイデア」を出す用意があると、彼は語った。

しかし、G20はマクロ経済協調にとどまらず、より大きな役割を果たすことができる。

サウジアラビアは、昨年12月にG20議長国を務め、11月まで引き続きこの役割を担い続けることになっており、国際経済連携の中心となっている。サウジアラビアは議長国を務める期間中「世界の人々の希望を実現する政策や取り組みを導入するためのG20の協力環境を作る」ことを目指すと、サルマン国王は語った。王国は今月、コロナウイルス危機について議論するために、ビデオ会議による首脳サミットを呼び掛けた。

世界的金融危機の時、G20の役割はその地位と共に、著しく大きくなった。この組織が設立された1999年から2008年まで、G20は財務大臣の所管で、その議論は国際的な金融の安定の推進に焦点が置かれてきた。G7、また時にG8のサミットは、国家の首脳が会し、より幅広い経済・政治課題に対する政策の連携を行う場となってきた。2008年11月、アメリカのジョージ・W・ブッシュ大統領がこれを変え、金融危機への対応を連携して行うため、国家の首脳による初のG20サミットをワシントンで召集した。金融刺激策のパッケージを協調して採択したことは、これらの審議の成果の1つとなった。

以降、G20は約十数回のサミットを開催し、専門家会議やその他の活動に加えて、大臣会合を数十回開催してきた。経済政策以外の問題にも頻繁に対処している。例えば、2019年に日本の大阪で開かれたG20サミットは、8つのテーマについて議論した:世界経済、貿易、投資、イノベーション、環境、エネルギー、雇用、女性のエンパワーメント、開発、保健だ。

今年、主な焦点分野は、コロナウイルスが世界のサプライチェーンに与える壊滅的影響の緩和策となり、これには健康への影響や、安全保障、脆弱な社会への支援策なども含まれることになるだろう。この病気により、隔離や外出禁止令などで、従業員は仕事を制限されることになり、また、工場の閉鎖や生産活動の減速、物を動かす物流へのアクセス制限にもつながった。さらに、急激にコストが上昇したことによって、収入が限られている家族にとっては、特に一時解雇や退職を余儀なくされるといったことが重なり、やりくりが非常に難しくなっている。

主な焦点分野は、コロナウイルスが世界のサプライチェーンに与える壊滅的影響の緩和策となるだろう

アブデル・アジーズ・アルウェイシグ

サプライチェーンのマッピングとリスク管理を行う会社、Resilincは、様々な国のパンデミックの深刻な影響を受けている隔離対象地域から調達している商品の数や、これらの地域に位置している様々な業界の工場に関する速報を発表した。この情報は、十を超える業界の生産者が供給の危機に直面し、それぞれのサプライチェーンに与える影響の緩和に苦慮していることを示している。2011年の福島原発危機のように、現在の危機は、単一の調達先への依存や、重要な材料の調達先の数が限られていることなど、サプライチェーンの弱さを露呈させている。

特に危機的なのは、医療サプライチェーンだ。医療危機とこの病気と闘う上での必需品は供給不足となっており、これらを製造する生産ラインは早急に拡大する必要がある。流通は、コストの上昇と輸送ルートが限られている中ではさらに大きな問題となっている。脆弱な医療システムを抱える国々では、この病気を監視し、闘うのがより困難になっている。自国の設備に任せるとなると、病気はコントロールできないくらいに拡大し、最終的には他の国々にまで拡大するだろう。

国際的な人道支援組織にとってより憂慮すべきは、この病気が難民のコミュニティにまで達した時のその運命だ。ノルウェー難民問題評議会によると、世界で7000万人以上が迫害、紛争、暴力、人権侵害により故郷からの退避を余儀なくされている。このうち、2900万人が難民で、そのうちの84%が、脆弱な医療、水道、衛生システムを抱える中低所得国家に受け入れられている。これらの社会に、この病気の壊滅的被害から身を守るための手段を提供することが不可欠だ。

コロナウイルスの影響は、サプライチェーンの滞りや、会議を企画することの難しさ、生産活動の減速、物流の混乱などに関する深刻な懸念が生じる中、安全保障の分野でも感じられる。より重要なことは、この病気により、地域によっては、安全保障を維持するための部隊や軍需品を移動させることが難しくなっているということだ。特にイランとその支持者らがこの混乱に乗じてイラクやイエメン、シリアやレバノンなどでその影響力を拡大させる恐れがある。

G20は、これらのあらゆる問題に対処する上で理想的な立場にある。各国はコロナウイルスの危機に対処する間は、それぞれの違いを脇に置くべきだ。例えば、G20の二大経済大国、アメリカと中国の緊張関係は、協調や、パンデミックの余波に対処するための具体策での合意に遅れを生じさせてはならない。中国やアメリカはそれぞれお互いに上位の貿易相手国であり、それぞれの国の経済の健全性は他方のそれに依存している。そして今、それぞれの国民の身体の健康がその協力にかかっているのだ。両国を分断する現実的な問題や、利害の不一致があり、これらが現在のパンデミックを長期化させることになる可能性は多分にしてあるが、少なくとも2つの問題では合意できるはずだ:医療と安全保障に影響を与える、コロナウイルスに直接関連する供給の混乱を別にして考えること、近い将来取り返しのつかないことになったことが証明され得る、経済全体の崩壊を避けることだ。

  • アブデル・アジーズ・アルウェイシグは湾岸協力会議政治問題・交渉担当事務次長で、アラブニュースのコラムニスト。本記事で表明した見解は個人的なものであり、湾岸協力会議の見解を必ずしも代表するものではない。ツイッター:@abuhamad1
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